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下屋敷、魔羅の競り合い
【歴史物 官能小説】

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艶之進、気張る肉刀-2

『精嚢には外に出たがっている精子が溜まっている。それを初戦の相方、美沙の中で一度出しておいたなら、この二戦目、少しは有利になったのだが……』

 しかし、あの時、精液を放っては、初戦で敗退していたことも事実だった。

「ええい、ままよ。丹田に力を込めれば、暴発を防ぐことが出来よう」

 艶之進は潔く下帯を外した。

 敷き並べられた九枚の布団が二列。その上には全裸で仰向けになっている男ども。なんとも珍妙な眺めだった。艶之進、二倫坊は一列目の二番目と三番目。小夜之丞、力蔵は二列目の一番目と二番目だった。近い。腐れ縁かもしれなかった。

「二戦目は、十八名すべての魔羅が臨戦態勢になりし時、開始となる」

 言いながら用人が腰元たちに目配せした。彼女らは壁際で着物を脱ぎ捨てると一斉に所定の男の元へと散った。用人の言葉が続く。

「女たちの手で男根に刺激が加えられるゆえ、そのほうらは慌てず騒がず、魔羅を隆々と打ち立てよ。よろしいな」

 艶之進の枕元に凜がぬかずき、「失礼つかまつります」と言って弛緩している陰茎を握った。目の前に妙齢の裸体があり、しかもとびきり見目麗しいときては、艶之進の一物は本人よりも先に嬉しさを素直に表現した。ムクリムクリと膨らみ硬くなり、あっという間に六寸の怒張が凜の手の中で直立していた。そこへ、綾乃の声が響く。

「早くも皆、態勢が整ったようじゃのう。気後れする者がないとは大したもの。さすれば……」

 用人が意を汲み、扇子を大きく打ち開き、頭上に掲げ、

「魔羅くらべ二戦目、いざ、はじめぃっ!」

 振り下ろした。
 ドドンッと太鼓が鳴ると同時に全裸の腰元たちは男にまたがった。そして、女陰に怒張を押し当てる。艶之進は、いきなり入れて大丈夫かといぶかったが、どうやらあらかじめ陰唇に滑りのよくなる膏薬のようなものが塗られていたようだ。

「んんん!」

 凜の美しい顔、その眉間に少し皺が寄った。逆に、女陰の皺は大ぶりな亀頭に押し広げられる。そして、勇根は秘壺にズブズブと呑み込まれていった。熱い襞が魔羅をくるむ。亀頭がこつぼ(子宮)に当たると、凜の尻は途中で止まり、体勢を保とうと白い両手が艶之進の胸に置かれた。

「……な、長うございますな」

 凜は軽く目を見開いていたが、やがて、腰を微妙に揺すり立て、長尺物を丸呑みにした。若い女性の、見た目とは裏腹な練れた腰使いに、艶之進は早くも魔羅が甘く疼いた。
 周りでも、他の腰元たちが男の一物を女陰に納め、本茶臼で身体を揺らし始めていた。すでに軽い喘ぎを漏らしている女もいたが、男たちは皆、一様に黙して、女陰の攻めを受けていた。いや、一人例外がいた。力蔵である。彼は「うりゃ、うりゃ、うりゃ」と盛んに吠えながら腰を突き上げていた。

『あれでは暴発も近かろうに……』

 艶之進の心の声が聞こえたわけでもないだろうが、力蔵はこちらに顔を向け、にやりと笑った。そして、なおも力強く腰を跳ね上げた。
 一方、二倫坊はというと、こちらは静かだった。盛んに尻を上下させる腰元とは裏腹に腰をピクリとも動かさず、半眼で、まるで仰臥の姿勢で座禅を行っているようだった。
 小夜之丞はと目を転ずれば、やさ男は春の海の緩やかさで、のたりのたりと腰を動かしていた。乗っている女は、好みの男の魔羅を女陰で頬張っているゆえ、感じ方が強いらしく、早くも上気した顔で腰をひくつかせていた。
 艶之進は自分の上で身体を揺する凜に意識を戻した。それにしても美しい娘だった。名前にふさわしく凜とした風情もある。それなのに腰の振りようは妖艶だった。膣の襞もしっとりと魔羅に絡み、何よりも締まる度合いが強い。さすが、薙刀の修行を日々行っているだけはある。身体、特に下半身が程よく引き締まっており、秘肉にも弾力がある。それは、煮過ぎた猪鍋の肉の硬さではない。上等な紅葉鍋の鹿肉の弾力だった。

「ん……、んふ…………」

 その凜の口から密かな喘ぎが漏れ始めた。みっちりと魔羅を包む感触に艶之進が目を細めるということは、同時に凜も、むっちりとした張りのある亀頭と、みっしり実の詰まった肉の幹を如実に感じているに相違なかった。

「んっはーーーーん」

 やはり感じている。魔羅を呑み込む秘口には、女の出す白い「とろり」が滲み、出入りする怒張が粘度の高い水溶き片栗粉を塗られたようになっている。男と女の合わせ目からは淫臭が漂い、交接する者の欲情を煽る。
 この部屋に淫蕩な合わせ目は十八あるのだから、臭いは甚だしく立ち上り、格天井の絵に染み込んでいくことであろう。いや、それだけではない。交情している者の他に、それを見ている用人や見届け人の男根からは先走りの汁が出ており、濡れ場を睥睨している綾乃の陰部も、じわりと濡れているはず。牡汁、牝汁、交合汁、それら全ての発する臭いが湧き上がり、天井中央の「開(ぼぼ)の絵」に染み着き、やがて、絵そのものが淫臭を発することになるかもしれない……。

「あひっ。…………ひぎっ……。い、いくぅっ!」

 突然、女の叫びが上がり、艶之進の妄想は消し飛んだ。声のほうに目を向けると、力蔵の相方が全身を強張らせて震えていた。その下で、気をやらせた力蔵が自信満々に鼻の穴を広げている。初戦では女を逝かせるのに後れを取った悪の親玉であったが、今回の腰元は身体の相性が良く、強い攻めを好む女だったのだろう。しかし、この二戦目は女に気をやらせることを競う場ではない。力蔵は、いったい何を考えているものか……。
 そうこうしているうちに、凜の尻の上下動が激しくなってきた。魔羅への摩擦が強まる。凜の大腿や脛は太いわけではなく、どちらかといえば細身なのだが、乗馬の鍛錬も積んでいるという触れ込みのとおり、ふらつくことがない。延々とした律動にも疲れを見せない。


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