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下屋敷、魔羅の競り合い
【歴史物 官能小説】

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艶之進、気張る肉刀-3

「く……っ、これでは……」

 艶之進は尿意ならぬ「精意」を催してきた。凜の尻が彼の太腿に激しく打ち当たる。

「むっ……むむっ……」

 艶之進は臍下丹田に力を込め、暴発をこらえる。二倫坊のほうを見て、意識をそらそうとする。やつは、相変わらず半眼で仰臥し、ピクリとも動かない。あれが二倫坊の射精を我慢する極意なのだろうか……。それでは小夜之丞はいかにと目を転ずると、彼は相変わらず、のたりのたりと身体を波打たせ、静かに腰を揺すり上げていた。ところが、女のほうは静かとは程遠い乱れようであった。尻の上げ下げはないものの、膝立ちで女陰を男の股間に密着させ、盛んに腰を前後に揺さぶっている。

「んあっ、んあっ、んあっ、んあっ、んあっ、んあっ」

 辺りにはばかることなく本能の声を上げ続け、

「だ、……だめっ!」

 突如、総身を震わせて逝き果て、そのまま後ろへ倒れ込んだ。小夜之丞は小さく畳んだ手拭いをどこからともなく取り出すと、涼しい顔で自分の汗を拭っていた。女はまだ仰向けのままだ。しかし、女陰から小夜之丞の一物は抜けてはおらず、彼は一休みといった感じだった。

『まてよ? ……一休み?』

 艶之進はひとつ気づいたことがあった。女は深く気をやった場合、しばらく呆けたようになり動きを止めることがある。止めるということは、その間、魔羅は刺激を受けることがない。当然、精液を噴出してしまうこともない……。

『そうか。だから力蔵のやつも盛んに下から突き上げ、相手を深く逝かせることに専念していたのか……。自分もそうするべきであった。策もなく凜の攻めに堪えてばかりいた己が愚かであった』

 艶之進は遅ればせながら腰を鋭く跳ね上げ始めた。

「あぅんっ!」

 急に男に動かれ、こつぼ(子宮)を撞かれた凜は一瞬、面食らった。が、すぐに艶之進の動きに合わせ尻を上下させる。さながら、薙刀の試合で意表を突かれた打ち込みに即座に対応する妙手のようだった。それではと、艶之進は右手を伸ばして乳房を揉み、左手を相手の股間に潜り込ませ、おさねをいじった。

「さ、さような小手先の性戯、動きの邪魔でしかござりませぬ」

 凜は魔羅を局部にはめたまま、くるりと向きを変えると、艶之進に尻を向けた格好の月見茶臼へと体位を変えた。そして、尻を振る。振りに振る。まさに乗馬であった。さらに、盛んに蜜壺を絞めたり弛めたりして刺激を加えてくる。

『こ、これは、若いながらも練達の女に当たってしまったか……』

 艶之進は魔羅の甘い疼痛が募り、吐精の近さを感じた。すると、目の端に他の女が挙手する様が映った。合図の声も上げたようだ。すかさず見届け人が駆け寄る。誰かが根負けして射精してしまったらしい。ややあって、向こうのほうでも「はいっ」という女の声とともに手が挙がった。さらに、遠くでも……。
 艶之進は負け組の仲間になってたまるかと、思わず自分の怒張の付け根を右手でつかんだ。そして、刀の柄(つか)を絞るように小指に力を込め、魔羅の根元を締め上げた。天然理心流の剣を振るう時の指遣いである。咄嗟の行動だったが、これが功を奏した。募っていた射精感が止み、決壊しようとしていた男の汁が体内で留まった。

「根元を握るとは卑怯千万!」

 凜が顔をねじり、睨み付けてきた。いつのまにか彼女は試合をしている気分になっていたのだろう。まあこれは、女が男に精液を吐かせようとし、男は女の攻めをいかに凌ぐかという試合のようなものだったが……。
 やがて、あちこちで腰元たちの手が上がり、気づいてみると艶之進は二戦目を勝ち抜いた四天王の一角の座を占めていた。ついに白い反吐を吐かずに済んだのである。
 さてその四天王だが、艶之進、二倫坊、小夜之丞、力蔵という、読者が予想したであろう結果となった……。

 一息つくようにと案内された庭の四阿(あずまや)で、二倫坊は饗された甘酒を飲みながら下帯一枚で風に当たっていた。甘酒はよく冷やされており、艶之進もそれで喉を潤した。小夜之丞は床几の上で仮眠をとっており、力蔵はどこかへ姿を消していた。

「いやあ〜、難儀した難儀した」二倫坊が二杯目の甘酒を飲みながら言った。「吐精を我慢するのも一苦労だな。心の中で、ずーっと経を唱えておったが、危うく出してしまうところだった」

「拙者もそうであった。鈴口の、すぐそこにまで精液が押し寄せておった」

「今でも出そうか?」

「ひと擦りすれば出るかもしれぬ」

「じゃあ、出しておかねえか?」

「えっ?」

「この裏に池がある。そこへ一発、出してしまおうぜ。なあに、甘酒を飲んだから子種はまたすぐ出来る。さ、行こうぜ」

 言うが早いか、二倫坊は下帯を弛めながら裏手へ行ってしまった。艶之進は迷ったが、三戦目では何があるか分からない。ここで一度出しておいたほうがよかろうと、彼も池のほとりに足を運んだ。そうして二人は並んで「連れしょん」ならぬ「連れ掻き」で、池の養分になるであろうものをドピュッと放出した。

「しかし、さっき、そなたは交接の最中、経を唱えていたと言われたが……」艶之進は一発出してすっきりした己が息子を下帯に仕舞いながら言った。「その身体は石のように不動であったな」

「寝ながら、座禅の境地であった」

「やはりそうであったか」

「それもあるが、なあに、初戦で、ちと、早腰で攻め過ぎてな、背骨の下あたりが妙な具合だったもので、二戦目は腰を休めておった。こう見えても、もう四十なかば。あと十年もすればお迎えが来るぜ」

「もっと若く見えるがのう」

「股間の愚息のほうは若いぜ。そいつはまだ三十路。働き盛りだ」

 呵呵と笑う二倫坊であった。


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