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パンドラの箱
【ファンタジー 官能小説】

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パンドラの箱-2

1 マキナ翁 

わしは処女が苦手だ。青臭いし、何かと気を遣わせられる。 
風呂で「背中を流してくれんか」と頼んでも、うじうじと思い悩んだあげく、恥ずかしがってろくにこすってもくれん
その点、男を知っている者なら互いに気兼ねがいない。
「私も脱いでいい?」とまで言う者もいた。 ≪すきにすればいい、洗ってくれりゃあそれでいいし、気持ちよくさせてくれというなら、嫌いじゃない。いつでも相手をしてやるよ≫
若い頃なら、女なんぞ頻繁に抱いてやっていた。魔術の加減で、しばらく身を清めなければならないときには、ちょっと辛かったくらいだ。
我慢できずにやっちまって、師匠に儀式の間、屋敷から放り出されたこともあった。 ずっとずっと昔のことだ。
だから、手間なだけの弟子などというものは断ってきていた。
パンドーラという子は不思議な子だった。その母親はわしが魔女に仕込んだ。姉弟子と二人、最後の弟子のはずだった。
あれから十九年、わしもいつの間にか長老と呼ばれるようになっていた。
その母親が久しぶりに会いに来て、ベッドの中で頼まれたのが運の尽きというやつだ。
断ろうにも、もうやっちまった後だった。わしをおとしいれようとは、いい魔女に育ったものだ。
パンドーラが来たのは、初めて女児から女性に代わった一週間後だった。
そんな子なのに妙に女を感じる。
それから修業が始まる。
最初はただの家事見習いとして、この子の性格や適性を見ることにする。
「服を脱ぎなさい」
パンドーラは上目づかいにもじもじしている。それだけでも、抱きついてやりたくなってしまう
小さいくせにちょっとした大人より、妖艶な一瞬を見せる。
だが、師匠の言うことは絶対だ。そもそも、夫と医者と魔術師には肌をさらしてもいいのだ、それでも動かなかった。
「何をするの」
「おまえの肌を見るのだよ」
「なぜです」パンドーラは腰をくねらせ尻を振ると私にすり寄ってくる
「おまえはわしにどんな意図があると思ってるのかね」
「抱きたいの? でもいやだわ、まだ処女なのよ」
「おまえは、わしがしろと言ったことは、即座に、質問なしにするんだ。ではないと死ぬことになるぞ」
「でも師匠に股を開けと言われても、無理だわ」
「では帰れ。おまえに魔女は無理だ」
「それはだめ。母さんも期待してるのに」
「それはおまえさんの都合だ。わしにとってどうでもいいこと。だが、初めてのことだ。もう一度だけ言ってやろう」
「私の裸が見たい理由を言って」
「納得して脱げるなら。聞かなくても脱げる。それができないのは、わしを信用しないからだ。
もしおまえの背中に火が付いた時、おまえが、炎があると納得するまで動かないなら、わしが助けに行っても間に合わないかもしれない。助けに行ったわしも、より深いやけどを負い、おまえと一緒に死ぬかもしれない」
「私に火がつくの」
「火は優しい、魔と違って向こうからかみついてくることは少ない。今、一度だけだ。同じことは二度言わんぞ『やるか、帰るか』だ。次はやめさせる」
実際、その危険はパンドーラとわしにまで及ぶのだ。だからこの感情は徹底的に潰しておく必要がある。
昔、弟子とまではいかない子を魔法円の中に一緒に入れて、魔を召喚したことがある。ところがその女は魔法円を足で消してしまった。
自業自得。その女を殺させている間に新たな障壁をたてれば、わしは助かることができた。しかし、わしは自分の方へおびき寄せた。
おかげで女は生き残り、わしは、一晩死んでいた。
ようやく息を吹き返した時、地下の倉庫から外へ抜け、その地を去った。
わしを目当てに来るものはいくらでもいる。しかしもううんざりだった。死んだことにして逃げ出したかったのだ。
実は、そうやって逃げ出したのは二回目だった。


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