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マイ・ドリーム 伝授の儀式
【ファンタジー 官能小説】

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黒猫-1

2 黒猫

ここは、小さな一部屋があるだけの小屋です。
俺は夢を見るマイをじっと見つめていました。
やがて、彼女は目を覚まします。 俺を見て、その心にもう迷いはないようです。
「黒猫さん。 あたし、魔女をしてあげてもいいよ」 まっすぐこっちを見ます。
≪針に掛かった≫ 俺はニヤッと笑いました。
それから、俺はマイの修行を受け持つことになりました。
が、それは張りぼての最低限のものでした。
魔女の格好さえできればいいとレイは言います。「猫のふりをした人間、おまえと同じよ」
そして、張りぼてに見合った、張りぼての伝授の儀式の夜がやってきます。
これは魔女への入門式のようなものです。
夜中、俺は電話に出ていました。儀式の手順を聞くためです。
レイがここに来て執り行ってくれれば一番なんですが、今のレイは体を動かせませんでした。
「準備は出来てるわね」 レイがしゃべっています。「黒猫、聞いてる?」
「はい、指示通りに」俺がやるしかありませんが、自信はありません。
ベッドは部屋の奥にずらしてあり、マイが静かに寝息を立てています。
手前の床に魔法陣が描かれています。
五角形のそれぞれの頂点にはロウソクを立て、部屋の北側では皿の上で薬草がいぶっています。
甘い香りが部屋を包み込んでいました。
「体はきれいにした」
「大丈夫です。母屋で、しっかり洗わせました」
「ちゃんと見て確認したんでしょうね」
「いいえ、そこまでは」
「どうしておまえが洗ってやらなかったの、おまえのことを黒猫だと思い込んでるんでしょ」
「それはそうですが」
「誰も猫に恥ずかしいなんて思わないわ。細かい穴の中まできれいなの。あそこの中に彼氏の残骸は残ってない」
「わかりません」
「何よ、何にもわかってない。汚れた体ではうまくいかないかもしれないのよ。魔女として餌になってくれないと、私が困るのよ。わかってるの」押し殺した怒りが伝わってきます。
「もちろん、最善を尽くします」
「で、その子はいつセックスをしたの」
「この子に会って、ここで魔法の練習を始めてからは、してないと思いますが」
「おまえとも?」
「冗談はやめてください」
「いいわ。ゆるしてあげる。ではその子の服を脱がせなさい。魔女への新しい誕生は、常に裸から始まるのよ」
おれはマイが目を覚まさないように暗示を強化しました。
掛け布団を持ち上げると、下へずらします。
マイは白いTシャツで寝ています。これがいつもの寝姿のようです。
昼間は結い上げている髪もほどいて、黒いゴムで簡単にポニーテイルにしています。
近づくとまだシャンプーの香りがしました。
≪きっときれいに洗ってるよね≫
そっとシャツに触れてみます。
やわらかい洗いざらしの手触りが胸のふたつのふくらみまで続いています。
≪だめだ。これは儀式なんだ≫ 目をそらします。
布団をぜんぶよけてしまうと、健康的でちょっと褐色の、白い体が闇の中に浮き出しました。


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