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ロスト・マイ
【ファンタジー 官能小説】

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ロスト・マイ-12

「またおまえか。悪さのしすぎだ」クロの声でした。思わず後ろ振り返ります。
≪やっぱりクロだ≫ 彼はいつもいてくれました。
「マイを惑わすんじゃない」クロが厳しく言いました。その声にびっくりして、一瞬目の前が暗くなります。
タイトが逃げていきます。
「今のなに」
「なんでもない、君は幻を見せられたんだ。大丈夫だよ」クロはあたしには力強い笑顔を見せてくれます。
でもすぐに顔を背けました。
たしかに、二人連れの姿はどこにも見えませんでした。
「 ‥これはすでに監視の域を出て、管理するための一歩を歩み始めている。不明瞭な血は排除すべきものなのか。それは[神の系譜]の教義として認められることなのだろうか。 厳密に見ようとすればするほど。像がぼやける」
「どうしたの、急に難しいこと言いだして。あたしを魔女だと疑ってるの?」
「結局、トドウは疑いの目から入っているからなのかもしれないね」
「だれ、それ。その人はあたしが魔女だから悪さをしてると思ってたんだ」
「君は絶対にそんな子じゃないよ」
「あたしを信頼してくれてるっていうこと」
「君を信頼してるよ。血統のはっきりしない者を猿と揶揄することは、いたずらに人々の差別意識を助長し、分断するもととなる」
「何を言ってんのかわかんない、魔女とサル?」
「俺も分からないよ、難しすぎるね」クロが笑います。

次の日あたしはクロに呼び出されました。
「こっちへ来て」テーブルの前のイスに座らせます。
後ろに立つクロが、「僕は君が魔女かどうかを。判別しなければならなかったんだ。だからこんなものを毎週書いていた」
ノート型のパソコンを開きます。

―――――――――――――報告書
宛先 トドウ
内容 マイ・********* の魔術的背景に関する調査 35
〇概要
1 魔法伝授の行為は確認されていない
2 調査終了と離脱の報告

問い合わせ:なし

〇詳細 
1について
数年にわたる調査の過程において、これまで報告した通り、図書館長との接触は見られるが、対象者が魔術修行を行い、それを行使している決定的な証拠は得られなかった。
2について
また、別調査より、家系においての神とのつながりも確認されていない。
にもかかわらず、以前人権に配慮した調査を願ったことに対して、正当性を主張されたような現状にはなっていない。
私はこの、正当継承権を持つかもしれない者に対する非人道的な行為に加担することはできない。
全ては神の血の流れを持たない者への救済であるはずなのに、大きくそれている。それを看過することもできない。
どの様な教義も解釈を間違えると悪魔の書となり得る。
[神の系譜]の別の解釈をされる方の元へ移らせてくださるよう要請し、私の権利のもと要求する。
以上 全1枚―――――――――――――

「何これ」
「さっき出した報告書さ。ぼくはこんなことをしてたんだ」
「へえ、魔女だと思ってたんだ。聞いてくれたらよかったのに。調査終了ってなに」
「こんなおかしなことを続けていたくなかった。だからやめると言ったんだよ」
「調査のために私にギターを教えてくれたの」
「最初は近付く為だった。でも、教えたのは本気だよ」
「そうなんだ。じゃあ何が悪いの?」
「怒らないのか」
「今も調査のためにここに居るの、私と喋ってるの?」
「違うよ。だから調査なんかやめたんだ」
「もしクロに魔法が使えるのなら、すごいギターの腕にしてよ」
「無理だよ。魔法にできるのは苦痛を感じずに練習を続ける気持ちを持たせるぐらいだよ」
「よく知ってるんだ。大学ではそんなことも教えてくれるの」
「まあ、いろいろだよ」
「もっと教えてよ。あたしはバカだから。高等部にも行けないし」
「それはだめだよ。君がプロになって、ツアーで行った先の言葉が全然わからなかったら、ショッピングにも行けないよ。
その土地のことも知らなかったら、逆に君の国のことを聞かれて説明できなかったら悲しくなるだろう。
曲を作るにはいろんな言葉も知ってなきゃいけないし」
「そうなんだ。そうだよね。じゃあクロ、あたしに勉強を続けさせるおまじないを唱えて」
「そんな魔法なんて」
「知ってるじゃない。今、あたしに勉強させる気を起こさせたじゃない。これって不可能なことだよ」
「そうだね、魔法ってそんなものかもしれない。わかった」前に立たせます。 
「君は馬鹿じゃない、ひとつのことに集中することもできる。だからギターの腕はすごく上がっただろう。
君にはその自信と、裏付けがなかっただけなんだ。高等部にだって行ける」
そしてキスしてくれます。「これが契約の印だ。今の言葉は誓って本当なんだよ。そして君が学校を卒業してプロを目指す日に、一緒にバンドを組もう」
「約束だよ」「約束」二人は長いキスをして誓いあいます。


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