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桃子〜愛と悲しみと憎しみと〜
【ロリ 官能小説】

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うさぎがいない……-2

 そんなある日……。

「な……なに?」
「だからおっぱい見せろっつってんだよ」
「ど……どうして……」
「どうしてって、お前最近おっぱい出てきたじゃん」 
 そういう意味の『どうして』じゃない……なぜ見せなきゃいけないのかと言う意味の『どうして』だが、そんな当たり前の理屈も通りそうじゃない……。

 今朝、役目柄みんなより30分ほど早く登校した時のことだった。
「あ……うさぎがいない……」
 桃子は生き物係、朝早くに登校して糞で汚れたうさぎ小屋を掃除しなければならない生き物係は当然のように人気がない、誰しもうさぎを可愛がるのは楽しくても世話は面倒なのだ、そしてそういう役目は当然のように桃子に回って来る……もっとも、世話をしてやっているうちに愛情がわいて来ているし、辛い胸の内をきょとんとした目のうさぎに聴いてもらうと少し気も晴れるので最近は面倒だとも思わなくなってきている……。
 だがその朝、誰がやったのか、うさぎ小屋の戸が少し開いていて、うさぎが一羽いなくなっていた。
 すると、通りがかった同じクラスのタカシが『さっき体育館裏で見たぜ』と言う。
 桃子が急いで行ってみると、うさぎはやはり同じクラスのリュウジに抱かれていた。
 タカシとリュウジは同学年の……6年生なので学校のと言い換えても良いが……不良のツートップ。
 タカシは縦にも横にも体が大きい、それもぶよぶよと太っているわけでなくしっかり肉の詰まった感じでまるで力士のような体だ、見た目通り力は誰よりも強くて、普通の男子ならドンと胸を突かれただけで尻もちをついてしまう。
 リュウジは横にはあまり大きくはないが、背はタカシにも増して高い、喧嘩ともなればそのリーチに物を言わせて相手を寄せ付けない。
 腕っぷしが強くて小さい頃から喧嘩では負け知らずだったせいなのか、二人とも自己中心的で意地が悪い。
 そんな二人がそろって朝早くから登校しているのも変だし親切にしてくれるはずもないのだが、うさぎがいなくなって動転していた桃子はそこに気づかなかったのだ。
 
「ありがとう、うさぎを捕まえてくれて」
「ああ……礼は?」
「だからありがとうって……」
「そうじゃなくてさ……」
 その後に続いた言葉が『おっぱい見せろ』だった。
 確かに胸は膨らんできていて乳首も目立ち始めている、とっくにジュニアブラを付けた方が良い所まで来ているのだがそれを買うお金がない、夏休みも近くなって薄着の季節となると目立ってしまっているのは自分でも知っている、そこのところをタカシとリュウジに目を付けられたのだろう。
(どうしよう……素直に見せた方が……)
 気の弱い桃子はついそう考えてしまうが、いかんせん恥ずかしい。
「なあ、どうなの? 見せるの? 見せねぇの?」
「……」
「まあ、素直に見せなくても結果は同じなんだけどな」
 つまり、見せなければ無理やり服を脱がされると言うことだ、悪くすると破かれてしまうかもしれない……桃子はおずおずとTシャツの裾に手をかけた。
 その時。
「お前ら、なにやってんの?」
 ケンタの声だ。
 ケンタはタカシ、リュウジとは良くつるんでいるのだが、べったりではなく少し距離を置いた感じ、体格では他の二人には少し劣るが運動神経が抜群で喧嘩になっても引けは取らない、その辺りに一目置かれているのだろう。
 乱暴者で嫌われている他の二人とは違い、サッカー部のエース・ストライカーでもある、勉強は苦手な部類だがサッカーに限らずスポーツは万能で、顔もそこそこイケているので女子に割と人気がある、実は桃子もちょっと憧れているのだ、そして惹かれてしまうとちょっとワルぶった雰囲気も魅力的なものに映る。
「ああ、ケンタ、良い所に来たな、桃子がおっぱい見せてくれるってよ」
「桃子が? まあ、そりゃ確かに見たいけどな」
 桃子はちょっと肩を落とした、この上ケンタにまで見られてしまうのか……と。
 だが。
「うさぎ? もしかしてお前ら、桃子を脅してんの?」
「いやいや、逃げ出したうさぎを保護してやったお礼だよ」
「ホントにそうか?」
 気が付いてみれば確かにそうかも知れない、うさぎは二人が連れ出したのでは? と。
 おっぱいが目立ち始めた桃子を人目につかない体育館裏に誘い込むために。
「いやいや、マジ逃げたんだよ、俺らが捕まえといてやったってわけ」
 タカシがニヤニヤ笑いながら言うが、その薄ら笑いはむしろ嘘だと白状しているようなものだ。
「なんかさ……それって違くねぇ? 桃子のおっぱいは俺も見てぇけどさ、騙して脅すってのは良くねぇと思うな」
「なんだよ、ケンタ、急にいいヤツになっちまって」
「いや、別にいいヤツぶる気はねぇけどさ……俺はこういうの、なんかヤだな……うさぎ、返してやれよ」
 喧嘩になれば三人は互角、だが二人がかりならどう見てもタカシとリュウジに分がある、それでも二人はケンタとモメることを望まなかったらしい。
「ほらよ、王子様が現れて良かったな」
 リュウジがうさぎを押し付けて来た。
「王子様ってなんだよ」
「別に本気で言ってねぇよ」
 モメごとを回避した三人は何事もなかったように笑い合いながら体育館裏を去って行った。


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