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ノラ猫 
【ファンタジー 官能小説】

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プロロゴス-1

「俺の話ですか。そんなものは、神の冗談か魔の気まぐれなのです。
どちらにしても面白くありませんよ。混乱するだけです」黒猫が言います。
「そんなに混乱するほどの人生だというのですか。気になりますね」ヒメさんは、あきらめてはくれませんでした。
「いいえ。ただ、いろんな俺が出てくるだけです。俺はひとりなのに何人かでもあるんです」
「実は、みんなそうなのかもしれませんよ。怒りの中の自分と和みの中の自分では、同じものにも、違った感情を持ちます。それこそ、別人のように。 そんなことはないという人は、それを理解するほど自分を見ようとしないか、気が付かないのかもしれません」
「人は、文字通りひとりではないということですね」
「魔女のレシピ(無)の中には出ませんが、よくあるレトリックとしては、頭の中の悪魔と天使です。『悪いことだけど楽しいからする』という人格と、『楽しくても悪いことだからしない』というやつ」
「でも 〇おれ、◎ぼく、■オレ、●俺。 ひとつとして、まともなのはありませんよ。どれも、この世界に現れた、似て非なるアダルトな夢の破片です」


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