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インクブス・ゲーム 
【ファンタジー 官能小説】

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インクブス・ゲーム-17

「インクブスの傀儡よ 闇に帰れ
蒸気となって 水に還れ
大地にしみ込み 土となれ
マグマに溶かされ 炎となれ
大気の中で 陽炎となれ
水に泳ぐ魚の
肝臓よ胆のうよ
火にくべられ燃えよ
煙にいぶされよ
光に出られぬ 蜃気楼よ
闇の 陽炎よ
ミカエル
ガブリエル
ラファエル
アナエルの名のもと
カンビヨンの子よ 闇に帰れ
アスモデウスの 陰よ
闇に消えよ‥」
呪文が唱えられていく。
俺は逃げ出した。城を出て、震える手で車のキー回した。
湖沿いにうねる道を猛スピードで走りぬけた。それでもやつの言葉は追いかけてきた。
車に魔法で障壁を張って防御する。これなら呪いの侵入を防げるはずだ。
それでも言葉は追いかけてきた。 あわてて二重目の障壁でくるんだ。
アクセルを床まで踏み込んで1メートルでも遠くへ逃げる。何千回と通った道なのに、深いカーブを忘れていた。
車は曲がり切れずに路肩にたまった土に乗り上げ、跳ねると外壁に引っ掛かることなく湖へ落ちていった。 
ひどい衝撃に、ハンドルで頭を打った。しばらく意識が飛ぶ。
車はどんどん沈んでいき、やがて真っ暗な中に、静かに止まった。
水の流れは腰を超えて、少しゆっくりになってきていた。斜めに下がった荷物室の方はほとんど浸水している。
この辺りは湖でも一番深いところだ。
立ち上がろうとするが、手が使えないのに気が付いた。ハンドルの中に腕を突っ込んでしまって、両方とも骨折したようだ。
このままではやがて空気も汚れて息もできなくなる。
それまで残りの空気を使い果たさないように、必要以外の代謝を極力おとしていった。
誰かが助けてくれるのを待つしかなかった。
≪だから魔女は嫌いだ。話を難しくしようとする。 どうしてひと思いに殺してしまわないんだ≫
抜け出すすべはないか車の中に意識を広げてみるが、車の外がどうなっているかもわからない。
障壁はどんな魔法も入れないのと同じようにそこからは出ることもできない。調べようもないし、助けを呼びにも行けない。
事故の痕に誰か気が付いてくれたら、数時間で救けが来るかもしれない。
望みはそれくらいだ。救助の手が王室魔術院の死の招きであったとしても、こんな生殺しよりましかもしれない。
≪闇の中で、どうしておれは寝ているんだろう。闇こそ俺のテリトリーだったはずなのに≫
サヤの言うように明かりの中で暴れすぎたのかもしれない。


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