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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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ザイフェルトの修行と厄祓い(中編)-8

警戒されていそうなら、ブラウエル伯爵領はあきらめて、ロンダール伯爵領、フェルベーク伯爵領、テスティーノ伯爵領の順路で村を荒らす事も考えていた。

(街の噂を集めることもできねぇのか、使えねぇ奴らだな!)

ロイドは仕方なく自分で酒場に行くことにした。手下たちには酒場の給仕娘ではなく、もっと安い裏路地の娼婦で我慢しておけと言っておいた。
錠前や扉の鍵開けもできず、喧嘩も腕が立つわけではない手下たちは、女性を強姦することだけは躊躇しない。緊張して萎えることがない。精力が強いということだけが押し込み強盗として役立つ。

「伯爵領をまわりながら商売をしているんです。バーデルの都は変わってしまいましたから。ここはいい店ですね!」

安酒ではなく、ほどほどの酒を飲みながら、ロイドは女店主のミランダに話しかけていた。もしもバーデルの都にいた盗賊団の生き残りなら、バーデルの都の酒場で商売していたミランダの顔を知らないはずはない。ミランダもロイドの顔に見覚えがなかった。盗賊は偽名を使うこともあるのであてにならない。

「奴隷商人ではないですよ。ここいらにも来るんですか?」
「あんたが奴隷商人だったら、うちの店では酒を出さないよ。自分から奴隷商人って言うとは限らないけどねぇ」

ミランダは盗賊団の生き残りとバーデルの都からの奴隷商人を警戒していた。怪しい睡眠薬で眠らせて拉致するという噂があると、奴隷商人の悪い噂をミランダはロイドに教えてやった。

ロイドは酒場の給仕娘を誘うことに成功した。ロイドは、身なりだけはまともな商人らしいものを着ている。酒場に来ている手下たちも、ロイドと言葉を交わさない。ロイドは店主のミランダが手下たちには、給仕娘を買わせないようにしているのだと見ぬいていた。

ミーナは、ロイドをベルツ伯爵領から来た田舎商人で、裕福な上客ではないが、一夜限りの相手なら悪くなさそうだと考えて自分の暮らす借家に連れて帰った。宿屋で客と娼婦が泊まる宿代を、自分の借家を使うことでチップとしてもらうためである。
ロイドはへディから噂を聞き出すつもりだった。しかし子爵カルヴィーノのように、ロイドは必要な噂を簡単に聞き出すことはできなかった。
カルヴィーノは、シナエルに自分の目的を明かし協力を求めた。ロイドの場合はさすがにジャクリーヌ婦人を強姦するためとは、ミーナに打ち明けられない。
へディが手下たちとも寝て、窃盗団であることを嗅ぎつけた。自分も仲間にしなければジャクリーヌ婦人に密告するとへディから脅されるとは、ロイドは思っていなかった。ミーナは、街で最も噂が集まる酒場の給仕娘であることは間違いなかった。あっさり不審者として探られてしまい、窃盗団であることをミーナに見抜かれた。ミーナは酒場の店主のミランダにロイドたちの正体を密告したりはしなかった。手下たちとは寝るなと言われていたのに、どっぷり足を踏み入れていると言えば街から追い出される。
街から追い出されるなら、ロイドと大金をせしめてからとミーナは考えている。

ブラウエル伯爵が伯爵領にいるかどうかは、街の噂ではわからなかった。ブラウエル伯爵は、貴族の若い男性は邸宅に招くが、女性はジャクリーヌ婦人が招くのを嫌がるために招待しない。
王都からのブラウエル伯爵領へ来る貴族の客は、街の酒場に立ち寄らずに、ジャクリーヌ婦人の邸宅へ訪問するだけで用事を済ますと、街に滞在せずに帰ってしまう。バーデルの都がバルテット伯爵が領主だった頃は、ブラウエル伯爵領からバーデルの都のバルテット伯爵に面会してから王都へ帰るために、レルンブラエの街に宿泊することはよくあった。
現在のバーデルの都は女伯爵シャンリーが領主で、ジャクリーヌ婦人はシャンリーを名前を口にするのも嫌がるほど毛嫌いしているのでつながりがない。

ベルツ伯爵領、ロンダール伯爵領、フェルベーク伯爵領の村人たちやパルタ事変の影響で失職した小貴族が、ブラウエル伯爵領に働き口を探すため街へ来ることが多くなっている。
以前とは街の客層がちがうという情報をへディから聞き出したが、ロイドには関心がない情報であった。村人や小貴族はブラウエル伯爵に招かれたりはしないので、ブラウエル伯爵の所在についての情報は、酒場の給仕娘ミーナからはロイドは聞き出せなかった。

(伯爵がいるかはわからないが、ここは勝負で乗り込んでしまおうか?)

ジャクリーヌ婦人の邸宅の間取りは、ロイドは飼われていたので把握している。しかし、働くメイドたちに顔が知られており、偽名を使っても邸宅に直接訪問して乗り込むのは難しい。手下たちでは門前払いされるのはわかりきっている。
ロイドは選択を迷っていた。

股間の逸物に牡のリングをつけた男。ベルツ伯爵領では、強姦者の情報がベルツ伯爵によって領内に流されていた。容姿については手下たちとロイドが見分けがつかず、さらに偽名を使い分けていたので判明していなかった。捕らえた者たちの股間を確認してもリングはなかった。

ベルツ伯爵領でロイドが捕縛されなかったのは、ストラウク伯爵領で、美丈夫ザイフェルトとジャクリーヌ婦人との因縁があるフリーデが運命を変える力を身につけつつある影響であった。

ザイフェルトの修行は、冬を迎える準備の食糧の確保ために狩猟や食材の採取の日と、森の空き地の武術の修行の日があった。

「ザイフェルト、この茸は食える?」
「それは食べると痙攣を起こしなから、吐く」
「この白いのは色が目立ちすぎだから、食えない茸だよな?」
「これは煮て食べられる」
「この前、見つけた白いのはダメって言ってたよな?」
「茎のつぶれやすい軽いのが毒茸、これは似ているが茎が重くつまっている。苦味はあるが食べられる茸」
「匂いが同じだし、この茸はそれと同じやつだろ?」

ザイフェルトが、アルテリスから渡された茸の傘を少し裂いて、じっと見ていたが、顔を横に振った。


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