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「背徳と退廃・花嫁Mの手記」
【SM 官能小説】

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「背徳と退廃・花嫁Mの手記」-10

(3)
 堂島教授は偏執狂です。
 夜が明けるまで拘束されたわたくしの裸身を嬲りつづけることに飽きるってことを知らない方でした。

「くふふっ……わたしが睨んでいた通りだ。美優、君の身体にはマゾヒストの血が満ち溢れているんだ」
 教授はそうおっしゃって、初めての絶頂にまだビクビクと痙攣させているわたくしの裸身を抱きしめて、横に並んでこられたんです。
「嫌っ。マゾヒストだなんて……恥ずかしいですっ」
 誰にも知られたくなかったわたくしの秘密をあからさまに言葉にされたんです。
 全身がゾクゾクしました。
「美優はマゾだってまだ認めたくないか?」
「嫌っ」

「こちらに顔を向けろ。わたしを鬼に変えた美しい貌を見せてみろ」
 ストレートの長い髪を掴まれ、教授の方に涙で濡れそぼったわたくしの顔を強引に向けさせられました。わずか十センチ程度の距離です。
「そっ、そんなに見つめないでっ」
 教授は普段の穏やかな白髪の紳士とはまるで別人のような恐ろしい形相をしておられました。

「まさにヨーロッパの貴族を彷彿とさせる美貌だよ。君を見ていると、いつもハプスブルク家のプリンセスか王妃の古典絵画を見ているような気分にさせられるんだ……わたしを狂わせた憎らしい顔だ。このツンと尖った鼻なんか、こうして潰してやる」
 わたくしの鼻が小生意気だと言って、指先で押し潰しされたんです。
「ひ、非道いっ……」
 女の貌を歪めて醜くするなんて、最低の恥ずべき行為です。

両腕を頭上で一纏めにして固く縛られているわたくしは、教授の粗暴な顔面嬲りから逃れる術はなかったんです。
 なのに、拘束されている身体がゾクゾクするほどの秘悦に曝されていたんです。

 男性からどれだけ言葉を尽くして賛美されても、わたくしは何も感じないんです。ミスキャンパスに選ばれたからと言って、嬉しくもなかったんです。幼い頃から可愛らしいお人形さんみたいだと散々言われつづけてきたからでしょうか。
わたくしは、むしろ醜い貌だと言われて辱められたかったみたいです。

「どうした?……ん?……美優はこんな風にされるのがいいのか?」
 鼻をペチャンコにされたり、鼻の穴を上向かせて豚のような鼻にされたり、頬を両手で挟まれて歪みきった貌にされたり、口唇を大きく開かされたりしていると、わたくしは背中を反り返らせてかすかな喘ぎ声を洩らすようになっていたんです。
「あ、ああっ。教授は非道い方ですっ」
 わたくしの声のトーンが悩ましい色に変わっていたに違いありません。
「そ、そうか……心の底では、君はこの美貌を破壊されたがってるんだ。醜い貌にされるのがいいんだな。真性のマゾヒストらしい倒錯した願望じゃないか」
 教授は本当に嬉しそうな表情をなさって、なんと言うことでしょう、突然わたくしの顔面に唾を吐きかけてこられたんです。


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