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「大人の雰囲気のバー」
【SM 官能小説】

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(1)「大人の雰囲気」のバー-1

「じゃあ、テンちゃん。もう一軒行くわよ」
「はい、先輩。今日も先輩に付いて行きますよ!」
OL2人組が夜の繁華街を歩いていた。

先輩と呼ばれたのが「麻里子」、後輩の名前は「典子」と言った。
二人共人並み以上の美人だったが、麻里子はスラッと背が高くキリッとした綺麗な雰囲気だったのに対して典子は小柄で小動物のような可愛らしい雰囲気だった。

対照的な二人だったが、どちらも美しくもあり可愛くもある魅力的な女性だった。
「マリコ」と「ノリコ」なので、呼ぶと響きが似ている為紛らわしく、麻里子をはじめ職場では後輩である典子を「テンちゃん」と呼んでいた。
典子も昔からそういうあだ名で呼ばれる事が多かったので、特に違和感は無かったようでそれを素直に受け入れていた。

2人の勤務している会社では3年目以上の若手社員が新入社員と1人ずつペアを組んで指導すると言う制度があった。
さらに、その2人の親睦を図る為にチームでの会食に会社から補助が出ると言う制度もあり、2人はその会食を終えた所だった。

麻里子は入社4年目で、昨年にも新入社員の指導をしていたのだが、その新人は麻里子に叱責されたのがきっかけで辞めてしまっていた。
麻里子はその事を気にしていたが、そもそもの問題はその新人にあった。
1ヶ月くらいは真面目に通勤してきたのだが、所謂「五月病」とでも言うのだろうか、大型連休を過ぎたあたりから何度も遅刻しだした。
また、仕事での詰らないミスも目立つようになっていた。
最初のうちは優しくたしなめていた麻里子だったが、全く改善する様子が無かった為、少し厳しく叱った所、翌日から会社に来なくなってしまい、数日して会社には辞表が郵送されてきたのだった。
周囲は麻里子が叱責した理由も知っていたし、その新人の辞め方も良くなかったので麻里子を庇ったが、それでも麻里子はその件を理由に会社のパワーハラスメント講習を受けさせられた事もあり、少し引け目があった。

そんな麻里子にとって典子は2人目の「新人」だった。
典子には見た目の可愛さもあったが、天性の愛されキャラとでも言うのか、見た目以上に可愛がり甲斐のある後輩だった。
それは性格面だけではなく、仕事の上でもだった。
教えた事はきっちり覚えてくれるし、麻里子が忙しい時には麻里子の仕事のフォローもしてくれる良く出来た後輩でもあった。
そんな事もあって麻里子は典子をよく可愛がっていた。
典子もそんな麻里子を慕ってなのか、良く頑張ってくれていた。
会社から補助が出るのは「一次会」だけだが、そんな頑張ってくれている典子になら「二次会」をおごっても惜しくないと思った麻里子が典子を誘ったのが冒頭の会話だった。
とは言え、麻里子の給料自体もそう高い訳ではなく、知らない店に入ってぼったくられるのも怖かったので、二人はそのノリの良さとは対照的とも言える慎重さで二次会会場の候補となる店を探していた。

「先輩、ここなんかどうですか?」
典子があるビルの前で立ち止まった。
「タイムサービス!!!女性2人組での入店無料!!!」
お店の宣伝用と思われる黒板にはそう大きく書かれていた。
「麻里子の奢りと言う雰囲気だから」と高そうな店を選ぶのではなく、なるべく負担の少なそうな店を選ぶと言う心遣いも出来るのが典子の長所の一つでもあった。
そしてその黒板には店名の下に
当店は「大人の雰囲気」のバーです。
と書かれた後に少し小さめの字でいくつか条件が書かれていた。
・20歳以上(要身分証明)
・美女限定(自己申告可)
・本日21時までに入店
・2時間食べ放題飲み放題
・限定1組(1名〜4名)
・店のイベント(簡単なゲーム)に参加してもらう可能性があります
典子がそれらを順に読み上げていく。
「これなら大丈夫ですよ。先輩綺麗だし」
「あらそう?テンちゃんも可愛いわよ」
「エヘッ、ありがとうございます」
「でも、21時までならもう時間が無いわね」
時計はもうほぼ21時になろうとしていた。
「そうですね。もう他の人が入っているかもしれないし・・・」
ちょうど2人が悩んでいる目の前で店員と思われる男性がその黒板を片付けようとした。
「あの・・・」
典子が恐る恐る店員に声を掛ける。
「その、無料のって・・・」
店員が2人の方をマジマジと見る。
「あっ、これですか?まだ応募者いないですよ。今日は珍しく希望者がいなくて・・・」
「じゃあ、私達大丈夫ですか?」
「お二人なら大丈夫ですよ!」
不安げな2人に店員はニッコリ微笑みながら言うと
「とりあえずこちらへどうぞ」
2人を下りの階段に案内した。


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