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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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レナードの覚醒(中編)-1

賢者マキシミリアンが、ターレン王国のストラウク伯爵と蛇神ナーガの厄災を止めるために協力することで同意した。

アルテリスの協力で僧侶リーナは、疲労困憊していたがゼルキス王国へ辿りついた。聖騎士ミレイユと傭兵ガルドと奴隷商人シャンリーの村の焼き討ちを阻止して、辺境の森の鎮めに取りかかった。しかし、異界の門が辺境の森で開き、僧侶リーナは、蛇神の花嫁として淫獄のような異界へ連れ去られた。しかし、心だけは異界から脱出できた。賢者マキシミリアンやエルフ族のセレスティーヌは、呪物の蛇神の錫杖をドワーフ族の細工師ロエルに依頼し、賢者の石として錬成することで浄化することに成功した。
呪物の蛇神の錫杖をダンジョンで錬成召喚すれば、蛇神の女王ラミアが召喚される危険があったからである。
賢者マキシミリアンの錬成召喚により、僧侶リーナは精霊族の魔物娘であるドリアードの乙女、それも世界樹のドリアードとなった。
リーナを蛇神の花嫁の凶運から逃れさせる。蛇神ナーガではない伴侶とリーナが婚姻すれば、蛇神ナーガが世界に干渉する力を抑制できると賢者マキシミリアンは判断した。リーナは愛と豊穣の女神ラーナの化身だと判明したからである。

「焼き討ちにあった村人の亡霊を精霊に変える力がある僧侶なんて、僕はリーナ以外は聞いたことがない。愛と豊穣の女神ラーナが女神であることすら忘れて、人の身として暮らしているとは。他の神のように、異界にいて世界に影響を与えていると思っていた」

ストラウク伯爵はベルツ伯爵の令嬢ヘレーネが、遠い過去の世界のアモスにあった火の神の神殿の神官であり傾国の美女リィーレリアの転生者であることや、時を越える秘術でアルテリスが遠い過去の時代から来た者らしいことを、賢者マキシミリアンに語った。

「女神の化身。なるほど、女神ラーナが人として生まれ変わることで、この世界は存続し続けていると。しかし、蛇神ナーガは異界で神として滅びることもできず、女神ラーナと結ばれることで異界から出て復活しようとしている」
「むずかしい話はわからないけどさ、リーナがあたいに探して欲しいって頼んだレナードと結婚したいってことだよね。でも、ダンジョンから出られないから公爵様たちがレナードの居場所を探して、ここに来たのはわかったよ」

ストラウク伯爵は蛇神の祟りで、若い男性が子作りする力を失いつつあることを賢者マキシミリアンとセレスティーヌに相談した。

「エルフ族の王国でも、世界樹から生まれてくる子が女児ばかりになってしまいました。マキシミリアンが人間族なのにエルフ族の私にミレイユを産ませることに成功したので、魔力の強い人間の男性と交われば世界樹が子を生み出さなくなっても滅びることはないと、エルフ族は判断しました」
「私やテスティーノのような者は、子作りする力を失いません。蛇神ナーガが女神ラーナと交わるための力を集めていると考えれば、若い男性の子作りの力が失われつつあることや、エルフ族の男性が生まれなくなったのは蛇神ナーガの厄災ということかもしれませんな」
「その奪った力で、辺境の森では蛇のようなものが異界の門からあらわれて、女性を襲い、生きたまま異界へ連れ去っている状況となっています。ゼルキス王国の神聖騎士団は異界の門を祓い消し去る計画を立てたようです。ですが蛇神ナーガの厄災を止めなければ、異界の門は祓われても、身を守る魔力を持たない人々から精力を奪い、何度でも門が開くことになる」

ストラウク伯爵は山の神の巫女マリカの力を強化して、失われていく祓いの力を残すことを考えた話をした。

「僕もそれを考えて、娘のミレイユを神聖教団の聖騎士にした。ミレイユは聖騎士の試練で、夜の女王ノクティスと融合して、女神ノクティスの化身になってしまったけれど。神聖教団は、聖騎士を召喚するために才能がある者たちを集めている。今のところミレイユ以外は聖騎士になれず、聖騎士が異界の神を召喚する生贄だとわかって、神聖教団は聖騎士の試練を今は禁じた。聖騎士候補の才能がある子たちが神聖騎士団に9人だけだけど集まって、ミレイユと一緒に神聖教団から依頼されて、大陸であらわれている厄災を祓ったり鎮めている」
「ターレン王国には、ストラウク伯爵や私と息子のカルヴィーノしか魔物を祓う祓魔師の力を持つ者がいないと思っていました。しかし、今はアルテリスがテスティーノと修行中です。またザイフェルトという者も修行中です。ゼルキス王国には、貴方の令嬢のミレイユ様以外に9人も祓魔師がいるのですね」
「テスティーノ伯爵、異界の門が開き、ターレン王国には障気が流れ込んでいます。ゼルキス王国では魔法の障壁で結界を作り、障気の流入を防ぎ、大陸全域へ流れ込むのを塞き止めています。ストラウク伯爵領の異変は、その蛇神ナーガの障気の影響でしょう。他にも影響が起きているのではありませんか?」

セレスティーヌが指摘したように、障気の影響で、その魔物化する者があらわれ始めている。だが、ストラウク伯爵やテスティーノ伯爵はその異変には気づいていない。
賢者マキシミリアンは、古代エルフ族が魔獣を駆逐する戦いを行った歴史と、その結果、人の心に深く関わる神と呼ばれるものは異界に追放されたが滅びることはなく、今でも影響を与え続けていることを語った。

「蛇神ナーガだけではなく、僕らの知らない神、バモスで信仰されたの火の神なども異界から影響を与えている可能性はあるよ。バモスは、今は大陸南方の砂漠のあたりで、発掘調査をすれば神殿が見つかるかもしれない。神々が与える心の力で魔獣が生成されることもある。神聖教団は魔獣の出現や深刻な影響が予想されると、神聖騎士団に討伐や鎮めを依頼してくる。ターレン王国に、蛇神ナーガの異界から人の心に影響を与える障気が流れ込んでいる。魔獣が生成されて出現しても、おかしくない状況だと思う」

ストラウク伯爵は、スヤブ湖の主の大蛇の祟りと生贄の儀式の昔話を語った。


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