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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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シャンリーの謀略-1

シャンリーは、ターレンの王ランベールとすり替えるために身柄を確保したゼルキスの密偵レナードの行方がつかめず、計画を変更することにした。

ランベールとの密会の場所は、シャンリーの娼館ではなく、今はターレン王の後宮になっていた。

ランベールとの情事のあとで、シャンリーは、傭兵ガルドをニアキス丘陵にターレン軍が進軍する時の将として召し抱えて、隙をみて戦死させるのはどうかと提案した。

「ゼルキス王国には、戦女神と呼ばれる騎士ミレイユと配下の騎士団がいます。また、ゼルキスは神聖教団とつながりがあり、他国から援軍を要請する可能性もあります。
我が軍の士気は高まっているとはいえ、先王ローマン陛下の配下には兵を率いる将はおらず、ランベール陛下が自ら戦場へ出向き、指揮をなされることになるでしょう。
しかし、ランベール陛下の御身に、もしもの事があれば、ターレン王国滅亡の危機にもなりかねません」

そう言いながら、シャンリーはランベールの乳首をそっと指先で愛撫した。

「貴族の将では、新たに集めた兵は従わぬということか?」

ランベールもシャンリーの妖艶な美乳を揉みながら質問した。

「それもありますが、ローマン陛下に仕えていた貴族の中には、ランベール陛下に忠誠を誓ってはいても、それは身の保身のためであり、自分の子女を後宮に入れ、新たな皇子の後見人として権力を握ろうとは考えていても、国のために戦場で命がけの働きをしようと望む者は残念ながらおりません」

「……傭兵ガルド、さすがにシャンリーでも暗殺するには難しい豪傑ということなのか?」

「おたわむれを、私は暗殺など存じません。ランベール陛下御即位に反対していた者たちは、不慮の事故で亡くなったのです」

シャンリーが、ランベールの股間の勃起したものを撫でながら言った。

貴族たちにゼルキスと同じようにターレンにも騎士団を設立する王命を出し、シャンリーが、貴族たちに金を貸しつけすることを、さらに提案した。
戦場に出るのか、資金を出すのかを選ばせればいいと、シャンリーは言った。

「傭兵ガルドを騎士団長に就任させ、将軍として指揮させれば、平民上がりの兵たちはさらに士気が上がるかと。戦となれば、傭兵ガルドが豪傑でも、補佐する指揮官が必要となります。平民の中にも戦に使える者が、野に埋もれている可能性もございます。集めた兵の中から兵を訓練できる者を騎士として取り立ててやればよろしいと思われます」

騎士は貴族だが、先祖伝来の領土を持たない貴族階級である。戦功に対して金銭で報酬を国から受けるのみである。

「勝ち取ったニアキス丘陵の土地を、騎士たちには、分ける必要はないというわけだな」

「ふふっ、貴族ではない平民が貴族として出世させてもらったと感謝して、命がけで、ランベール陛下の代わりに戦ってくれるのですよ」

「よかろう。傭兵ガルドと謁見して騎士として任命しよう。王城へ傭兵ガルドを連れて来るがよい。
だが、シャンリー、傭兵ガルドは、余の厚意を無下にするようなことはあるまいな?」

「お任せを、ランベール陛下。このシャンリーが、ガルドを説得いたします」

ランベールはうなずいて、シャンリーと唇を重ねると、舌を絡ませ合った。

(ガルドは兵力を、私は宮廷の実権を握れば、戦が終わるまでは、ランベールを傀儡にしたようなもの。この戦、せめてニアキス丘陵を、ゼルキス王国と分け合うところまで持っていかなければ……。
ランベールに指揮権を与えれば、ターレン王国は滅亡しかねないわ)

シャンリーは、神聖教団が聖騎士以外にも、戦うための僧侶を育成しており、それが、ゼルキス王国の騎士団であることは情報として把握している。

神聖教団の女神信仰と、エルフ族の信仰する世界樹信仰。
神聖教団は、それ以外の神を信仰する者を排斥するつもりらしい。

神聖教団の聖騎士ミレイユや騎士団の隊長たちは、全員女性である。
それに対抗するために、シャンリーが選んだのが、傭兵ガルドの傭兵団である。

欲望のままに、女性を凌辱することを楽しんでいる鬼畜の傭兵団。

(もしも、私の推測が正しければ、神聖教団の小娘たちを使い物にできないようにできる。それに祭祀書さえ見つけられたら、小娘たちは手駒として使うこともできるのに)

ターレン王ランベールは、シャンリーが何を考えているのか、ターレンの王妃になることが目的と言ってはいるが、それ以上のことを企んでいるのではないかと考えていた。

ランベールは、先代のローマン王よりも名君と呼ばれるなら、それで満足なのである。

ローマン王が好色家だったのは、ランベールは身を持ってよく知っている。それを利用したシャンリーの策略で、ローマン王を毒殺して王位を簒奪できた。
自分がいくら好色でも、父王ほどではないと思っている。

ランベールは、かつてターレンが蛇神の神殿があった聖地だと知らなかった。
王家の血には、その頃からの好色の血が受け継がれているということも知らなかった。

ターレンの王家は蛇神の神官の血統であることを、シャンリーは知っている。
だから、シャンリーがターレンの王妃になろうとしているとは、ランベールにはわからない。

蛇神の信仰が人々から忘れられている間に、神聖教団の女神信仰が、北のゼルキスから南のターレンまで布教されて、肉欲は愛情を示すためのものと思い込まされてしまった。
淫らな熱狂や悦びを、蛇神に捧げることで奇跡すら起こす力があることを、人々は忘れてしまった。

いや、忘れさせられてしまった。

たとえば、財力がない人間は、財力のある人間の身代わりに、汗水垂らして、飢えて働く奴隷として、また戦になれば、兵士として、酷使されて死んでいく。

それでも、愛と豊穣の女神ラーナの御加護のおかげで、生かされていると感謝して祈りを捧げるのか?


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