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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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ゼルキス宮廷会議-2

国王アレンドロが全員の顔色を見渡し、ハンターギルド長のクリフトフだけが、とても困惑しているのに気がついた。

「ニアキス丘陵を、我がゼルキス王国が押さえておきたいのは、開拓できるからではない。正確には、ダンジョンを管理しておく必要があるからなのだ。この話はこの場限りで、他言無用とする。これは王命である」

ダンジョンが侵入者を吸収する。
内部に侵入すれば、大陸ですでに絶滅したと思われる危険な種族が生成されており、侵入者を襲う。
侵入者な命を奪うために。

北のゼルキス王国も、南のターレン王国も、かつては呪われた異界であった。
そこに足を踏み入れぱ、必ず呪われて死ぬという地だった。

それを浄化するために、女神を信仰する人間族の賢者や遠く離れた地のエルフ族の神官にも協力してもらい、ダンジョンが作り出されたのである。

「どのように呪いで死ぬのかは文献もなく、はっきりとはわからないが、遠い昔の呪いが解かれていないのは、今でも、ダンジョンが存在していることからわかる。また、先人たちがなぜ、豊穣なニアキス丘陵を開拓せずに、ゼルキス王国とターレン王国と、北と南に別れて国を作ったのを考えてみたことがあるかね?」

オークは、近隣の村を襲撃せず、どちらの王国にも侵入して来なかった。

「オークがニアキス丘陵にいたから、開拓しなかったのではありませんか?」

国王アレンドロに質問されて、貴族のひとりが答えた。

「開拓をニアキス丘陵のオークが妨害したという記録は、ひとつも残ってはいない。ニアキス丘陵のオークは好戦的ではなく、他の地の古代種のように街や村を襲撃した記録も、また残ってはいない。さて、ミレイユ、それはなぜか、わかるかね?」

国王アレンドロが、今度はミレイユに質問した。

「ニアキス丘陵のオークは、ダンジョンに人間が来なくても、侵入する贄が途絶えないようにしてくれていたと思われます。オークがいなければ、人間を捧げなければならなかった」

「そういうことだ。しかし、今はダンジョンに魔石を求めて人間が潜るので、わざわざ生贄を捧げる必要はないがね」

宮廷議会メンバーの貴族たちが、トレジャーハンターギルド長のクリフトフを、おそろしいものを見るように見つめた。

(なるほど、そんなことじゃないかと思っていたが、ダンジョンは呪いを抑えるためのものだったのか)

ハンターギルド長のクリフトフは「今回の件が解決するまでハンターのダンジョン探索を規制する」と言った。
つまり、ダンジョンへの生贄をしばらく捧げないと言ったのと同じだと、貴族たちが思ったらしいのが、クリフトフにもわかった。

「クリフトフ殿、戦にでもなれば話が別だが、ダンジョン探索の規制はせずに、村を焼き討ちした盗賊どもの首領に賞金をかけるというのはどうかな?」

「焼き討ちした盗賊ともの首領はわかっているのですね。異議はありません」

国王アレンドロは、ミレイユ以外の宮廷議会メンバー全員に、傭兵ガルドの懸賞金として出資するように命じた。

「それとも、諸君、ミレイユのように、自分たちの命を国のために捧げてみるかね?」

国王アレンドロがニヤリとミレイユに笑ってみせた。

(これで傭兵ガルドの居場所をつかむことができる)

ハンターたちが懸賞金を狙って、傭兵ガルドを探すだろう。
ミレイユは、その情報から傭兵ガルドを討伐に向かえばいい。

「国王陛下、感謝致します」
ミレイユが立ち上がりアレンドロに頭を下げると、会議室から立ち去った。

聖騎士ミレイユに、僧侶リーナが従者として同行することは、事前に謁見してアレンドロに伝えてある。

宮廷会議後、騎士団本部では、騎士団長ミレイユがニアキス丘陵周辺へ、傭兵ガルドを討伐に行くと知り、同行を望む隊長格の女性たちがミレイユの執務室に集まってきて、なだめるのに苦労した。

ゼルキス神聖騎士団はミレイユの方針により、実力があれば、身分、性別を問わず昇格させてきた。

「ミレイユ様、僧侶を連れて行くのでなく、私たちの中から、ひとり選んでお連れ下さい」

隊長格の若い女性たちに、今回は傭兵ガルドの討伐ではなく、ニアキス丘陵の異界化を阻止するのが目的だと、ミレイユは説明しなければならなかった。

説明を聞いた隊長たちが、少し困った顔をしていると、最後に執務室に入室してきた、紫色の瞳の参謀官がミレイユに報告した。

「ミレイユ様、ハンターたちが去年あたりから、ニアキス丘陵のオークの姿を見かけなくなったと噂しております。異界化の前兆かもしれません」

参謀官マルティナは、紫色の瞳を持つ美貌の才女である。
他の隊長たちのように戦闘能力に優れているわけではない。しかし、大陸の魔法や呪法に詳しく、彼女によって騎士団の装備品やゴーレム馬などはほとんど手を加えられ、改良されている。

「もともと異界化が進行していた呪われた土地の中心に、ニアキス丘陵のダンジョンは作られております。周辺の村が囲んで焼き討ちされてなくても、異界化が進行している可能性はありえます」
「だから、今回は蛇神の錫杖を持つ僧侶を連れて行く」
「蛇神の錫杖ですか?!」
「そうだ。これから、宮廷会議の結果を僧侶リーナに報告に行くつもりだったのだが、私も今回はそれなり準備が必要なようだ。マルティナ、代わりに報告してきてくれないか?」

マルティナが、すっと一礼すると執務室から出て行った。マルティナが騎士団本部から王城へと出かけていくのは稀である。参謀官は通常は、本部にこもって魔法の研究に没頭している。その蛇神の錫杖という品物が気になったのだろうと、隊長たちは思った。

「最悪の場合、トルネリカを陥落させることもありえる。留守の間に戦の準備を整えておくように」

南のターレンの王都トルネリカ。全員が緊張した表情で聖騎士ミレイユを見た。


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