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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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OL生活のスタート-1

 わたしは、採用前に食事をともにしてくれた榊原さんと同じ『〇○トレーディング』という会社に配属されることになった。社員寮もあるとのことだったが、会社の場所へ通勤するには、いま住んでいるアパートからでも都合がよく、寮には入らないことにした。入社式に臨むと新入社員はわたしを入れて7名だった。わたしが配置される課に案内されて、周辺を連れ回されて挨拶をする。何箇所目かの部屋に入ると榊原さんが居て手を振ってくれた。

 挨拶が一段落してお昼前になると、榊原さんが様子を見に来てくれた。

 「新人さん、お借りしまーす」

 榊原さんが周囲に声をかけて部屋から連れ出してくれる。そのままランチを食べに外に出た。

 「今日からよろしくね」
 「こちらこそ、なにもわかりませんが、よろしくお願いします」
 「大丈夫よ。いろいろあるかもしれないけど、なにかあったら何でもきいてね」
 「ありがとうございます」

 眼鏡をかけていていかにも仕事ができそう…というようだが、物腰が柔らかくて優しい感じだ。

 「あの…入社してからお聞きするのもおかしいんですが、この会社ってどんな会社なのでしょうか?」
 「そうねぇ…一言でいえば『明るい感じ』かな」
 「明るい感じ…」
 「そう。あんまり物事気にしないっていうか、さばけてるっていうか」
 「はぁ…」
 「『一度キリの人生を楽しむ』って感じかな。わたしもそう思ってる」
 「はぁ…」
 「だから、一緒に楽しく過ごしましょ?」
 「はい。よろしくお願いします」

 ランチのパスタを服を汚さないように慎重に食べ終わって、ナプキンで口元を押さえる。

 「そういえば、まだ現れてないと思うけど『○○トレーディング』の常務が、採用面接の面接官だった山崎常務なのよ」
 「はぁ…」
 「面接で貴女を見て、絶対にウチに引っ張る、って頑張ったらしいのよね」
 「そうなんですか…」

 面接のときに正面に座っていたいちばん偉そうな人を思い浮かべる。
 
 「面接のときに『大事なことは一体感』って答えた?」
 「ああ、そういえば…」
 「なんかその答がすごく気に入ったんだって」
 「はぁ…」

 気の抜けたような返事をするわたし。榊原さんは苦笑いしているように見えた。
 
 「ご挨拶に伺った方がいいのでしょうか?」
 「ああ、大丈夫よ。こっちから行かなくても、多分、今月のうちには『食事でもしないか』って話があると思うから。そのときはわたしにも教えてね」
 「…はい。わかりました」
 「貴女を見てると、昔の自分を見ているみたいで、なんだかうれしいのよね」
 「ありがとうございます」

 ○子姉も職場ではいい先輩に会えることが大事…と言っていたから、まずは幸先のいいスタートを切れそうだ。

 「今日はおごるわ」
 「あ、ありがとうございます…」

 会社に戻るとロビーにどこかで見た人が居る。榊原さんが声をかける。

 「上田さん、こんにちは。早速ランチしてきましたよ」

 採用でお世話になった上田さんだ。こちらも慌ててお辞儀をする。

 「お、おかげ様で、本日無事に入社することができました…」
 「ああ、固い挨拶は抜きで」

 初めて合ったときと同じセリフを聞く。

 「サカちゃんがいるから安心だけど、まあ、ぼちぼち頼むよ」
 「はい。わかりました。また、近いうちに…」

 上田さんと榊原さんが旧知の仲のように話をしている。

 「あの…あの方は、就職活動で最初にお会いしたのですけど、会社は別だったような…」
 「ええ、そうよ。でも、あの人の肩書は仮の姿みたいなものでね。グループ全体のあちらこちらに網を張り巡らしている人なのよ」
 「そうなんですか…」
 「あなたもそうだと思うけど、わたしも採用のときに世話になった口なのよ。今回もね、上田さんから『いい子が『トレーディング』に行くと思うから』って情報が来て、それで連絡を取らせてもらったりしたわけ」
 「そうだったんですか…」

 ただ相槌を打つばかりで、実のところなにもわかっていないけど、社会にはいろいろな仕掛けがあるみたいだ。

 「ふふ。ポカンとぢちゃって。カワイイんだから。またちょくちょくのぞきにいくわね。じゃ、またね」

 そう言って榊原さんは自分の部署に戻っていった。わたしは、戻るべき自分の部署が何階にあったかを案内図で探している。


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