アヤノ-14
『あっ、あっ、いいっ、あぁぁっ。あぁぁぁぁぁ！！』
彼女は四肢を強くこわばらせ、俺の頭を強かに締め付けた。そして同時に背を反らせ、幾度もの痙攣を繰り返した後、俺の頭に加わる力を緩めた。
『……うっ、うっん。恭吾……さん？』
朦朧としているであろう意識の中で、彼女は俺を呼んだ。もしこの時、彼女が愛しい恋人の名前を呼んでいたら…俺は自分を抑える事は出来なかっただろう。
「まだだよ。」
俺は２本の指を、愛液滴る彼女の秘花へと滑り込ませた。
俺の指をすんなりと受け入れたその場所は、絶頂の余韻を残し、未だ痙攣を続けていた。
『あぁぁっ！あはぁ！ダメ、ダメです！』
彼女はそう言ったが、俺の指は確実に彼女の感じる場所を責め続けた。
俺の指をきつく締め付ける秘花は、２度目の絶頂を迎えようとしている。
『恭…吾さん、…もうっ、あっあぁ！』
彼女は俺に力なく抵抗した。しかし、そんな抵抗も虚しく、彼女は直ぐに絶頂へと誘われた。
『うっ、んはっ、あっ、あぁぁぁぁぁ！』
一際強い締め付けを何度か感じた後、俺は彼女の中から指を引き抜いた。
彼女の愛液に濡れた指が、窓から差し込む月明かりを反射して光っていた。
俺はその指を自らの舌で舐めとると、全身の力が抜け、動けずにいる彼女にそっと布団を掛ける。
「ごちそうさま、もうお腹いっぱいだ。」
その言葉が、今にも眠りに落ちそうな彼女に届いたかはわからない。だが俺は彼女をベッドに残してバスルームへと向かった。
そして冷たいシャワーを頭から浴び、彼女が眠りについたであろう頃合を見計らって、ベッドへと戻った。
思った通り、彼女は既に眠りについていた。
眠る彼女を起こさない様に、俺は静かにベッドに入る。しかし、そんな努力の甲斐なく、彼女は目を覚ましてしまった。
「すまない、起こしてしまったね。」
『いえ、ありがとう…ございました。』
彼女はそうとだけ言うと、再び眠りについた。
とりあえず、悪夢によって乱れた心のバランスは、平静を取り戻してくれたようだ。
「おやすみ。」
そして俺も眠りについた。
翌日、俺達の眠りを覚まさせたのはインターホンのチャイムだった。
「……はい。」
未だ寝惚け眼だった瞼を擦り、インターホンのカメラとマイクを作動させると、そこに姿を現したのは“おっかない姉さん”だった。
「随分遅い起床ね。少しお邪魔してもいいかしら？？」
そう言う姉さんを俺は部屋へと招き入れた。
俺と同時に目覚めた綾乃は慌ててワンピースを着ける。
「急に押し掛けてごめんなさいね？？」
『い、いえ。あ、私コーヒー煎れますね！』
そう言った綾乃はキッチンへと向かった。
「……もしかして？昨夜？」
これが女の勘なのだろうか、姉さんは昨夜の俺と綾乃の出来事を察した様だった。
「誤解はするな。手を出したのは事実だが、最後の砦は破られていない。」
「そう、それで良かったのかも知れないわね。」
「あぁ、俺もそう思ってる。」
そう俺が頷いた時、綾乃がアイスコーヒーを３つ乗せた盆を手に、リビングへと戻ってきた。
「ありがとう。」
「ありがと。」
ソファに向かい合って座っていた俺達は、口々に礼を言った。
「本来なら、私の口から告げるべき事柄ではないのかも知れないけれど……。」
アイスコーヒーがグラスの半分程まで減ると、姉さんが口を開いた。
「川上 修が起訴されたわ。麻薬依存を断ち切る本格的な治療も裁判と共に始まるでしょう。」
一瞬、綾乃の動きが止まった。だが直ぐに気をとりなおし、彼女は言った。