投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

パンドラの箱
【ファンタジー 官能小説】

パンドラの箱の最初へ パンドラの箱 12 パンドラの箱 14 パンドラの箱の最後へ

パンドラの箱-13

そんな生活が続く中、姉弟子がやってきた。
病の子を見てくれと頼みに来たのだ。即座に断った。
「こんなところまで歩かせといて、5分で帰すの」アドが悔しがって地団太を踏む。
普段のスマートな女性とは思えない、私にしか見せたことのない子どもっぽさだ。にしては胸が大きくゆれて私を誘う。≪この子はいつもよくできる魔女だった≫
「では帰らなくてもいいが、ここには何もないぞ」
「あるわ。マキナ」体をくねらせた。
夏でも山は冷える時がある。その夜は弟子の温かい体を抱いて寝ることができた。
そのあと、しゃくなことに、眠るわしの意識に、呪われねじ曲げられた体と心を持った青年のことを送ってきた。
朝になって弟子を送り出すときには、明日、その青年が来る約束ができてしまっていた。
いつものように修行の足りない自分に嫌気がさす。そしてそれこそ自分というものなんだと大声で笑った。
アドの色仕掛けではない。それをするならわしの方が上だ。ただ、その青年をパンドーラに合わせてみたくなったのだ。名前はノラと言った。
ノラは背の低い子だった。パンドーラよりも低いのだが、筋肉は倍ほどあった。彼の姿を見ていると、そのねじれた体がこちらの平衡感覚をおかしくさせた。
このねじれ自体は呪いとは関係なかった。この青年は最近、猫として生活していたという。それが、魔術を使う医者の人体実験で、身も心もずたずたにされたということなのだ。
パンドーラには細かいことは言わなかった。知らせたければ本人がしゃべるだろう。
「この青年は病気の療養に来た。魔女の弟子をしておる。いい話し相手になるだろうよ」パンドーラには、それだけ紹介した。
「よう」ノラが手を上げてあいさつしてきた。まっすぐには上がらないようだ。
「彼を部屋に案内してあげなさい」
「どこへ」
「わしの部屋以外ならどこでもいい」手を振って行かせた。
この、崖の間に立つ砦は一階や地下にはまだ、人の住めそうな部屋がいくつか残っていた。
その中でも一番危険な部屋にパンドーラは案内したようだ。
その部屋は崖から空中へ、大きく張り出していて、二階はすでに朽ち果てていた。下もいつ崩れてもおかしくない。
≪それもよかろう、みな綱渡りだ≫
「ノラはどうだ」戻ってきたパンドーラに聞く。
「病気って、あの骨か?」
「それは私が言うことではない」
「おれ、結構かっこいいと思う」
「かっこいいか。そうか」気に入ったなら話は早い。
それから、そこでの生活が始まった。
朝の間にノラを呼んで、しばらく話をした。体の治療は慎重にする必要がある。
強力な呪文は一過性であり、体のバランスも大きく崩してしまう。それにノラには心にも大きなひずみがあった。
狂暴性、パンドーラと同じだ。この野獣を飼いならさせる必要もあった。
パンドーラは昼前にやってくると、ノラを相手に話すようになった。
里では誰とも喋らないし、逆に狂暴な、男のような女を相手にするような者もいなかった。
それだけならまだしも、まずいことに悪魔狂いとうわさされ始めていた。田舎では危険なことだ。
タンクトップとショートパンツにサンダル。それがドラのいつもの格好だ。
男のような胸に、ブラをつけるのもやめてしまっていた。
いつも竹籠をかついで、その中に色々入れて、山を上がって来る。
半月もすると、パンドーラは時々泊まっていくようになった。
「帰らないと、新鮮な野菜が食べられんではないか」師匠の威厳でにらみつけてやる。
「じいちゃんは芋かカボチャを食べてりゃいいんだ」言い返してきた。
思わず笑ってしまった。 「うん、うまそうだ。久しぶりに背中を流してくれるか」
パンドーラは水を汲みに行った。
水をかけてくれるパンドーラの裸を見てため息が出た。やはりあの少女はもういない。
ここにいるのは男性器を持たない少年だ。背中をこすってくれても、痛いくらいの力だ。
「ノラはどうだ。おまえの診断は」
「落ち着いてるよ」
ふたりが本を一緒に寝転んで、暑いのに引っ付いて読んでいるのを知っている。
泊まっていくときには、一緒の布団で寝ているのも知っている。
「やつが好きか」
黙っている。好ましいのか、愛なのか悩んでいるようにみえた。
「さわられたか」
「あいつ、さわらない」
「さわりたいか」
また黙り込んだ。
≪おまえがそのままである限り、さわっても、さわられても嬉しくはなれないぞ、おまえの心は男になったんじゃない。ただ女を否定しているだけだ≫


パンドラの箱の最初へ パンドラの箱 12 パンドラの箱 14 パンドラの箱の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前