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カルト教団
【ファンタジー 官能小説】

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カルト教-4

おかげで入信式が遅くなってしまった。
後ろに参列した草色信者の賛美歌が小さく流れる。
カザミを祭壇の前に立たせ、長衣を肩から外す。それは足元に揺れ落ち、女神のような姿が現れた。草色信者の賛美歌の声も揺れた。
そしていくつかの質問をする。
直前に儀式の質問には基本、『はい』と答えればいいことを教えてあるので、滞ることはない。
最後に青信者の言葉に合わせて、カザミが入信の言葉を唱えた。
私はカザミの額を星形に指でなぞると、そこにキスをする。
そして額どうしをひっつけた。こうすれば、思考がある程度読める。
カザミは手を挙げ胸が私に当たらないようによけている。
ガードの固い女だ。このまま惑わせて抱いてしまいたい。そんな簡単に揺れ動く自分の弱さに苦笑いをした。
≪ひょっとしたらこの女が、縮こまった私の生活を大きく動かしてくれるかもしれない≫そんな予感がしてきた。
女の意識の中を少し見て、妹をさがしにきたことはすぐに分かった。
この女の妹がこの教団に来た後、行方が分からないのだ。問題なのは、私にも分からないということだ。
何としてでも、これがどういうことなのか、私も探る必要があった。
今は時間がなかった、詳しくはカウンセリングの時だ。
それで儀式は終わりだった。
「カウンセリングを夕食後にしましょう」連れて行かせた。
私の身の回りをする当番信者に、「カザミが部屋を出たらすぐに知らせよ」と言っておく。
入信したものが一番不安になる最初の夜だ。
食事後、連絡が来た。
私はカザミを探して飛んだ。閉まった門にはいない。
≪ならば、よし≫ トイレへでも行ったのだろう。ここから逃げるのでなければ、そこくらいしか行くところはない。
一番ひとりになれると思い込む場所だ。そこでいろいろなドラマがおこる。一人で楽しむものや誰かと連れ添うもの。ものによっては黙っておく、ものによっては糾弾し罰をあたえる。みんなは私が神の目を持っていると思っている。
確かにそれに近い、そこは私もよく鑑賞に行く、楽しみな場所だった。 もういちどいう、ここにプライベートはないのだ。
ところがカザミは施設の中をうろついていた。
≪どこまで探ろうとしているのか、言えば、いないことなど教えてやったのに≫ しかし、そうしていたらカザミの入信はなかっただろう。そこに神の意志を感じた。
≪とりあえず様子を見るとするか≫
私の小部屋に来るようにと、伝えに行かせた。 水信者はカザミをカーペットの上に座らせて、黙って出ていく。
その対面に私が座った。これでカウンセリングを進められる。
「少しは落ちつけたでしょうか。なれないところです。無理しなくてもいいのですよ」
「はい。でもこんなにしてもらっていいのですか。財産のすべてを寄進せよとか言わないのですか」金目当ての教団と間違えている。
「そういうものはこの教団にはありません。必要以上のものを一般の参拝者から、お布施としていただいています」
「でも、私はなにも出していません」
「そうですか。ではあなたは、ここに参拝に来た多くの方に支えられているということですね。そのことを感謝できますか?
それでいいのですよ。代わりにここで自分と、支えてくれる人たちを愛し、感謝するのです。
信者となったあなたからは、金銭的な物はいただきません。むろん、教団内での仕事は分担があります」
むろんカザミには、金では買えないその体を、私のために使ってもらうのだ。
「他にも困窮に苦しんでいる信者はいます。いろいろな理由でここにきているのです。話したくない、話せないこともあります。
ですから互いに詮索しないように、普段は連絡以外の会話を禁止しています。ではまず、あなたの話せることからお聞きしましょうか」
女の話を聞いた。
ドウツはこの方針に反対だった。教義を広めるためにはそれなりの資金がいる。
信者を養うにも場所と仕事が必要だ。
この住まいも手狭になってきており、広い場所へ移る計画を立てているようだった。
「このままではここでする仕事がない人間が出てくるのです。仕事もせず自由に考えさせると、人はろくなことを考えないんですよ」
それならば、教団員を減らせばいいのだが、求める者を捨てることはつらかった。それに最初に切られるのは、私の信奉者だろう。
目をぎゅっとつぶって、物思いを断ち切る。 女はしゃべり続けていた。
「あなたはいろいろな重圧につぶされそうになっています。
都会の喧騒から離れ、ここのような自然に帰ることは大事なことなのです。あなたはその第一歩目を踏み出せましたね」その言葉が、じんわりと心にしみていくように目を見つめる。
初歩の魔術だ。


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