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惑わし-ゲーム
【ファンタジー 官能小説】

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惑わしゲーム-11

エレベーターに乗り込み1Fを押します。
そして扉が閉まる寸前に降りました。エレベーターに取り残されたクダニに投げキッスをしてやります。
「スタジオじゃあ恥ずかしかったの。先に帰って、ベッドで待ってて」 
鼻の下を伸ばして笑うクダニの顔は、最近で一番ぶきみなものでした。
これが惑わしというやつです。もちろん行く気なんかありません。
≪一生待ってろ≫ あいつにチャンスが近づくことはありません。
あたしはスタジオに引き返します。
カメラマンがしゃがんで片付けをしているところでした。
「あたしって変?」カメラマンをにらみます。
「そうだな、何かを見失っているようだね。あいつは君を食いつぶそうとしているだけにしか見えないのだけど、君がなぜ我慢しているのかわからない。そういう意味では変かもな」機材をアルミケースに入れています。
「君が先を見て、これをしているというのなら、批判する気はないよ。撮影を続けよう」
もっとけなされるのかと思いました。
『惑わし』、これが他の人からどう見えるのか、今まで考えたことはありませんでした。
やはりそれしか考えられません。トドウは白樫邸の人たちが魔女であることを知っていました。
理由はわかりません。でもあたしが魔女だからという以外には思いつきませんでした。
≪私を潰したがってるの? それとも、あたしに糸を付けて操ろうとしてるの?≫
「ねえ、どんなふうに撮れてるのか見せて」
「そうだな」カメラからモニターに繋いでくれました。
映像を見て、こんどこそ貧血になりました。
すごくエッチです。実際よりエッチで、鮮明に、きれいに撮られています。
目を丸くしてカメラマンをみます。
「すごい」 いろんな意味で。
でも、そんなことしていられません。
カメラをつかむと、3階の窓から外に突き出します。
「取り出し方を教えて。早く言わないと落としてしまいそう」
「やめろ、それ、高いんだぞ」あんまり慌てていません。
「そう、あのイタチ男につけといて。落として壊してから中を覗いてもいいんだよ」
「わかった」操作法を言います。
あたしは記録しているカードを抜くと、カメラを投げつける格好をしながら、「そっちのカメラのもちょうだい」
「ほらよ」もう取り出しています。
「どんなわけがあるのか知らないけど、覚悟がないのならこんなとこ来ちゃだめだ」
敵だと思っていました。
でも、この人は、撮影の仕事をしているだけなんです。
「ありがとう」そっとカメラを返しました。
「幸運をな」言ってくれます。
それは糸の切れた魔女の人形には必要なものかもしれません。
≪猫さんの言う通り、未熟だな≫
それでも、あたしは自分の足でビルを出ました。


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