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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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レナードの覚醒(前編)-4

レナードは神聖教団の命令で、ターレン王国に僧侶リーナが愛と豊穣の女神ラーナの信仰を布教する補佐の任務を命じられていた。
ターレン王国に関する情報を収集し僧侶リーナを通じて報告する。大陸の他の国のように魔獣の発生被害が確認されたら、神聖教団からゼルキス王国の騎士団の隊長たち、賢者マキシミリアン、聖騎士ミレイユなどを派遣し祓いの対処する交換条件として、有力な貴族や国王に、布教の協力や国教として許可を取りつける。それが神聖教団がターレン王国へ布教するための計画だった。
ランベール王が、神聖教団の教団ヴァルハザードの記憶や似た身体の変化を受け継ぎ魔族に変化する可能性に、神聖教団の神官たちは気づけなかった。

案内人のレナードや僧侶リーナからの連絡が途絶え、ターレン王国への調査の継続の連絡が、ゼルキス王国の神聖騎士団の参謀官マルティナに届いたのは、辺境の森に発生している異界の門の破壊作戦の準備として、騎士団の隊長たちを強化している真っ最中だった。

「ゼルキス王国からターレン王国へ行けない事情を報告してみますか?」

紫色の瞳の参謀官マルティナは、上官である騎士団総長の聖騎士ミレイユに相談した。
辺境の異変を父親と母親のマキシミリアンとセレスティーヌは、神聖教団本部のハユウへ知らせていないことが神聖教団からの連絡からわかった。

賢者マキシミリアンは、僧侶リーナの正体が女神ラーナの化身であるとことや、ダンジョンを使って錬成召喚を成功させたことも神聖教団へ報告する気はない。知らせれば、信者には事実を隠して、辺境の異変の対処をマキシミリアンに頼んでくる。
辺境の異変が鎮まれば、リーナを大陸北方の大山脈にある神聖教団の本部ハユウへ連れ去ろうとするか、信者たちの混乱をふせぐため抹殺するようにマキシミリアンかミレイユに依頼してくる可能性は高かった。

聖騎士ミレイユはターレン王国から侵攻を受け、ゼルキス王国とターレン王国は緊張状態にあり、しばらく状況が落ち着くまでは戦争の発端になりかねないため調査は保留としたいという内容の神聖教団本部宛ての手紙を用意した。

ミレイユは、マキシミリアンが何を考えて行動しているかまでは把握できていなかった。また、ターレン王国で何が起きているのかまで予測できているわけではなかった。
だが、神聖騎士団が神聖教団本部からの依頼が実行できる状況ではないのは間違いないなかった。
手紙は国王レアンドロに頼んで神聖教団へ送ってもらった。しばらくのあいだ、神聖教団からの祓いの依頼は、国がひとつ滅びるほどの大問題でなければ、これで来ないはずである。

国王レアンドロから状況を心配されて聖騎士ミレイユと参謀官マルティナは質問された。危機的状況は変わっていないことや、作戦についてはまだ説明できないが準備中であると謁見の間で報告した。

「ミレイユ様、ニアキス丘陵のダンジョンへ、クリフトフ将軍に案内してもらいマキシミリアン公爵と作戦の相談をしてみたいと思っているのですが、許可をいただけますか?」

マルティナはミレイユに言った。ミレイユは、国境付近の状況が急に変わった時は対処しなければならないためゼルキス王国から離れられない。しかし、細工師ロエルからミレイユは僧侶リーナが生きていると聞き、とても気になっている事がわかっていた。
マルティナはダンジョンへ行き、僧侶リーナの様子をミレイユに伝えたいと思っていた。
そして、細工師ロエルとマルティナで考案している鎧や武器について賢者マキシミリアンの知識も参考にしたかった。

「行ってくれるのか?」
「ミレイユ様が本当は行きたいのはわかっていますが、再び辺境の森から襲撃があった時には、ミレイユ様がいなければ対処しきれません」
「クリフトフ殿はハンターギルド長なのでダンジョン内は心配ないとは思うが、辺境の森の異変でダンジョン周辺も影響を受けていないとも限らない。絶対に無理をしないでほしい」
「わかりました」

紫色の瞳の才女マルティナは、ハンターギルド長のクリフトフ将軍とニアキス丘陵へ向かうことになった。
細工師ロエルから、マルティナはマキシミリアン夫妻宛ての手紙をあずかった。
マキシミリアン夫妻は、ロエルたちがエルフの王国にいると思っていて、ゼルキス王国に滞在しているのを知らないはずなので伝えてほしいと頼まれた。

「うおおおっ!」

クリフトフ将軍は、大剣で出現してきた魔物と戦闘していた。今、クリフトフ将軍が仕留めたのは、人の大きさほどもある蟻である。

(ひとりで来なくて正解でした。まったく人の大きさのアリなんて。なんでしょう、これは?)

「くっ、ボスはどこだ。こいつらが集まってきたら、きりがなくなるぞ」
「ボスですか?」
「ああ、こいつらの3倍ぐらいの大きさのボス蟻を見つけて倒さないと、兵隊蟻が集まってくる」
「……3倍ですか?」
「ボスには剣だけじゃ無理かもなぁ。マルティナの火焔石をボスには使わせてもらうよ」

そう言いながら、マルティナにクリフトフ将軍がニヤリと笑った。

(クリフトフ将軍、絶対にこの状況を楽しんでますね)

「蟻から取れる蜜玉はうまいんだけど、なかなか出てくれないな」

クリフトフ将軍とマルティナはダンジョンで生成されてくる魔物を倒すと出現するアイテムで、食糧を調達していた。
魔石よりも実用品狙いである。
ダンジョンでは魔石が拾えると、細工師ロエルからマルティナは聞いていた。

「魔石はめったに出ないから価値があるってもんだ。期待しないほうがいい」

蜜玉について聞いてみた。
指でつまむほどの黄色の半透明な飴玉で舐めていると口の中でゆっくりとけて、甘さで疲れが癒されるらしい。蟻を討伐すると出現し、初心者のハンターには魔石とよく間違われる。

「ダンジョンは来るたびに、通路や部屋の配置が変わる。そして下の階になるほど広くなる」


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