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浮世絵の女
【その他 官能小説】

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その2-2

それに比べれば湯場という場は庶民的であり、
金のない男達の憩いの場所だった。

あまりにその評判は良かったので、
客足を取られた吉原では、楼主達は
お上に廃止の陳情したがうやむやになっていた。

それは、あまり金を持っていない男達の性処理には
欠かせない場所だからだ。

そのような男達が街に溢れれば、おぼこ娘達が連れ去られたり、
又は犯されてしまうという事情もある。
(それは、昭和の或る時期に、赤線という公認の売春宿が多く
あった頃と似ている)

浮世絵師の浮丸は、たまたまそこに足を運んであかねと出会った。
それもひとつの出会いかもしれない。

湯場では、好みの女を選ぶことが出来た。
浮丸はそこで気に入りそうな女を探していた。
その中で、何故か気になる女がいた。
それがあかねである。

あかねは待ち場所で、静かに客の指名を待っていた。
着ているものは人を惹きつけるようでもなく、
どちらかというと地味な女だった。

湯場となれば、化粧をすることもなく
顔に白粉や、口に紅を塗ることもない。

化粧をしても湯や汗で流れてしまうからだ。
まことにそれは素のままの女の姿だった。
故に、あかねは、なにもしなくても美しかった。

その湯場の中で、どこか憂いを持ったその感じの女に
浮丸は惹かれていた。

この湯場で働く女達は、そう言うわけで底辺の女が多い。
同じ、女として花街の女に比べれば、その華麗さは比較できない。
浮丸は、今までに高値の花でもある花魁を見たことがある。

同じ女として、男に身請けしてもらうにしても、
豪華に着飾った花魁は手の届かない存在だった。

浮丸はその日、吉原ではなく湯場に足を運んでいた。
風呂に入り、そこで湯女として指名したのがあかねだった。
湯女として浮丸の背中を洗い、湯を流してもらった。

浮丸は湯から上がり個室に移り、
今、これからこの女を抱こうとしていた。

あかねの表情はあまり豊かではないが、
憂いを秘めたその顔に、浮世絵師の浮丸は何かを感じていた。



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