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下屋敷、魔羅の競り合い
【歴史物 官能小説】

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艶之進、奮う肉刀-4

「ん……、おっ……、ようやく始まったか」

「お目覚めでござるか」

 艶之進が袴を脱ぎながら言うと、

「おめえ、何してやがるんだ?」

 坊主頭が目をこすりながら聞いた。

「魔羅の検分じゃ」

「何だと?」

「まず、魔羅の大きさで数名が篩(ふる)い落とされる」

「ほう……」

「さ、おぬしも早う下帯を取りなされ」

 艶之進が下半身を露出させた。大きな陰茎が、だらんと垂れ下がっている。

「ほう、おめえ、なかなかの物をぶら下げてるじゃねえか」

 坊主頭が艶之進の一物を横目で眺めながら、ゆっくりと立ち上がり下帯を外した。そいつの魔羅もベロンと露出したが、艶之進のものよりは一回り小振りだった。

『勝ったな……』

 艶之進はほくそ笑んだが、よく見ると、そいつの男根には何やら文字らしきものがあった。だが、判読は出来ない。顔を近づけると坊主頭はにんまりとした。

「字があるだろう。煙草の火を押しつけてこしらえたもんだ。今は縮んでるので分からねえだろうが、おっ立つとこれが『火』という文字になる」

「それは大したものじゃ。至極、珍品。いや、珍宝というべきか」

 坊主頭は大きく笑い、裸の腰元たちを眺めやった。

「見てな。おれの火魔羅でもって、こいつらの本気汁を、いやというほど掻き出してやるぜ」

「大した自信じゃ。では、拙者も自慢の雁高で、腰元たちを盛んによがらせ、腰を立たなくさせて見せようぞ」

 彼等は不敵に笑い合った。

「そこの二人、何をしておる。ぐずぐずせずに早う並べ!」

 用人が声を高めた。
 彼等が列に加わると、腰元たちが三人ずつ左右に分かれ、ずらりと並ぶ男根の群の両端に陣取った。

「それでは検分を始める。よろしいな……。いざ、かかれっ!」

 用人が開いた扇子を打ち振ると、ドドンッと太鼓がまた鳴って、腰元たちが端から三人ずつ、それぞれ男の前にひざまずいた。
 彼女らは幾分顔を赤らめながら突き出された陰茎に手をかけると、白魚のような指で、やわやわと揉みほぐし始める。たちまち男根を滾らせる男もいれば、緊張でなかなか立たない小心者もいた。艶之進と坊主頭は列の中央に割り込んだので、顔を伸ばして他人の魔羅の立ち具合を、にやつきながら観察していた。
 腰元たちは勃起した魔羅に白い糸をあてがうと、肉竿の長さに応じて引きちぎり、赤い糸を男根に巻き付けると、太さに合わせて引きちぎった。それらの糸は腰元の唾液で両端に湿りを施され、名前の書かれた紙の上に綺麗に伸ばして貼り付けられた。後で計測するのだろう。

「ふむふむ、中には結構大きいやつもいるのう」

 艶之進がつぶやくと、坊主頭がせせら笑った。

「独活(うど)の大木ってこともあらあな。魔羅の価値は、まず固さよ。そして、女の中に入ってから、どれだけ精液を漏らさずに我慢できるかだな」

「ふふ、おぬしは余程自身がありそうじゃのう」

「おうよ。何せおれは毎晩のように絶品の締め付け開(ぼぼ)を相手にしているからな。こらえるのには自信があるぜ」

「それは羨ましいな。女房か?」

「いや、そんなんじゃねえ」

「商売女か?」

「いや、違う」

「じゃあ、いったい何なんだ?」

 その時、五人隔てた向こうから、しかめっ面がヌッと突き出た。

「うるせえぞ、てめえら! ちったあ静かにしねえか!」

 力蔵だった。

「何だと?」

 艶之進が肩を怒らせると、坊主頭がその肩に手を置き囁いた。

「言わせておきな。弱い犬はよく吠えるもんだからよ」

「しかし、あいつは」

「言わせておきなって」

「……それもそうだな。しかし、どうも気にくわぬ、あの力蔵とやら」

「ほうっておきな。おっつけ、ふるい落とされて、おれたちの前からとっとと消え失せるさ」

「ふむ……、そう願いたいものだ」

 艶之進は鼻から一つ荒い息を吐き、何とか気を静めた。
 そうこうしているうちに、腰元が艶之進たちの前に来てひざまずいた。艶之進の魔羅に手を添えた腰元はとりわけ乳房が豊かで、見下ろすと胸の谷間が深く影を作っていた。顔を見るとまだ十七そこそこで、魔羅を握りながら耳まで赤らめて恥じらう様が艶之進の欲情を掻き立てた。

「あ……」

 艶之進の男根がムクムクと膨らみ始めると、腰元の口から思わず声が漏れた。握っていた白い手が肉竿の膨張に伴いゆっくりと押し広げられると、また声を漏らした。そして、六寸余の雄根が完全に聳え立つと、それを見つめる瞳が一瞬そらされ、また貼り付いた。

「凄い……」

 溜息まじりに口走り、慌てて腰元は口を押さえた。

「ほう、なるほど、立派なもんだなあ」

 隣から坊主頭が覗き込んだ。見ると、彼の肉棒も隣の腰元の手中で硬く反り返っていた。その男根もかなり大きく、艶之進の物には及ばないまでも、ゆうに五寸五分はありそうだった。魔羅の背面の『火』の字が勃起により鮮明に浮かび上がっている。

「坊主どのの一物も、まれに見る業物(わざもの)よのう」

 滾り立った魔羅に糸を当てられ、むず痒さに少し腰を引きながら、艶之進は隣に笑いかけた。
 検分が済むと、彼等はまた他の参加者の魔羅の立ち具合に目をやろうとした。すると、

「ああっ」

 向こうで驚きの声が上がった。それは力蔵を検分している腰元のものだった。見ると、そこには異形の魔羅が突き出されていた。大きさはそこそこだが、何と、その魔羅は雁首が二重になっていたのだ。

「何だ?」

 艶之進が目をこすってもう一度よく見ると、力蔵の魔羅は亀頭のすぐ後ろに三分(約9o)ほどの幅で盛り上がる輪が出来ていた。


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