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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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新年の「かきぞめ」-1


 お正月休みを宮古島で過ごす児童会の団体が搭乗し終わり、クローズされたドアの窓越しにCAさんと琴美が互いにサムアップしあう。タラップ車の運転席に乗り込んでエンジンを掛け、降りてきた琴美の呼子の誘導でバックさせてトーイングに備える。
 サービス簡略化が特徴のLCCとはいえども将来の顧客になってくれるかもしれない子供のお客は大切にしなきゃいけない。営業と俺がそう力説して機体のイラストにきょうの日付と「搭乗ありがとう」のメッセージをプリントしたカードを差し込んだチケットホルダーを支店長決済で作ってもらい、それをチェックイン時に子供のお客ひとりひとりの首にかけてあげた。半分くらいが小学校低〜中学年の女児、ときいたから営業の肩を持った、というのは内緒だ。チケットホルダーを首からかけてあげるときにはちゃんと子供の目線に合わせてかがみ、「ありがとー!」とうれしそうに言ってくれる、たとえば小学4年生でひと昔前の子役にこんな雰囲気の子がいたような気がする丸顔の女児のちょっぴり杏臭い息臭を上と下の歯の間で糸を引く唾液を至近距離で見ながら堪能することが裏の目的にあったのはもっと内緒だ。でもまあ、男児にも分け隔てなく同じようにしてあげて同じように喜んでもらえるとやっぱりこっちもうれしくなるしやってよかったと思う。男児の息臭には興味ないけれど。
 ただまあこういう団体が搭乗する日は得てしていつもよりも手間も時間もかかるのが常で、通常の団体客と違って添乗員やそれに類する「旅慣れた系」の人がいなかったから、ドアクローズできたのは予定出発時刻を二十分も過ぎてからだった。航空機の「出発時刻」とはこのドアクローズの時間なので、今日の551便は定刻より二十分遅れで「離陸」したことになる。こういうときは本社宛にディレイ(遅延)理由を報告書で出さなきゃいけないので、今日も残業確定だ。まあ長期休暇の時期はだいたい毎日こんなもんだし、去年の大晦日に比べれば雪が降っていないだけまだマシだ。
 551便の離陸を見送り、機内清掃で出たゴミを業者へ出しに行く。戻ってきたら報告書を書き(というか入力し)、明日の業務の事前準備をする。元日なので正月らしい雰囲気を出すため空港会社と協力して飾り付けをしたり、事務所内のカレンダーを更新したりし、最後に気持ちだけの「大掃除」をして、年内の業務は終了だ。
 とはいえここにいるほぼ全員が明日も出勤なので、「年末最後」という雰囲気はあんまりない。忘年会は遅い新年会とあわせて二月頭あたりにやるのが慣例なので、自分の作業が終わった人からいつもの退勤と同じように帰宅していく。いちおう「お疲れさま」ではなくて「良いお年を」と言ってはいくけど。
 本社とのオンラインミーティングを待機している営業担当を残し、俺と琴美はオフィスを出て空港駅へ向かった。関係者以外がまず利用しないこっち側のコンコースは、吹きさらしのエプロンほどじゃないけれど空気が冷たい。

「やー、なんかバタバタして終わったね、毎年おなじだけど」

 ショートダウンコートのポケットに手を突っ込んで歩く琴美が苦笑いしながら言った。白い息がいったん琴美の正面で軽く広がってから左側にいる俺のほうへと流れてくる。

「年末年始くらいバタバタするくらいじゃないと困るよ。ボーナス、寒かったし」

「あー、寒かったよねー。あたしの大学の同級生、製薬会社でMRやってんだけどさ、ボーナス聞いてみたら夏だけでうちの一年分以上だったよ」

 はああ、と、ため息をつく。疲労感がこもった息臭が、俺の鼻には疲労回復剤のように漂う。

「MRって営業だろ?医者の都合に合わせて朝早かったり夜遅かったりって聞くぜ、そりゃ高いボーナスじゃなきゃ割に合わないよ」

「まあ、ね。あたしらの仕事って、いっそがしいときと暇なときの差が激しすぎんのよね。平均して……んー、でも楽な仕事ではないと思うけど」

 改札にスマホをかざして入場する。右側のホームでドアを開いて待っている電車に琴美がすたすたと乗り込み、はあああ、と息を吐きながらロングシートにぺたん、と座る。車内に俺と琴美以外乗客はいない。この路線ちゃんと採算取れているのかい、しかし。青葉線に乗り入れた先からはそれなりに乗り降りがあるようだけど、空港線単体で考えたら離発着時間前後以外はほとんど利用者いないんじゃ、という気がする。
 琴美がカフェオレブラウンのショルダーバッグからキャップがオレンジの生茶を出して一口飲み、わ、冷めてる、と独り言を言う。たぶんランチ用に買ったんだろうけれど琴美も俺も落ち着いて飯を食う時間的余裕なんかなかったから、俺のホットボスラテ同様飲みかけのまま冷めてしまったんだろう。そういえば琴美と業務以外の話をするのは今日これが初めてだ。

「そうだ」

 発車サイン音が無人のホームに虚しく鳴り響いてドアが閉まり、コンプレッサーの音を立てて電車がゆっくり動き出すと、琴美が俺のほうを向いて言った。

「おとといの麻衣ちゃんだけどさ」

「お、おう」

 変なテンションの声が出る。



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