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痴漢の巣窟書店 −特急列車添乗員―
【痴漢/痴女 官能小説】

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第9話 OLの凌辱願望-3

 体勢を変える事も、今の嗣美には出来ない。エロティックなポーズをとっているという自覚は無いが、その姿勢を変える事は出来ない。
 1人でドアに持たれたままで、乳房も尻も、ボッコン、ボッコンのままなのだ。
 そこへ、陽子が通りかかった。涌井が美緒をハメている真っ最中のタイミングで、その後に美緒を奴隷化させるべく、美沙と華乃もスタンバイしているので、嗣美を陥落させるのは陽子の役目となったのだ。
 もちろん、偶然通りかかったのではない。この乗降ドア付近には隠しカメラは無いが、先ほど嗣美が使ったトイレには仕掛けてあった。その映像を見ていれば、ここを通りかかるべきタイミングは分かるのだ。嗣美が快感によって歩みを止められ、ドアに持たれて快感の余韻と股間の疼きに苛まれているタイミングを見定めて、陽子はここにやって来たのだ。
「お客様、どうかされましたか?ご気分が悪いのですか?」
 陽子は、親切に声を掛ける。いや、親切を装って嗣美の攻略に取り掛かる。
 陽子の手が、嗣美の腰の辺りに触れる。嗣美の身体が、ビクンッ、と跳ね上がる。腰に触れられるだけでも、今の嗣美には強烈な刺激なのだ。
「大丈夫ですか?」
と言いながら、嗣美の腰を摩る陽子。介抱するにしては、手の位置が低過ぎる。が、それを指摘出来るほど、嗣美は冷静では無い。介抱されて快感を覚えてしまっている自分に、羞恥と嫌悪の念を倍化させていた。
「だ、大丈夫・・です。」
 消え入りそうな声で、かろうじて返事をした。陽子の声にも手つきにも、底知れぬ優しさと丁寧さを感じ、それが返って、羞恥と嫌悪の念を高めるのだ。優しくされて、丁寧に対応されて、自分は性的な快感を覚えてしまっている。嗣美は恥ずかしかった。自分とは、何て破廉恥で卑猥な人間なのだろうと思った。
 こんな人間だから、痴漢に感じてしまうのだろうかと思った。痴漢された時の快感が、またリアルに想起される。痴漢に触られた尻の感触と、今女性添乗員に触られている腰の感触が、嗣美の中で一体化して来る。女性添乗員に尻を触られて、感じてしまっているような気分になってきた。だから、それが現実化しても、何も反応は出来なかった。
 陽子は嗣美の尻を撫で回した。ボッコン状態の嗣美の尻を、陽子の手が這いずり回った。タイトスカートの布地を内側から押し上げ、引き延ばし、圧迫している尻を、その立体形状をじっくり確かめるように、ゆっくり、大きく、円を描くように、陽子の手が撫でて行く。
 手が動いて行く毎に、嗣美の身体は反応する。ピクリピクリと動く。のけ反る、スィングする。吐息も漏れる。
 陽子の手が、腰に近い位置から、肉塊の盛り上がりの外側を回り込むようにして、尻を撫で下ろす。嗣美、ピクリ。
 陽子の手が、肉塊の盛り上がりの下側の面に至り、少し持ち上げるようにしてそれの重量感を確かめる。嗣美、ピクリ。
 陽子の手が、右の肉塊の盛り上がりから割れ目に至る急カーブの、一番柔らかになっている部分を凹ませる。嗣美、ピクリ。
 陽子の手が、スカートの布地の伸縮性が許す範囲ぎりぎりまで、割れ目に指を埋没させ、左右からのやわらかな圧力を検知する。嗣美、ピクリ。
 陽子の手が、そこから反対側の盛り上がりを、カーブと柔らかさを味わいながら駆け上がる。嗣美、ピクリ。
 陽子の手が、反対の外側を経由して、また腰の辺りに戻る。嗣美、ピクリ。
 そんな動きを、2回、3回、4回と繰り返す。嗣美、ピクリ、ピクリ、ピクリ、ピクリ・・。
 陽子の手が5週目に入った頃には、嗣美の思考は漂白されていた。自分が何をされているのか、どういう状況になっているのか、考える事が出来ない。ただ、快感に溺れるだけの状態だ。
 時折、痴漢されて感じてしまった場面がフラッシュバックする。屈辱感と罪悪感も胸中に閃く。陽子の手が動く度に、快感と屈辱感と罪悪感が襲い来る。
 尻を撫でられる。快感を覚える。痴漢シーンがフラッシュバック。屈辱感と罪悪感。尻を撫でられる・・・。快感と屈辱感と嫌悪感は、いつしか一体化し、不可分なものとなって行く。屈辱こそ快感、嫌悪こそ快感。屈辱と嫌悪に塗れる事こそ、最高に気持ちの良い愛撫。それは、錯覚に陥ったのか、真実に行き着いたのか。いずれにせよ嗣美は、過日の痴漢同様に尻を触られる事の快感に、すっかり耽溺《たんでき》してしまっていた。
「こんな風に、痴漢されて感じてしまわれたのですか?」
 女性添乗員のその質問は、嗣美を驚愕させるものだった。何故、その事を知っているのだろう?心中を疑問が跳ね回ったが、表向きには何の反応も示す事は出来なかった。完全に脱力させられ、快感に溺れた状態の嗣美には、驚きの感情を表面化させる術がなかった。
 嗣美が、痴漢に感じさせられたことがあり、それに屈辱感や嫌悪感を抱いているという事は、涌井が看破した事だった。
 列車の端から端まで歩いて獲物を物色した時に、十数秒間、嗣美を視界に捕え、それだけで嗣美の内心を見極め、陽子に伝えたのだ。嗣美の託《かこ》つ屈辱感や嫌悪感を利用することで、より官能的な凌辱を愉しめると涌井は考えたのだ。
「その痴漢に、ヤられてしまいたかったのではありませんか?」
 またも驚愕に見舞われた嗣美。そんなわけはない、と添乗員の発言に、内心で反発し得たのは一瞬だけの事だった。そう言われれば、そんなような気がして来る。
「感じさせられて、その痴漢と行くところまで行ってしまったら、堕《お》ちるところまで堕ちてしまったら、どれだけ気持ち良かっただろうって、思ったのではありませんか?」
 そんな事、思った事も無い、という脳裏に浮かんだ一瞬の反発の直後には、そんな気持ちを心の奥底に閉じ込めて来たように思えて来た。


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