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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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混沌とした世界(中編)-11

ロンダール伯爵には、賢者マキシミリアンのように古代エルフ族が残した魔獣や魔族をふくめた魔物の知識がない。
吸血されて快楽の果てに仮死の呪いを与えるヴァンパイアや眷族ヴァンピールの存在や知識がない。交わった女性が仮死の呪いにかけられてしまうということだけを理解した。
ロンダール伯爵は、一族の配下には御屋形様、上様、と呼ばれている。

(ロンダール伯爵は、何のためにフェルベーク伯爵領をソラナを潜入させて調べているのか?)

ゴーディエ男爵は、ソラナのきゅっと美しい丸みのある尻に咬みついて快感に溺れきった状態で潜入した密偵だと聞き出していた。ソラナは快感が強すぎて、それをすっかり忘れている。

「ゴーディエ、御屋形様……ロンダール伯爵からの伝言をあずかっています。会って話がしたいとのことです」

ソラナは以前とは別のメスの巣の地域に潜伏して、ゴーディエと再会する機会を狙っていた。

「それはかまわないが、どこで会う?」

フェルベーク伯爵領とロンダール伯爵領の境にある宿場街ケールと伝えてソラナは立ち去ろうとしたが、抱きつかれ、両手で尻をつかまれて揉まれた。

「ソラナ、待ち合わせ場所までの案内と私の護衛をしてくれないか?」
「ゴーディエ、わ、私は御屋形様の、あうぅっ、あぁっ!」
「だからだよ、ロンダール伯爵を少し驚かせてみたい」

唇を奪われたソラナが、部屋の壁に追い詰められる。ゴーディエ男爵はソラナと戯れて、仮死状態にしないで吸血するコツを身につけていた。それまでは、吸血後の仮死の呪いから眷族となる才能がある女性が覚醒するのを待っていた。ソラナを眷族にする気はなく、情報を聞き出すためにひと咬みだけで少量の吸血に止めた結果、仮死の呪いにかかった眠り続ける状態にしないコツがわかった。
壁ぎわに追い詰められたソラナの尻ではなく、胸のふくらみを服の上から揉みしだき、さらに唇を重ねた。

ソラナと同じ家に暮らす「メス」は床に気絶して倒れている。
真紅の瞳で殺意を込めてにらみつけるだけで、怯えた者を気絶させることぐらいは、ゴーディエ男爵にもできる。法務官レギーネや3人のバルテット伯爵の縁者である愛妾たちほどの威力はない。まして、ヴァンパイアのヴァルハザードのように、にらみつけそれだけで弱い者なら殺せる威力はない。
床で気絶している「メス」はゴーディエが家に潜入していたことを、目を覚ました時には忘れている。強い恐怖を思い出さないようにする心の働きがある。

ソラナのスカートをたくしあげ、指先でソラナの下着をずり下げる。露出した牝の花にゴーディエはしなやかな指先をすべらせる。
ソラナがあえぎ声を上げ、ゴーディエにしがみついていた。
ゴーディエの指先は巧みにソラナの敏感な肉芽を探り出し、こねるように弄る。尻や乳房のふくらみを揉まれるのとはちがう快感が突き抜け、ソラナの全身の肌がびくびくびくっと波打つ。

「ソラナ、私も少し興奮してしまった、私の股間のあたりをさわってごらん、ふくらんでいるのがわかるだろう?」

ゴーディエはソラナの牝の花から手を離して囁く。ソラナの手が、おずおずとゴーディエのズボンの股間のあたりを確かめるように撫でる。
ゴーディエの逸物が勃起しているのが手ざわりでわかった。

(ソラナを犯しながらたっぷり血を奪ってしまいたいが、ロンダール伯爵と会うために仲介してもらわなければな。ソラナには可哀想だが、今夜もおあずけだ)

ロンダール伯爵とメイドのアナベルは宿場街ケールで、領主になったエステルの正体や、シャンリーがバーデルの都に鎮められている怨念を呼び覚まそうと虐殺を行い、奴隷市場、賭博場、遊郭の施設を建造して鎮めの力を弱めようとした情報をゴーディエ男爵に教えた。

(それほどやっても、バーデルの都には異界の門が開かないのか!)

「女伯爵シャンリーを処刑せよというのは、ランベール王の勅命で法務官レギーネと私が行った。なぜ、王がシャンリーを処刑するように命じたのか、それがわからない」

ゴーディエ男爵は、皇子ランベールが仮死の呪いで心臓を自在に止めることができるようにしていた事までは教えられていない。
バーデルの都に異界の門を開くのがシャンリーの目的なら、今、ゴーディエ男爵が命じられている勅命と目的は同じ。

「ゴーディエ男爵、バーデルの都やフェルベーク伯爵領には異様な雰囲気がありませんか?」
「異様とは?」
「蛇神に心が影響されて肉欲に従順すぎる人間が増えているってこと」

アナベルとロンダール伯爵に言われて、ゴーディエ男爵は思い当たるふしがいくつもあった。
メスの巣の「メス」はたやすくゴーディエ男爵と交わり、フェルベーク伯爵領の貴族と市民は愛欲の日々に溺れている。バーデルの都の居住地では、ゴーディエ男爵は商人と思われ、難民の女性からテントの中に誘われた。

「執政官ギレスやフェルベーク伯爵も影響を受けて、凶運にみまわれたから、もう死んでる」
「おや、ロンダール伯爵、なぜそう思うのですか?」
「僕らの一族の御先祖様は、伯爵領ができる前に、遠征した祓魔師たちに協力して、占いで凶運を避けさせた呪術師だから。僕やソラナも彼女もそうさ。占えば執政官ギレスやフェルベーク伯爵か死んでることぐらいわかるよ」

ロンダール伯爵は、アナベルの名前をこの会談の時にゴーディエ男爵に教えないように口にしなかった。
ソラナもアナベルの名前を教えられていない。ゴーディエ男爵が呪術師なら、ロンダール伯爵に対して呪詛を行う可能性もある。アナベルには、一族の当主を守るために身代わりになる役目かある。
アナベルにも呪詛を施されたら、ロンダール伯爵の身代わりになれない。
ロンダール伯爵は、腹ちがいの妹のアナベルを伴侶として愛しているのでアナベルが呪われないように気づかっている。

ゴーディエ男爵はロンダール伯爵に口止めをした。


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