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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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麻衣ちゃんの性の悩み-3


 有線のMR.BIGが途切れたタイミングと俺の声が重なる。えええ、と口を開けた琴美とわあ、と笑顔になった麻衣ちゃんとのコントラストがおもしろい。

「えええ、あんたいつの間にそんな人できたの?誰よ誰、あたし知ってる人?ねえねえ」

「わあ、好きな人いるんですか、うらやましい……」

 琴美のリアクションはまあ想像どおりで、麻衣ちゃんの反応はなんていうか、言いたくなかったことを言わずに済んだ安堵感が含まれているような気がする。俺の覚悟は、琴美がこれ以上麻衣ちゃんにしつこかったら「あの……私、正直男の人としては見ていないんです……」的なことを言い出すんじゃないかとちょっと不安になったから、ていうのもある。身近な女性、特に麻衣ちゃんみたいにオナペットにさせてもらっている子からのネガティブな反応は、なんていうかその、萎える。
 わあ、と、ほっとしたような吐息混じりの声に乗って漂う宮崎マンゴーソーダの甘酸っぱい匂いを嗅ぎながら、俺は間を持たせるために従業員呼び出しボタンを押してメロンチューハイ ―しのちゃんの影響で最近はすっかり疑似メロン味の飲み物がお気にになってしまった― を注文する。困ったように下がっていた麻衣ちゃんの眉ももとどおりの位置に復活し、琴美はグラス片手に食い入るように俺の顔を見ている。その昔、俺がしのちゃんくらいの頃テレビのワイドショーにはレポーターという人たちが出ていたけれど、いまの琴美にマイクを持たせたら熱愛が発覚した芸能人に突撃しているレポーターそのまんまだ。
 んんん、と咳払いをする。有線はC-C-Bに変わっている。MR.BIGからC-C-Bってどういう選曲なんだこの有線。

「や、琴美は知らない人だよ」

「誰よ誰、いくつ?どこの人?告ったの?」

 身を乗り出す琴美の、ベージュピンクのリップがあらかた落ちた口元からマスカットの香りがふわ、と漂う。居酒屋のテーブルで飲むって、顔と顔の距離が近くなるんだけど結局せっかくの息臭がぜんぶ飲み物や食べ物の匂いになっちまうのが悩みどころだよな。

「誰っってか、まあ、その」

 覚悟を決めた割りには口ごもる。いやさすがに「実はもう半年以上つきあっている彼女がいて、いま8歳で、キスとペッティング、無毛ワレメに直で射精までは進んでいる」とはいかに俺が正直な人間でも言えない。百歩譲ってこれが成人の彼女ができたななら琴美とはこれまでもさんざんエロトークしてきたからわりと赤裸々な話をしてもいいんだけど、まだ彼氏がいたことがない処女の麻衣ちゃんにそのあたりの話は刺激が強すぎるかもしれない。でも。

「まあ、俺のことはおいおい……それよかさ」

 琴美に倣って、俺もテーブルの上に顔をぐい、と乗り出す。素直に正面に乗り出すと位置的に琴美とキスしかねないので、斜め右前、琴美と麻衣ちゃんとの中間くらいにポジショニングする。

「麻衣ちゃん、さっきの琴美の話じゃないけど、彼氏いてもちっとも不思議じゃないし、大学に好きな人とかいないの?」

 追求を避けるためには、こっちが会話の主導権を取って矛先を変えるしかない。うまいぐあいに琴美もそうそう、と言いたげな表情で麻衣ちゃんのほうを向く。

「え、いや、私は……その……」

「てか麻衣ちゃんってさ、中学とか高校のときに告られたりしなかったの?あたし男子だったら麻衣ちゃんほっとかないけど」

 よし、琴美がそっちに完全に乗った。
 思いもよらず自分が恋バナの標的になった麻衣ちゃんの眉がまた困った形になっている。頬は赤く染まったままだ。たしかに琴美の言うとおり、俺が童貞 ―正真正銘の、だ― だった高校生時代にたとえば同級生に麻衣ちゃんがいたら間違いなく気になっている。すっごくかわいい、というわけではないけれど、目鼻立ちは愛らしいし、ほぼすっぴんと言っていい薄めのメークも俺好みだ。とはいえ麻衣ちゃんがバイトとして入社してきた時点で俺にはもうしのちゃんがいたから、彼女にしたいと考えたことはない。オナペットにはなっていただいているけど。

「え……そんな……私、男子からなんかぜんぜん……」

「たぶん麻衣ちゃん気づいてなかっただけだよ。逆にさ、麻衣ちゃんが好きだった人とか、いなかったの?今もいないの?」

 琴美が畳み掛ける。

「はあ……はい、いたことない、です」

 膝の上で両手の指をもじもじと動かしながら麻衣ちゃんが言う。

「え、ほんとに?ね、もしかして男性恐怖症?」

「え、いや、そんなことはないんですけどぉ……」

「男の子とつきあってさ、デートしたりキスしたりしたい、って思ったことはあるでしょ?」


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