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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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リーフェンシュタールの結婚(後編)-8

「忌み地」となっているトレスタの街と村の間を耕作してみたり、街と村の途中で休憩できる建物を作ることは、子供のザイフェルトが木登りをして禁忌を犯したのと変わらない。
その結果が悪ければ、避けてきた土地で余計な事をしたせいだと不安になる者たちが多いほど、悪影響が本当に起こり始める。
その前に手順を踏んで、この土地は安心して使えるようになりましたと、街や村の住人たちを納得させる必要がある。

(こわがらせないで、隠された不安を取り除く方法は何かないかしら)

ヘレーネは、レチェが街のリヒター伯爵の邸宅へ、そおっと帰ろうとするのを捕まえて抱き上げた。

「レチェ、本当に何もないの?」
「うにゃうにゃにゃうぅ〜」

レチェは不満げな鳴き声を上げていた。リヒター伯爵の邸宅では、集まっている者たちの強い情念の力がある。ただの空き地をうろうろしているよりも、邸宅にいるほうがレチェにとっては何か起きそうで楽しいのだろう。強い思念や情念をレチェは感じ、悪影響が出れば、美味しい餌ができるのを知っている。

「レチェ、ザイフェルトにはたっぷり女性をやたらと美化しないように話を聞かせておいたから、貴方の喰らう餌はできないと思うわよ」

心の底に、よくわからない恐怖を潜めている住人たち。その思念の力はそれぞれは小さなものだが、まとまれば影響力がある。リヒター伯爵の祟りをさらに軽くするには、リヒター伯爵領の住人たちの心の変化が必要なのだった。

ヘレーネが調査して感じたのは、安心して暮らしている住人たちの心の底には、過去の時代に侵略されて服従しなければ殺された恐怖の感覚が隠されて残されており、貴族の末裔が暮らすトレスタの街と自分たちの村との距離を作ることで折り合いをつけているらしいということであった。
ストラウク伯爵の領地では、領主のストラウク伯爵そのものが村の住人としてなじんでおり、歴代の領主たちが住人たちの不信感を消し去る努力をしてきたことで、祟りが起こらないようにしてきたのだと理解した。
パルタの都は、貴族と小貴族が住人であり、不信感を隠す先住民の末裔が、ほとんど暮らしていないのだろう。
それが、リヒター伯爵領と避難場所に指定された土地とのちがいだった。


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