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夜宴
【SM 官能小説】

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夜宴-9

それであのとき、先生とのセックスの余韻から目が覚めるように、ふと気がついたら、わたくしは獣たちに囲まれた夜宴にいたのでございます。先生がわたくしを夜宴に捧げたのだと思いましたわ。そのときわたくしがどんな姿だったかというと、産婦人科の診察室にある分娩台のようないやらしい椅子に全裸で縛りつけられ、腰を突き出すように無理やり脚を開かされていたの。そして誰ともわからない獣の手がわたくしの身体に触れてきたわ。唇の中にも、腋窩にも、乳房の谷間や乳首の先端、それに下腹の翳りにも。もちろん太腿のつけ根は無残に引き裂かれて獣たちの目に晒されていたわ。最初にどういうことをされたかって言いますと、おぞましい形をしたアヒルの嘴(くちばし)のような膣鏡クスコの先端でわたくしのあそこを揉みほぐし、陰唇に差し込み、花芯を無理やり開かせたのでございます。まるでわたくしの肉襞の秘密の薄皮をむくみたいに。そして何よりも恥ずかしかったことは、先生がわたくしの中に放出した精液を獣たちに覗かれたことですわ。わたくしは、先生の精液に染められた肉奥が恥じ入るように火照るのを感じました。獣たちは言いました。あなたの美しい貞操を汚したのは誰なのかって。わたくしは白状したわ。わたくしの処女を奪った男が先生だということを。すると夜宴の獣たちの中にいたひとりの女がとても嫉妬したわ。そしてわたくしの肉の合わせ目にいやらしい指を忍び込ませたの。やがて指は女のいやらしい唇となってわたくしの肉襞から滲み出す先生の精液をちゅうちゅうと、とても卑猥な音をたてて吸いあげたわ。ところが驚いたことに、その女は鏡の中のあの女だったのでございます。


 これまでわたくしはどんな男ともつき合ったことがございません。ええ、こんなわたくしほどの魅力的な女ですから、男が放っておくはずがなく、声がかからないことはありませんでしたが、わたくしを充たしてくれそうな男が見あたらなかったのでございます。女が充たされるってどういうことか先生にはおわかりいただけるでしょうか。正直に言うと、あの頃のわたくし自身がそのことをわかっていなかったのでございます。自分はどう、充たされたいのかってこと。わたくしに対してセックスだけを求めてくる男の顔が、なぜか自分の自慰のために与えられた薄っぺらで気持ちの悪い蝋人形のように思えていたのです。その頃のわたくしは男のペニスがとても奇怪に見え、どうかしたら吐き気さえしそうなくらいでした。だからわたくしはセックスを拒んだのです。そして拒んだ瞬間から男はわたくしから離れていったわ。でも夫とのかかわり方は自分でも違っていることに気がついたわ。女たちの羨望の視線を集める夫を自分のものにしたいという欲望。それは夫に恋したとか、愛するようになったとか、セックスを求めたいとか、そういうことではなく、ほかの女たちから夫を自分だけのものにしたいという欲望だったわ。そんな自分の欲望を充たすために、夫にわたくしの足指を愛撫させたわ。そしてわたくしへの隷属と服従を誓わせた……どんな女にも囁いたことのない愛の言葉で。わたくしは、その行為を毎夜のように夫に続けさせたわ。それで夫はどういう男だったと先生はお思いかしら。男の生理のだらしなさというか、惨めさというか。不能の夫はそのうち、わたくしの足指を愛撫するだけで勃起もしないまま精液を垂れ流すようになったの。わたくしが夫のペニスに吐いた唾に瞳を潤ませ、わたくしの陰部の匂いを嗅ぎながら涎を垂らして。そのときわたくしは気がついたわ。夫はそういう男なのだって。わたくしはそそり立たない夫のものを足で踏みつけて嘲笑ったわ。わたくしはとても満足だった。夫はわたくしのものとして完璧な男になりかけていることに。だから夫は、ほんとうはあの女と寝ることができたとは思っていないの。



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