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女子中学生 辱めの部室
【学園物 官能小説】

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あのショーは彼の人生をどう変えたのか 4-3

「結婚」そのものをしたいという願望は茂正には皆無だった。だが30歳を過ぎてばかりで出会った1歳下の狩野春帆とは、「人生の伴侶」として一緒にやっていきたいと本気で思ったことがあるのは事実だ。成人女性には可愛さも性的魅力も一切期待しないことは、逆説的に人としての面だけを見る姿勢にも繋がったのだ。

 話をしても楽しいし、生活上の価値観も似ていると思った。大人になっても「女の子」でいようと、可愛らしさでアピールするとか、「私を守って」とばかりに甘えてくる女性は茂正には嫌悪と忌避の対象でしかない。春帆のように自分の世界を持ち、自立した女性であればパートナーとして一緒に生きていくのも悪くはない。そう感じたのだ。彼女もまた、確かにそのつもりだったはずだ。

 とはいえ、彼女は茂正にとって全くもって性的対象ではない。春帆が世間的に見てかなり綺麗な部類に入ることは茂正も認めていたが、それに惹かれたわけではない。あくまで精神的な繋がりを求めるだけの相手であった。「女」ではなくもっぱら「人間」としての魅力に惹かれていたに尽きた。

 性的に求めるのは、あくまで彼の空想の中でのことだが、どこまでも思春期の美少女。両者は完全に「別腹」という扱いだった。

 この性的指向は、もちろん春帆には秘密だった。今時アニメ好きぐらいは隠す趣味でもないし、春帆自身も愛好する作品があった。一緒にアニメ映画を観に行ったこともある。だが好きな美少女キャラがいることぐらいは言っても、それ以上は話していない。なお自作を続けていたみさきのフィギュアなどはさすがに見られたらまずいと思い、家に呼んだとき見つからないように仕舞い込んでいた。

 1年近く付き合っても、茂正は一向に春帆を抱こうとは言い出さなかった。彼女にそういう欲情は何も感じない。人柄に惹かれた相手であろうと、大人の女を抱きたい気は全く起こらない。それは何の悦びでもないことはわかりきっていた。
 仮に春帆から熱心に迫られたなら、彼はある種の義務感で応じたかもしれない。だが、あくまで義務感からでしかなく、彼にとっては苦痛以外の何ものでもなかっただろう。

 そして春帆は、自分の方から男に迫ることなど出来ない女だった。
 春帆も初めは彼のことを、欲情もあらわに肉体を求めてくる男ではないと好印象を抱いていた。だがしだいに自分が「女」として扱われていないのではないかと不満を覚えるようになっていった。
 思い起こせば、一緒にいて楽しいとか言ってくれたり、人柄や気遣いを褒めてくれたりすることはあっても、彼女の女性としての魅力を褒めてくれたことは一度もない。春帆はこれまでも美人と周囲から呼ばれてきたし、自身のルックスにも結構な自信を持っていたが、茂正は彼女のそういう面は何も触れなかった。いくらおしゃれに精出しして彼の前に綺麗な姿を見せようとしても、反応はゼロだった。お世辞めいたことすら言わない。

 茂正もそんな春帆の不満に気づきつつあった。いつまでも自身の性癖を隠して一緒にやっていけるわけがない。それを明かした上で受け入れてくれるのでなければ「人生のパートナー」としても無理、と受け止めるしかなかった。

 春帆のマンションに行った時、彼女の中学・高校の卒業アルバムを見せてもらった。その中で微笑む過去の彼女を指さして口にする。

「可愛いね。やっぱり美少女だったんだな、春帆」
 美女が若き日には美少女だったのは当然だ。それは茂正が、春帆に初めてそういう褒め方をした時だった。しかし、それは今の春帆に対するものではない。

 この機会に、茂正は意を決して自身の性的指向を打ち明けた。性的に惹かれ、興奮できるのは思春期の少女だけ。実物には絶対に手を出すつもりはなく、二次元と想像力で満たすことに徹してきたし、これからも一生そのつもりだと。その嗜好を捨てるのは、ライオンに草を食べろとか、魚に砂漠に住めと言うに等しい相談。さもなければ一生独身で通すつもりとまで言った。
 さすがにその背景にある、中学生時代の「初恋」の体験までは触れなかった。あの出来事ばかりは彼にとって全くの黒歴史であり、墓場に行くまで誰かに語ることはないだろう。大元にある相生みさきという美少女のことも、何も言っていない。

 そして、それとはまったく別の意味で、春帆は心から愛している、とも告げた。

 それを春帆は受け入れた。彼女の茂正への愛は変わらなかった。だが、決して「女」として愛されないことへの寂しさ、満たされぬ思いはやはり禁じえなかった。

 そして春帆は思いが昂じるあまりだろうが、勘違いの道を選んでしまう。茂正の嗜好に合わせるように、制服のコスプレやロリ系のファッションでアプローチしようとしたのだ。エステで下腹部をツルツルに脱毛もした。だが普通に年相応にしか見えない三十路の女が、少女のように見せようとしても無理がありすぎるのは当然だった。そもそも外観がどうであれ、茂正は18歳を過ぎた女には何の性的興味も持てないのだ。

「だから、その必要はないんだよ。そのままの春帆で構わないから」
 茂正は何度もそう止めたのに、春帆は的外れなアプローチをやめなかった。そのような振る舞いはむしろ、彼の気持ちを離れさせていく。縋るような姿勢を目の当たりにし、彼女の自立した人柄に抱いていた敬意が、壊れようとしていた。

 彼に去られるのを恐れた春帆は、とうとう自身の立場を利用して禁断の手段に打って出ようとしていた。
 彼女は中学教師なのだ。それは茂正も最初から知っていたし、彼女の仕事の話もたびたび聞き、相談にも乗ってきた。けれども自身の嗜癖がバレるのを恐れ、彼女の受け持つ生徒たちに興味を示すような素振りも見せないでいた。性的指向を打ち明けてからもそうだった。しかし……。

「あの娘を、茂正に……」
 その日、教室の中、自身が受け持つひとりの美しい女生徒に、春帆は目を注いでいた。


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