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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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妻を他人に (1) 告白-3

「……えーっと…………見たん、だよね……?」

 ええい、もう聞いてしまえ。
 夫は相変わらず黙って背を向けたまま。怒っている? 戸惑っている?
 まさか本当に寝てしまったわけではないと思うが、沈黙はゆきにとって果てしない時間のように感じられた。
 もう一度声をかけようか迷っていると、夫が口を開いた。

「……ん? 何を?」

 ひえ。怒っている。怖い。

「えっと、あの……。写真……なんだけど……」
「あーー……、うん……。なんかちょっとだけど……。目には入った」

 ああ、終わった。終わったかも。
 今の私は夫にとって完全なる不倫妻。怖い。いや負けるな。頑張れ。頑張れ私。真実を伝え、離婚の危機を脱するのだ。

「やっぱり気になるよね……?」
「……あーー、まあ……多少は……」

 怖い怖い怖い怖い。低い声でぼそぼそしゃべらないで。

「えと、それなんだけど…………」
「それはやっぱり、気にしなきゃいけないような写真だったってこと?」

 怖いよー。人が喋ろうとしてるときにかぶせてこないで!

「いや……ちが……あのね……えと……その、あれは……」

 なんだこれ。
 重い雰囲気のせいで、まるで本当に自分が不倫の言い訳をしているような雰囲気が出てしまっているではないか。
 ああ、こんなんじゃ夫の中に芽生えた疑惑が、確信へ変わってしまう。止めなきゃ。止めなきゃ。

「なんでもないの……ほんとに。信じて」

 だめだこりゃ。「苦し紛れ感」がより一層増してしまった。
 さっきから私、ゴミみたいな発言しかしてない。
 しっかりして、自分。
 こちらにはやましいことなどないのだから。

 ゆきは意を決してスマホを手に取り問題の写真をもう一度夫に見せた。
 順を追い、顛末を説明した――。

  *

「なあんだ。そんなことかー」
「ごめんね。心配させて」

 疑惑はあっさり解けた。ゆきは安心すると同時に、はじめからこうしておけばよかったのにと自らの行動を悔やんだ。

「なんでこそこそ隠すようなことしたの?」
「消したと思った写真が残ってて慌てちゃったし、あとはやっぱり……何もないとはいえ、後ろめたさもあったし……」
「後ろめたかったんだ」
「あはは。まぁその……多少は……」

 そのとき、ゆきの下腹部あたりに触れていた夫のペニスがぴくんと反応した。
 ゆきが夫の顔を見上げると、彼は気まずそうな顔をして、さりげなく腰を引いた。ゆきが追いかけると、夫はまた腰を引く。

「……ゆきのこと、怒ってる……?」

 飲み屋でナンパされ楽しいひとときを過ごしてしまった自分とは、もうくっつきたくないということだろうか。ゆきは泣きそうになりながら再度謝り、夫の抱擁を求めるようにすがりつく。夫はしかし、そのたびに腰を引いて逃げる。
 そんなことを幾度か繰り返したのち、夫は観念したようにゆきを抱きしめてきた。

「ごめんゆき……俺、なんか今……変な気持ちになってる……」
「え?」
「怒ってないよ。嫌いになったとかでもない。ただ、変な気持ちになっちゃった」

 ふっきれたように夫が下半身を押し付けてくると、「変な気持ち」の本体が固く張り詰め、ビクンビクンと脈打っている。

「ゆきは今日、ちょっと後ろめたいことをしてきたんだよな……?」
「うん……」
「じゃあ俺も、ちょっと後ろめたいこと、言っていい?」
「え?」
 なんだろう。
「それでおあいこ。恨みっこなしということで」
「え? え?」

 なにがなんだかわからない。
 あ、ひょっとして麗美のこと?
 そうか。
 そうだ。
 麗美の写真を見てそれであんなに興奮して激しくしちゃって――ってこと?

 ゆきは麗美のことを大親友だと思っているが、唯一夫との関係だけは付き合い始めのころから、いや、付き合うもっと前、「Oくん」のことを好きになってしまったときから、もやもやした気持ちを抱き続けている。

 そうだったんだ。パパ、私じゃあんまり興奮してくれないのに麗美にならああなれるんだ。そうだったんだ。
 ああ、やだなぁ。そんな話、聞きたくない。

「言うよ? いい?」
「あ……ちょっと……あ……」

 たしかにさっき麗美の写真、じーっと見つめてた。ほとんど「ガン見」だったよね? 私気づいてたんだよ?
 パパの目はハートになってたかも。
 そりゃ今までも気にはなってたよ? でも怖くて聞けなかった。
 パパと麗美は私より付き合い長いし同じ大学だし、ずっと仲良かったし。昔二人の間になにかあったかもって考えちゃったこと、一度や二度じゃない。
 あぁ、どうしよう。それを今聞かされるのかな?

「実はさ、俺……」
「うぅぅぅ……」

 後ろめたいことって言うくらいだから、私にとってショックなことなんでしょ。きっと。
 麗美のことが好きだった? 付き合ってたとか? まさか。でも――。
 パパと麗美が?
 ひょっとして、エッチもしたことある?
 あぁ、やだやだ、いやだよぉ――。

「やだ。言わないで……!」
「言わせて! 俺さ……実は……」
「やだーー!」
「ゆきが他の男にナンパされたって聞いて興奮してる……! ごめん……!」
「は?」

  *


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