投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

午前零時のイブ
【ファンタジー 官能小説】

午前零時のイブの最初へ 午前零時のイブ 10 午前零時のイブ 12 午前零時のイブの最後へ

午前零時のイブ-10

身動きひとつありません。
王子がイブの上に覆いかぶさっていました。
「おまえにそれが教えられるとでもいうのか」シュミーズの胸もとをつかみ開かせます。
乳房が揺れ、わしづかみにされます。
「痛」薔薇の茎に残っていたとげが王子の指を刺しました。
「薔薇は甘いにおいと美しさで惑わせます。不用意に手を出すと、刺されます。あなたは『王子』という称号に惑わされます。皆は、『あなた』を欲しているのですか、『王子』を欲しているのですか」
乳房に王子の一滴の血が滴ります。
「たしかに、みなは私の顔の美しさや服の美しさを褒めるだけだ。宝石を欲しがり、王子という権力を欲しがる。それに価値があると思っているからだ。
女の深い愛情というものを私は知らない。王子としてはいらなくても、私としては知っておく必要があるのだろうな。あなたはそれを教える気があるのか」
「私でよければお教えします」
「その娘は汚れているのですよ、その女にとって、愛とは道具なのです」継母が叫びます。
「いいえ、あなたたちが道具に変えたのよ」
「神がそのために与え、許した行為を汚れというのか。この娘に悔い改めねばならない何がある。それがあるのはお前たちの方だ。その者たちを捕らえよ」衛兵を行かせます。
「それは、異端となりませんか」側近が慌てます。
「神から与えられた行為を異端と呼ぶか」
「神よ、どうかお許しください」 側近は身を引いて、祈ります。
王子は母と姉の三人に向かいます。 「この娘は自らの命をもってお前たちの命乞いをしたのだぞ。お前たちはその命をもってこの娘につぐなえるか」
「どうか、お慈悲で」
そこへ家臣のひとりがやってきました。
「どうした」
「この者たちの屋敷が火事でございます」
「原因は何だ」
「屋敷の使用人によりますと、どうも窯の中のビスケットが燃えて周りに火が移ったということのようです」
「ビスケットごときの火で火事になるのか」
「はい、それが部屋には油が撒いてあり、一気に燃え広がったというのです。そして消火に行った馬車は道に落ちていたドレスが車輪にからまり直前で動けなくなってしまったというのです」
「私の屋敷が、私の屋敷が」継母が叫びます。
「私のお菓子が」「私のドレスが」姉たちが叫びます。
「うるさい、言いたければ後はネズミか、牢番にでも話せ。つれて行け」
咳払いして立ち上がると、「もういい」 斧を持った衛兵を下がらせました。
そしてイブに、「処女でないのはあなたの状態であってあなたの責任ではない。それを裁くことはできない。だが、私はさらの物しか着たことがなかった」
「いいえ、着心地がいい服には、何度も腕を通されたはずです。そして着るごとに服も体に合っていくのです」
「そうだな。それを教えてくれただけでもあなたには恩がある」
「それはあなたが賢明な方だからでございます」
「たしかにあなたの着ているものは、愚か者には見えないドレスだな」イブを見ます。
「愛する者にも見えなくなりますわ」王子を見ました。
「どうだ、私はこんな女をも征服したぞ」高々と拳を上げ、宣言します。
「リドル王子ばんざい」 「リドル王子ばんざい」みなの歓声をあびました。
「お前はその、いろいろどんな風な抱かれ方をしたのだ」ささやきます。
「全部お教えしますわ」
イブは王子様と、毎夜、新たな体位をためしながら、
末永く幸せに暮らしました。とさ 


作 レナ   童話シンダーエラに対するオマージュ


午前零時のイブの最初へ 午前零時のイブ 10 午前零時のイブ 12 午前零時のイブの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前