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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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リーフェンシュタールの結婚(前編)-4

「報酬とは何をどうすればいいのでしょうか……頼みごとをしたのは、僕のほうなので報酬についても、詳しく話し合っておくべきでした。報酬については、リーフェンシュタール様と交渉するようにとだけ伝えられました」
「頼みごとを引き受けたのは、カルヴィーノで、私は彼からの報告はまだ受けてはいない。カルヴィーノに依頼した内容については、彼が戻りしだい私に報告があるだろう。だから、今、君からは依頼の内容については聞かずにおこう。カルヴィーノが依頼を受けた内容であれば、あまり心配はしていない」
「では、報酬についてはどうしたらよろしいでしょうか?」
「依頼に成功した場合と、失敗した場合では、依頼者にどれだけ感謝されるかはちがう。感謝の気持ちを言葉以外で伝えたい時と、相手に依頼について今後は干渉せず、また義理でのつきあいを断る場合に、報酬というものを用意する。また相手に依頼を遂行するための強い意欲を持ってもらうため、依頼と一緒に条件として提案する報酬がある」
「感謝の気持ちの示しかた。関係のかたち。意欲を持ってもらうためのもの」
「そういうことだ。だから、カルヴィーノにどうやって感謝の気持ちを伝えたいのか、今後は彼とどんな関係を持ちたいのか。あと君が考えてみるとすれば、報酬を事前に聞かずに相手が引き受けるときは、依頼を引き受けることで自分にも利がある場合、相手と今後はつながりを持ちたいと思った場合があるということだろう。それにしても、私と交渉して報酬を決めさせるというのは、ずいぶん乱暴なやり方だと思わないか?」

リーフェンシュタールと話していて、シュレーゲルは、まったく頭の中が霧がかかっているみたいにわからなかったことが、少しわかったような気がした。
シュレーゲルが、カルヴィーノと今後はどんな関係を持ちたいのかを示すことが必要だということ。
それを、リーフェンシュタールと交渉するように言ったということは、カルヴィーノにとって、リーフェンシュタールという人物をカルヴィーノは自分と切り離して考えられない存在だと思っていることがわかる。

「報酬の話はカルヴィーノを交えて話すほうが、風通しが良い話し合いができると私は思う。君はわざわざ私に会うために来てくれた。カルヴィーノとの約束を守って。私も君と面会してみようと思った。君は、私の父のリヒター伯爵とも面会してみたいか?」
「リヒター伯爵に会っても、何を話してよいかわかりません。父のベルツ伯爵について質問されても、あまり話せることはないと思います」
「リヒター伯爵は、ベルツ伯爵について君に質問すると思ったのだね?」
「はい」
「父は君に好きな食べ物を聞くだろう。そして、その食べ物に関する思い出は何かないかと聞く。他にも、とにかく好きなものについて聞く。君の父上の話は避けるはずだ」
「そうなのですか?」
「人は興味のあることしか、人に話せない。そして、同じものが好きな人物と会った話をする。そして、また会いたいと思えば、また会いに来てくれるかと言う。そうでなければ、今日は有意義な時間をありがとうと言って話を終えて、その後は面会を避ける」
「リヒター伯爵は、自分の好きなものについては話さないのですか?」
「それは父と会ってみたらわかると私が言ったら、会ってみたくならないか?」
「止めておきます。今日はリーフェンシュタール様に会いに来たので」
「そうか。一度に何人もの人に会うのは疲れてしまうからね」
「ええ、緊張もしますから」
「私はカルヴィーノを羨ましく思うことがある。彼は他人に、あまり緊張させずに話すのが得意だから」

リーフェンシュタールはそう言って微笑した。シュレーゲルは、リーフェンシュタールの声がとても優しげなのに気がついた。

「僕はリーフェンシュタール様と雰囲気が似ている人を一人だけ知っています」
「ほう、それは誰かな?」
「僕の腹ちがいの姉のヘレーネです」
「そうか、姉が君にはいるのか。どうして似ていると思ったのか、話してくれるかな?」
「優しげに人と話します。その分だけ避けられた時には、とても冷たい態度だと相手は感じると思います」
「そうだね。私は臆病なところがある。できれば初めて会った時から他人に嫌われたくないと思っているからだろう。そこは、君の姉上と同じとは限らない。私はそう思っているという話だ」

この時、リーフェンシュタールは初めてヘレーネの名前を聞いた。
ヘレーネの名前をシュレーゲルが口に出した時、シュレーゲルの緊張感が少しやわらいだのをリーフェンシュタールは感じた。

(ヘレーネという姉のことを、シュレーゲルは慕っているのだな)

「シュレーゲル、私には兄や弟、姉や妹もいない。この伯爵領からは、かつてニクラウス王や廷臣ヴィンデルの父親アルトーラスなどの人物を輩出しているが、どの人物たちも子は少なかった。そういう血筋なのだろう」

リヒター伯爵はニクラウス王の孫にあたる。ランベール王やゴーディエ男爵も、血筋をたどればこの土地の血統ということになる。

シュレーゲルは父親のベルツ伯爵には腹ちがいの子が多い。フリーデの隠れ住んでいた村の地主の3人の妻たちもベルツ伯爵の産ませた娘たちで、シュレーゲルの腹ちがいの姉たちである。そう考えると、自分は子だくさんな血筋だとシュレーゲルは思った。

「血筋で、人は似ることがあると思いますか?」
「幼い頃から接してきた大人がいれば、影響は受けるだろう。あとは、めずらしい考えを持つ人と会って話す機会が多くあるほど影響を受ける。君はこれから、いろいろな人の影響を受けていく時期だと思う」

めずらしい考えを持つ学者モンテサントの影響を、リーフェンシュタールは受けている。自分の口調は、モンテサントの口調と似ているとリーフェンシュタールは感じることがある。

(父上や兄上と僕は似ているのか?)

ベルツ伯爵とフリーデに暴行した子爵メルケル。


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