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LOOSE
【その他 官能小説】

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LOOSEU-3

「…は?…何を?」
『…だからっ………悠とあたしの関係を。』
…俺との関係を…ヤメル…?
『…もぅ…疲れたんだよねっ。あたし…悠と一緒にいるの辛くなっちゃったんだ…だから…だからもうやめる。悠との関係。』
「…なにイキナリそんな事言ってんだよ…」
『てかさ、あたし達わざわざこんな事言う義理でもナイけどさぁ。…なんかいきなり連絡ぶちっちゃうのとかは気引けちゃうじゃん?』
「……なんでだよ…」
自分でも驚く程声が震えて出た。
ナナが俺の目を見ない。
なんでだよ?
なんでそんな泣きそうな顔しながら笑ってんだよ…。
『…ごめんね。…今まで結構楽しかったよー。』
最後まで俺の顔を見ずにナナは笑いながら淡々と喋った。
俺は、伝えたいものがあるのに、まるで言葉がのどにつっかえたように出てこなかった。

ナナに…
言うべき事があるだろう?
伝えなければいけない事があるだろう?
伝えたい事がたくさんあるだろう?

けれど…どんなに心の中でもがいても、俺の口からはナナをつなぎとめる言葉も、自分を納得させる言葉も出てこなかった。
…それほど、ナナの言葉は予想もしていなかった俺にとってショックなものだった。

何も言えずただただ黙って唖然としている俺のそばで帰り支度をしているナナの気配がする。

『…じゃぁ…帰るね…』

立ち上がり、扉の前に立ち止まってからナナは振り返らず小さな声で言った。
『…仕事頑張ってね。…悠の作る服あたし結構好きだから…』


……パタン


静かに扉の閉まる音がして、始めて我に返った。

何してるんだ?
ナナの事おいかけろよ。

“もうやめょ…?”
“疲れたんだ”

ナナの言葉が何度も何度も頭の中でこだまする。
…追い掛けようとしても、ナナの言葉が俺を留まらせる。

俺達は恋人じゃない。
未来なんかない。
いつかこうなる事だってわかっていた事じゃないか。
それが今なだけだろ?

…わかっていたのに…

俺は甘い夢を見ていたのかな?

いつもの狭いワンルームにコーヒーの香りとナナの好きな音楽。
それはいつもと変わらないはずなのに、俺をひどく寂しい気持ちにさせた。
見渡す部屋の中に残ったのは、ナナの為に作った服とどうしようもない俺。

晴れ渡った空から降り注ぐ太陽の光がひどく眩しくて目を閉じると、不意に涙が溢れた。
その涙に戸惑って…止めようとしてもそれは止まらなくて……静かに…泣いた。
…ナナのあのいつもの香りをかすかに感じながら。


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