社内秘 飯塚冴子②-3
「門井くんもシャワー浴びたら？大きめのTシャツくらいなら貸すよ」
「あ、すみません…では、お借りします……」
Tシャツとタオルを受け取り、ネクタイを締めたままの状態でバスルームに向かおうとすると、冴子に制される。
「あたしシャワー浴びたから、スラックスとか、濡れちゃうよ？」
そのとき初めてはっきりと、冴子の化粧を落とした顔を悠斗は見た。
化粧を落とすと少々幼く見えるが、元々目が大きく、まつ毛が長いようで、はっきりとした顔立ちだった。
タレ目の目元にあるほくろは何故こんなにもいやらしく見えるのか。
そんなことを考えていた矢先、冴子に胸元のネクタイを外され、シャツのボタンにも手をかけられる。
「あ…自分で……やれます」
「ん。スラックスも置いていったほうがいいよ」
ドキドキしながら下着姿になり、悠斗はバスルームへと向かう。
何とか頭の中からいやらしい妄想を払拭し、シャワーを浴び終えると、冴子の隣に座る。
「ありがとうございました。すっきりしました。今日暑かったから…」
「ね。こんないい陽気の日に、門井くんとお酒飲めるの嬉しいな。よく寝られそう」
「それは光栄です」
「仲良くしてくれて、ありがとう」
冴子は悠斗の腕に手を絡ませて、肩に頭を乗せる。
いつも、ギリギリなところで距離をとるような冴子とは何だか違う気がした。
「疲れちゃいました？」
「うん…でも、もう少し飲む」
まるで恋人にでも接するように、悠斗に甘えている。
手を絡ませている反対の手で、悠斗の体を抱きしめるように、冴子は体を寄せてきた。
悠斗はズボンを履いておらず、Tシャツと下着しか身につけていないため、もし勃起したらすぐバレてしまう。
なるべく冷静さを保とうと、悠斗はグラスに手を伸ばした。
「門井くんがうちの家のボディソープの匂いするの変なの～」
「はは、確かに」
冴子はケラケラと笑いながら、グラスに手を伸ばして、酔っているのか少し揺れながら、酒を飲む。
「ねぇ。あたしがさ、もし門井くんのこと好きって言ったら…どぉする？」