投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

【学園物 恋愛小説】

想の最初へ 想 19 想 21 想の最後へ

想[8]-2

気になる人って誰?名屋君、好きな人がいるの?どうしてこんなに気になるの?優衣ちゃんは傷付いてるのに、私は罪悪感でいっぱいのはずなのに、別れたって聞いて喜んでる自分を否定できないのは、どうして…。
最低だって分かってるのに、誰かと付き合って欲しくないと思うのは、どうして…。
名屋君は私じゃない他の誰かを想っている。そう考えると胸が刺さるように痛くて、立っていられなくなるくらい辛くて、空気が無くなったみたいに息が出来ないのは、どうして…。
テレビの中のアイドルと一緒だと思ってたのに、名屋君を近くに感じてしまうのは、どうして…。
大切な彼氏のことを考えられないくらい、名屋君で頭がいっぱいなのは、どうして…。


『プルル‥プルル‥プルル‥プッ‥もしもし』
「………」
『どうかしたか』
「ど……して…」
『主里、どうした?何かあったか?』
「どうして…名屋君は…」
『………』
「優衣ちゃんと、別れちゃったの…」
『何で』
「…気になる子って誰なの?」
『それ…』
「私は、名屋君の彼女でも無いのに…なんでこんなに…こんなに辛いの…」
『………』
「どうして…」
『…好きだ』
「………」
『友達でいいと思ってた。友達になれればそれだけで良かった。だけど、どんどん主里は俺の中で大きくなって…。優衣を嫌いになった訳じゃない、主里がそれ以上になってしまった。だから…』
「私は、私は…弱虫だから」
『主里?』
「ごめんね、名屋君」
『…主里?主里!』
「ごめん…ブツッ。ツー、ツー、ツー」


「主里ぃ。主里ちゃーん?主里ちゃーん、おぉいっ!」
「暁寿…」
暁寿は私の目の前で、パタパタと手を振り、不思議そうに覗き込む。
「公園行きたいって言うから、連れてきたのに…ボーッとしちゃって」
暁寿の声は私に届いていなかった。手に握り締めたままだったケータイを閉まって、私は深く息を吸い込んで暁寿の目を見つめた。
「あのね、私、暁寿のこと好きだよ」
暁寿は目を丸くした。
「な、何だよ。そんな、いきなり、照れ」
「でもね」
私は暁寿の声を遮った。
「私、それ以上に好きな人がいるの…」
「はい?」
暁寿は少し笑いながら
「何それ。ナゾナゾ?」
とおどけた。
「違う」
「え?だって…」
「真剣なの!」
訳分かんねぇよ。暁寿が呟く。目は驚いたように見開かれ、口元は不自然に笑っていた。
「私、ずっと知らないフリしてた。だって、認めてしまったら傷付くから…。私が一番、傷付くから。だからずっと、ずっと知らないフリしてた」
「何を…」
暁寿は私から目を逸らし、耳だけを私に向けた。


想の最初へ 想 19 想 21 想の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前