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英才教育
【調教 官能小説】

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久しぶりの涙-1

二人の女は、気分一新、朝を迎え、衛と香織に挨拶はしたが、それから先に話が続かなかった。

ほぼ、会話もないまま、美波は衛の隣を歩いて、登校した。
香織は、美波の落ち込みように、自分から声を掛けられずに、二人の様子を見守った。

「香織、昼休みに屋上な(笑)」
「ハイ」
衛が言うと、香織は笑顔で自分の教室へ消えていった。

「美波?お前に何があるのか知らないがぁ香織を不快にさせる態度はどうなんだ?」
「いいえそんなつもりは・・」
「お前のその、辛気臭い態度が、不快にさせると言っている」
「申し訳ありません衛さま」
「そんな態度で、お前も美雪もいるなら、気分が悪くなる」
「いいえ」
「香織に全てを任せて、二人とも、去っても構わないぞ」
厳しい衛の一言に美波は、その場から動けなくなってしまった。

美波は下を向き、唇を噛み締めて暫くフリーズしていた。
今回の衛の一言は、反省して新たにスタートした美波に、堪える一言だった。
去れ・・・捨てられる、衛の居ない世界・・・、考えが全くできなかった。

予鈴のベルで、クラスには何とか行く事が出来たが、まともに衛を見て、話しかける勇気はなかった。
美波は衛を心の底から怖いと思っていた。

普段なら、小さな事でも、美波と呼び用事を頼む衛が、一切、言葉を掛けないのだ。
お前など、側に居なくても私は困らないと、言っている様で美波はどんどん追い込まれて行った。

昼休みに、耐えられなくなり、美雪に電話して朝の件を報告した。
そこまで、強気の発言を衛が発したと知り、美雪も美波と同じに落ち込んだ。
兎に角、授業が終わったら、真っ直ぐ帰りなさいと、優しく言う事しか出来なかった。

6時間目の授業が、始まって暫くして、「ピンッ」と張り詰めていた糸が切れた。
美波が大声を上げて、泣き出し、「ごめんなさい、ごめんなさい」と連呼していた。

授業を受けていた、生徒は、美波が泣き出したので、驚いて授業はストップしてしまう。

美波の周りの席の女子は、心配して、美波を慰め、残りの生徒全員が衛を観ていた。
衛は視線を無視する様に席を立ち、カバンを持って、教室を出て行ってしまった。


衛は美波が声を上げて泣いた姿を、久しぶりに観た、幼稚園の頃、以来だろうか?
それはそれで、可愛かったと、美波の姿に不満は無かったのだが、美波が周りを巻き込み、
周りと一緒になって、私が悪いと誘導した事に腹を立てたのだ。

美波が泣くのは勝手だが、私が原因の様に周りに思わせる、泣き方は許せなかった。

衛は、家に帰ると、何も言わずに部屋に入り、鍵を閉めてしまった」
「お帰りなさい衛さま」
ドアの向こうで、心配そうな声で話す美雪。
「・・・・・」
「美波さんは一緒じゃなかったのですか?」
「・・・・・」
衛の反応が全く判らない美雪は、美波が戻るのを待った。

衛が戻ってから相当の時間が経って、インターホンが鳴った。
モニターには香織が映っている。

美波が香織に抱えられてリビングに入って来た。
「どうしたの?美波さん」
「先輩たちの話によると、最後の授業中に突然大声で泣きだしたそうです」
「それは驚いたでしょうね」
「美波先輩が泣く事なら、原因は衛さまと言う反応で、クラス全員が衛さまを観たら気分を害して
帰えられたとの事です」
「美波さんの個人的な感情の責任を、クラス全員が衛さまのせいにしたのね」
「そう言う事ですね」
「衛さまは?」
「帰ってから部屋に閉じこもっているわ」
「確かに今回の件に衛さまは何の関係もないと思います」

「全ては美波先輩と美雪ママの問題で、衛さまは何もしていませんから」
香織が衛を擁護するように言った。

「それを周りは、衛さまが原因だと観たのですから怒って当然です」
「女性に泣かれたら、理由関係なく、男性の責任にされますから」
香織は二人を責める様に言うと、衛の部屋へ向かった。

美波は感情に任せて、泣き叫んでしまったが、衛に迷惑をかけた事を香織に指摘され、
本当にボタンの掛け違いで、悪い方向へ進んでいると思った。

香織を不快にさせていると、衛に指摘されたのに、そんなつもりはないと答えて、結局
迷惑と片付けをさせている。

当事者の美雪も、余計な発言や行動は泥沼にはまると、フリーズ状態が続くばかりで良い案は
全く浮ばなかった。

ただ、美雪と美波は、時間が経って日常が戻ってくることを、願う事しか出来なかった。


今回は部屋に籠る衛を全面的にサポートし、衛の為に香織が動いた。食事は美雪が作ったが、
配膳や片付けを香織がし、二人は会話は勿論、衛の顔を見る事すらできなかった。

結局、香織が丁寧に衛と話、美波の事件も判明した、美波が泣いた事に問題はなかったが、
周りを巻き込み、自分が被害者の様に振舞い、衛を加害者と思わせた美波の態度に怒ったと
判明した。

美波は、学校で毎日、泣いた事は衛には全く関係ない事だったと説明したが、本心が伝わったか
疑問だった。

衛は一週間、学校を休み、二人と会話もせず、顔を見せなかった。
香織が、熱心に衛を説得し、最後は香織のお願いしますの言葉で、部屋を出た。

しかし、美雪と美波が本当の笑顔を、衛に見せるまでには、1か月かかった。

衛にとっては、二人を放置するには、一週間は必要な期間だったのだろう。



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