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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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妻を他人に (1) 告白-2

 ぎこちなく私に覆いかぶさりキスを求めてくる。
 なぜ慌てているのか、私にはその「理由」がピンときた。
 見てしまったのだ。
 妻がスマホを隠す直前、ほろ酔いのゆきと見知らぬ男とのツーショット画像が画面に映し出されていたのを。

「どうしたの? 急に」
「え? なんでもないよ。なんか変?」

 不都合な写真を見られ目を泳がす妻と、これ以上追求するのが怖くて固まる私。
 夫婦の間に、気まずい沈黙が流れる――。

 誰なのだ、あの男は。
 妻の顔は楽しげだった。
 少し照れているようでもあった。
 身体をそれとなく寄せ合い、肩と肩は触れていたようにも見えた。

 ――と、次の瞬間、私の下半身はかつてないほど固く張り詰め、気がつけば妻を裏返し、後ろから尻を掴み、めちゃくちゃに腰を振っていた。

  *

 夫のアブノーマルな性癖を初めて知ったのは、スローセックスでのおしゃべりの中でのことだった。

「今日のパパ、なんだかすごかった……ね……」
「なんだろう。俺もよくわかんないけどああなっちゃった。勝手にイッてごめん……」
「ううん。気持ちよかった。ありがとう……」

 夫婦の寝室に沈黙が流れる。
 夫の様子がいつもと違うのは、やはりあの写真を見てしまったせいだろうか。なんだか気まずい。

 こんなにも激しく夫に求められるのは初めてのことだった。数え切れないほどセックスをしているのに断言できる。それほど今日の夫はすごかった。
 息を荒げた夫にがっちり掴まれたゆきの尻は大きく突き出されることを余儀なくされ、その中心の花園に固くなった肉棒をねじ込まれ、かき回された。かつて身体を重ねた他の男たちとのセックスを、少し思い出した。振り返ると夫は彼らしくもなく顔を歪め、無我夢中で腰を打ち付けていた。このままではイかされてしまう――恥ずかしさと戸惑い、そしてわずかな期待に下半身の火照りを感じ始めた矢先、夫は果てた。

 夫は黙ったままペニスを引き抜き、寝支度を始めた。
 こちらを向こうとしないので表情がわからない。怒っているようにも見える。
 やはりあの写真を見て怒りに身を任せ、私を犯した――?

 ゆきの頭はフル回転をはじめた。どうやってこの場を収める?
 しかし気まずさと焦りに考えはまとまらない。

 ああもう、どうしよう?
 どうすればいい?
 まさかあの写真を見られるなんて。
 しっかり消したと思っていたのに。
 そもそも大した写真ではないのだ。わかってほしい。

 思考は乱れる。

 今夜の女子会。宴もたけなわのころ、隣のテーブルの男性サラリーマングループが話しかけてきた。このようなことはゆきたち四人組にとって珍しくもないことゆえ、はじめは適当にあしらっていたのだが、会話を重ねるうちにいつしか座席はシャッフルされ、合コンのようになってしまった。
 もちろん女性陣は四人それぞれに既婚者でもあり、多少のおしゃべりを楽しみこそしたものの、なにごともなく解散した。その場の雰囲気で何枚か写真も撮ったが、それ以上でも以下でもない。
 これがすべてである。

 スマホ画面を慌てて隠したのが決定的に良くなかった。
「夫ではない男性とのほろ酔いツーショット」という人妻にとって都合の悪い写真だったのは事実だが、しかし落ち着いて説明すれば理解は得られたはず。我ながら不審な行動だったと思う。

 だって、消したと思ってた画像が残ってて焦っちゃったんだもん――。

 軽率な対応をゆきは悔やんだが、もう後の祭り。
 ナンパ男たちと酒席を共にしたこと自体、やましいといえばやましいが、連絡先の交換もお断りしたし、ボディタッチもなかった。居酒屋などで声をかけられ少しおしゃべりすることくらい、これまで数え切れないほどあったし、それを夫に報告することもあった。
 実は今日だって、このあと言おうと思っていた。妻のいつもの「モテ自慢」に、夫が嫉妬半分、嬉しさ半分の複雑で愛おしい表情を見せてくれたらゆきとしては大満足。「大好きなのはパパだけだよ」と言って抱きしめてあげよう、そしてその後はたっぷり愛されようなどと考え、にんまりしていたのだ。

 ところが言う前にあの写真を見られてしまった。たった一枚、削除し忘れたものが残っていた。
 よりによって皆が写っている集合写真ではなくツーショット。しかもこんなときに限ってゆきの写真写りはとても素晴らしかった。照れと恥じらいの混じったなんとも色っぽい表情をしてしまっていた。身体も若干寄せ合ってしまっていたではないか。
 そんな写真を妻が隠し持ち、見られて慌てていたならば、夫はどう思う?

 ああ、最悪だ。
 この状況では、言い訳をすればするほど怪しさは増す。夫から聞いてこない以上、自分から切り出すのも憚られる。でも説明したい。
 お願いだからなにか聞いてきて。そうしたらきちんと説明するから。やましいことなんかないって説明できるから。なんなら麗美たちに聞いてもらってもいいし。
 なのに夫は何も喋らない。そそくさとパジャマを着て後ろを向いてしまった。寝たのだろうか。

 このまま放っておけばいい? 明日になれば忘れている? いや、あんな写真、忘れるわけがない。普段と違う夫の態度が何よりの証拠。今だってきっと寝ていないはず。妻の疑惑の写真についてあれこれ考えているに違いない。いちど芽生えた妻への不信は消えることなく、夫の心のなかに生涯沈殿し続ける。
 ああ、そんなの逆の立場なら耐えられない。

 ひょっとして私たち、離婚の危機――!?
 どうしよう。


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