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午前零時のイブ
【ファンタジー 官能小説】

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午前零時のイブ-5

「そうかい、それはいい」胸に手を入れてきて、乳房にさわり、スカートを持ち上げられました。
「乞食に犯されようとかまわないのか、お前は何でも受け入れるのだね」
「怖いです。でもあなたはまだ冷え切っていらっしゃるわ」本当は怖くて動くことができませんでした。「あなたがお持ちなのは、私を抱きたいという欲望なのですか。それとも体を温めたいという欲求なのですか」
「どちらでも同じことだ。お前は好きでもない者に対してでも優しく抱きしめてくれる。だから私もお前を襲うのではなく優しく抱き返してやろう」
男はシュミーズを持ち上げ、大事なところに手を差し入れてきます。しばらく触られました。
いつも来る若者と違いました。この男の優しい動きは、徐々に安心感と快感をもたらします。
そして優しく男のものが体の中に入ってきました。
それがいつになく気持ちよくて吐息を漏らしてしまいます。「こんなのは初めてです。今までは、女は痛いだけのものだと思っていました」
「ほら、痛いと思うようなことも順番を考えてじっくりやれば痛くない、それどころか気持ちよくもなるんだよ」
そう、この人は私がじっくり濡れるまでさわってくれるので、ひきつれるような痛みがないのです。
そしてめくるめく半時を過ごしました。
乞食は満足して立ち上がると、「何かを得るためにはその代償を払わなければならない。あなたも舞踏会に行きたいのだろう。お礼に行けるようにしてやろう」
「私なんか無理です」急に恐ろしくなってきます。
舞踏会用のドレスを縫っていたのは、ただの憧れでした。本当は行けるとも、継母が行かせてくれるとも思ってはいませんでした。それにもう、乙女ですらないのです。
「舞踏会を夢見て、今の生活を忘れたかったのだろう。乞食とも寝られたお前が何をためらう。乙女だった以前と今と、何が劣った」
「でも、世間が許してはくれません」
「最初に神が作った女は、上になって抱こうとする最初の男を嫌った。人はその女を悪魔とののしるようになる。悪魔とでも寝る女が、なぜその男を嫌ったのかも考えようとしない。
次に神は、従順な女をあてがい、人はそれが最初の女であるかのように称賛した。しかし、女がそそのかされて男を誘惑すると、男も誘惑に乗ったのだ、ということは忘れられ、結局悪いのは女とされた。
女はいつも男社会に翻弄され、自分の思いを語ることが難しくされる」
「でも無理です。私はたくさんの仕事を任されました。それに着ていく服もありません」
「だから、いちどにたくさんのことを言うんじゃない。順番を考えてじっくりやればいいんだよ」乞食はそういうと、「まずは部屋をツルツルのピカピカにすればいいのだな。では油を持っておいで」
手桶に油を持ってこさせると、応接間に入って柄杓で油を部屋中に撒き散らしました。
「何をするんですか」
「見てごらん、油で部屋中がツルツルのピカピカだ。言われたとおりだろう。さあほかの部屋も同じようにしておいで。その間に私は別のものを用意しておいてやろう」
乞食が出て行きました。
イブは他の部屋へ入って油を撒きました。こんなことをして後がどうなるか恐ろしくもありましたが、もうどうなってもかまわない。そんな気にもなっていました。
言われた通りに全部の部屋に油を撒きました。炊事場に戻ると、ちょうど乞食が戻ってきました。
「パン屋で十種類のビスケットをひとつずつ買ってきたよ。さあ、火を起こして、これをオーブンに入れておきなさい」
「そんなことしたら、朝には焼けこげてしまいます」
「そのとおり、ビスケットを焼けと言われたのだろう。それでいいんだよ」
次に大姉のドレスをみんな出すと、道の真ん中に放り投げて上から水をかけます。
「あとはほっておけばいい。通行人や馬車がしっかり押し洗いをしてくれる。さて用事は済んだな。では、舞踏会へ行こうか」


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