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茶巾の内側で恥じらう娘はだれか
【学園物 官能小説】

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後編-2

「じゃあ、時間よ。答えて」
 蘭華が告げると、まず成一が頷いて口を開く。

「ええと、宮部だな」
 成一が挙げたのは宮部翔子。実は彼がひそかに憧れを抱いていたクラスの女の子だ。もし正解だったら可哀想に……とは思いつつも、せっかくなら彼女の裸を見てみたい、今見ている裸が彼女であってほしい、という思いを捨てられなかったのだ。

「ブッブー」
 蘭華はおどけたように両手で×印を作りつつ言う。
「ええーっ」
 成一はがっくりした。
「翔子はこんなに胸ちっちゃくないって。翔子が聞いたら怒るよ」
 身長や、胸はともかく全体的なからだつきは絵奈に近いから、間違えやすかったのかもしれない。

 ともかくも1人目は外してくれたが、そうなると残り1人の答えが絵奈にはいよいよ気になってくる。控えめな乳房の下で、心臓も高鳴ってきた。

「じゃあ次は、国坂ね」
 名前を呼ばれて初めて、絵奈にも男子の1人が誰かわかった。とはいえ、転校して1週間のうちに、いくらか事務的に話したことのあるだけの相手だった。

「ズバリ、石井さやちゃんだろ」
 敦史は確信ありげな調子で答えた。お嬢様で、学年で有数の美人と評判の子だ。色の白さなどは絵奈とも似ている。

「ブッブッブー、残念でした〜! さやだったら良かった?」
 蘭華はまた手で×印をつくって返した。

「あ〜あ、外しちゃったよ」
 敦史はがっくりとため息をついた。2人とも可愛い子の裸だったらいいのに、と希望的観測も込めて答えたが、ことごとく外したのだった。
 当てられずに済み、絵奈はとりあえず安堵した。

「宮部でも石井でも無いのか。じゃあ他に可愛い子って言うと……」
「こら、答えは一度だけだって」
 一瞬絵奈も慌てたが、桃美がそれ以上の答えを止めた。彼女はこのままバレずにいてくれれば、と願うばかりだった。

「まあ、もしブスだったら幻滅だしな。下手に知らなくて良かったかもよ」
 相変わらず酷い言葉が聞こえてくる。誰かは知られていないとはいえ、裸を見られている状況に変わりはない。それに気づいたとき、絵奈は改めて羞恥に駆られて身震いした。

「まあ、せっかくだから、やっぱり正解教えたげる」
 だが直後、蘭華がそう口にするのを聞いて、絵奈は慄然となった。そんな、話が違うじゃないの……? 正解なら顔を見せるって言ったのに……。

「あの、そんな、待ってください……」
 絵奈はつい声を出してしまったが、この期に及んではもう関係ない。

「じゃーん!」
 同時に蘭華は絵奈の両手を頭上で縛っていたリボンをほどいた。ジャンスカの制服がはらりと垂れ落ち、裸身を覆う。

「転校生の、西住絵奈ちゃんでしたー!!」
 露わになった絵奈の顔は、炎上しそうなほど真っ赤だった。ようやく茶巾状態から解放され、視界も開けたとはいえ、裸にされていたのが誰であったのかバレた恥ずかしさの方が圧倒的に勝っていた。蘭華が言ったことを翻し、不正解にも関わらず顔を晒してしまったショックもそれに加わっていた。
(註:「正解なら顔を見せる」と言っておいて不正解でも顔を見せるのは、論理学的には間違いではない)

「西住だったのか」
「美人だな、ほんと。なんか良かった」
 ついに泣き出した絵奈の可憐な顔を見つめつつ、成一も敦史も、互いに顔を見合わせ、満足げな様子を見せた。
 転校生でこれだけ可愛ければ女王様的な存在の蘭華に目を付けられても不思議はない。蓋を開けてみれば、納得というところだ。

「どうだった? 楽しかった?」
 蘭華が意地悪く絵奈の方を見ながら尋ねると、当然のように2人ともうんうんと頷いた。生まれて初めて女の子の裸を生で堪能できた上、その裸身の主が転校生の美少女・西住絵奈だったとなれば、文句もないところだろう。
 そして蘭華は満悦の表情で、絶望に震える絵奈の顔を見やりつつ、これぐらいでショータイムは終わりにするか、それとも顔を晒した後でもっと恥ずかしい目に遭わせてやるか、思いをめぐらせていた。


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