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ヤクトリの女
【熟女/人妻 官能小説】

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リュウ-1

 銀三は仕事が休みの日だったので夕方から、またパチンコをやりに行った。午前とは別の割と自宅のアパートに近いパチンコ店に行って、余り勝った事が無いのだが午前に続いて大勝ちした。

(うっほぉー、ツイてるぜ!)
(この店で勝ったのは久しぶりだ。)
(あのヤクトリの姉ちゃんは、福マンだな。)

と良い気分でパチンコ店を後にし、自宅近くのラーメン屋でラーメンと炒飯、餃子とたらふく食べてアパートに帰った。

アパート近くに来るとイチが待っていた。イチは、銀三のアパートを知っている唯一の痴漢仲間だ。銀三は意外に思い、

「よっ、珍しいな。」
「どうした?」

と話し掛ける。イチは、眼鏡の中央を右手の中指で少し上げると銀三を見て言いにくそうに、

「相談が有るんだ。」

と言う。銀三は笑い、

「取り敢えず、中に入ろう。」

と一緒に銀三の部屋に行く。銀三の部屋は、必要な物しか買わないので余り物も無いが綺麗に片付いていた。イチは、長い付き合いで銀三が綺麗好きなのは知っていた。

小さな冷蔵庫に、銀三はテレビは見ないが客用に小型テレビが置いてある。後は、組み立て式の洋服掛け位だ。押し入れに他の季節用の衣類が小型の収容ボックスに入っている。

エアコンも客用で銀三は夏でも扇風機だけだった。6畳一間に小さなバス、トイレと小さなキッチンが有るだけだったが銀三は十分に満足だった。銀三は、座布団をイチに出し座る様に言う。

そして、冷蔵庫から缶ビールを取り出し小さなテーブルのイチの前に置き、

「ビール位しか無い。」
「まあ、飲んでくれよ。」

と勧めて自分も缶ビールを手に取り開けて飲み出す。

「ありがとう。」
「貰うよ。」

とイチは笑顔で言い、缶ビールを開けて飲み始める。銀三がツマミの裂きイカの袋を開けて皿に盛りテーブルに置く。銀三が座るとイチが早速、

「相談なんだけど、リュウの事だ。」

と銀三を遠慮がちに見て話し出す。銀三が、リュウの事を良く思って無いのは知っていた。銀三は不快感を顔に出さない様に努め、

「何か有ったのか?」

とイチを気遣い笑顔を向ける。イチは顔をしかめて頷き、

「リュウが半グレから抜けたがっているんだ。」
「本人は、別に入った覚えは無いと言っていたが抜けると殺すと言われたらしい。」

と小さな声で言う。銀三は目を細め、

「アイツは甘過ぎるんだ。」
「半グレの仕事をした時点で構成員扱いされるのは当たり前だろう。」
「普通の仕事じゃ無いんだぞ。」
「いくら簡単な仕事でも連中からして見たら、内輪の事を知ってるヤツなんだ。」
「もう、辞めますって通る所じゃ無い!」

と大きい声で厳しく言う。イチは神妙な表情で、銀三の言葉に頷いて聞いていた。イチは、

「前に痴漢グループにいたって言ったら、連中の痴漢グループに入れられたらしい。」
「連中のやり方は、荒っぽく撮影が目的なので周りにバレバレで気付いた乗客をナイフなどで脅す乱暴なやり方だそうだ。」
「例の傷害事件になった時にもリュウはいたと言っていた。」

と困った様な表情で話す。そして、

「ツープッシュを使ったレイプを撮影する係を指示されてやったと言っていた。」
「リュウは、その内サツに捕まり長い懲役に行く事を恐れているんだ。」

と厳しい表情で話す。銀三は腕を組み黙って聞いていたが、

「逃げるか、サツに駆け込むしか無いな。」

と言う。イチは銀三を見て頷き、

「俺もそう言ったんだよ。」
「でもサツから、レイプの撮影や傷害事件の共犯で罪に問われると恐れているんだ。」
「逃げる事も考えた見たいだが、最近リュウと同じ半グレの仕事してる知り合いが抜けようとして溺死体で港に上がったと怖がっていた。」
「抜けたらお前もああなると警告されたそうだ。」
「どうしたら良い?銀さん!」

と泣きそうな顔で言う。銀三はイチの顔をじっと見て、

「ほっとけ!」
「俺達にどうこう出来る相手じゃ無い!」
「お前まで巻き添えになるぞ!」

ときっぱりと言う。そして間を置き

「どうして、そこまでリュウを心配する?」

と不思議そうに尋ねる。銀三は、ほとんど人の事に干渉する事は無い。だがイチが何故リュウと付き合っているのかは、ずっと気になっていた。イチは顔をゆがめて、

「病気で死んだ弟に似てるんだ、生き写しみたいに。」
「知らない顔出来ないよ。」

と俯く。銀三は唸り、

「じゃあ、何か出来るか俺も考えてやる。」
「だが、助けると約束出来ないぞ。」

と話すとイチは嬉しそうに、

「ありがとう、ありがとう、銀さん!」
「うん、それで十分だよ。」
「俺ももう一度、考えて見るよ。」

と泣きそうになりながら話す。銀三は苦笑し、

「泣くなよ、イチ。」
「これだけは、約束しろ。」
「お前一人で何とかしようと思うな!」
「何かする時は、俺に言うんだ!」

と大きめの声で諭す様に言う。イチはすぐに頷き、

「わかった、銀さん。」
「そうするよ。」

と真顔で答えた。銀三とイチは、それから二時間位飲んで買い置きの缶ビールは無くなった。イチは、少しヨロけながら帰って行った。銀三は、泊まって行けと言ったがイチは、明日仕事が早いからと断った。


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