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銀彩(ぎんだみ)
【SM 官能小説】

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銀彩(ぎんだみ)-11

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 エピローグ

マダム、やっとお目覚めになりましたね。私が誰だか、おわかりですか。あの青年を処分させていただいた者です。それにしてもこんな部屋がこの家のあったとは、あなたにとっても、私にとってもとてもよかった。おわかりでしょう、この地下室がどんな場所であるか。誰も知らない秘密の場所でしょうか。どうです、ご自分が檻に囚われた気分は。生まれたままのあなたの姿はとても檻に似合っていますよ。ご自分でもおわかりでしょう。あなたがあの青年を飼っていた檻ですよ。
檻から早く出してくれって。何をおっしゃっているのです。檻の鍵は湖へ投げ捨てましたよ。あなたが遠い昔、義父の男に嵌(は)めた貞操帯の鍵をそうしたように。考えてみれば、おそらくあなたは、十七歳だったあのときから自分で自分を封印したのです。ええ、知っておりますよ。私はここの湖に身を投げて自殺したその男を最初に発見したのですから。
それにしてもマダムはいいお身体をされています。マダムが眠っているあいだ、あなたの体を十分に楽しませていただきましたよ。あの黒いマントの男は私が雇ったのです。あなたをこうするために。あのときあなたが口にしたワインには睡眠効果のある媚薬が入っていました。私があの男にそうさせたのです。きっと覚えていないと思いますが、眠ったあなたは私に犯されながらも、夢心地の快感に浸っていた。あなたほどの年齢の女にしてはとても締りのいい素敵な肉奥でしたよ。私も久しぶりに興奮しまして、たっぷりとあなたの中に精液を流し込ませていただきました。
ご存じのとおりこの家は、いずれダムの土砂で埋まってしまいます。檻の中のあなたは誰にも発見されることはなくダムの底に沈んでしまうのです。著名なピアニストであるマダムの失踪でしょうか。
あなたは思いませんか。その檻があなた自身を銀色に彩る、あなた自身の貞操帯であることを。もしかしたらあなたの純潔の色かもしれない。私はあなたを軽蔑しているわけではけっしてありません。むしろ貞操帯で戒められた男へ憧れをいだくあなたの欲望をとても美しく感じています。それにあなたがいだく貞操帯に彩られた男への想いは、あなた自身の中にこの上ない純潔の欲望を造りあげたのです。
この家にある金になるものはすべていただきました。部屋の調度品もすべて売り払いました。あなたはすでにこの家を立ち去ったことになっている。そしてこの家はダムの底にあの青年が眠っている湖とともに沈められるのです。怖いのですか。頬が震えているようですが。何も今さら怖がることはありません。あなたが自分で封印したあなた自身を葬り、永遠の純潔の中で生きることができるのですから…………。


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