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最後の、最高の学園祭
【学園物 官能小説】

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半分、青い 春-2

教室の近くまで来ると、3人はハイタッチをかわし、笑いあった。
「決まったわね。」
「先生。ありがとうございました。」
今にも泣きだしそうな愛依に、
「ば〜か。まだ、始まってねえよ。これから、だぜ。」
と菅田が肩をたたきながら言った。
(やり遂げちゃうかもね。この子たち。わたしもいよいよ、覚悟を決めなくちゃ。)
階段を上がっていく2人を見つめながら、たか代は思った。

2人が階段を上っていくと3Cの教室あたりの廊下が騒がしかった。
2人は後ろを振り向き、松先生が追いつくのを待った。しかし松は菅田と目が合うと、悪戯っぽい顔で合図をした。

「どうだった?」
うなだれて重い足取りで近づいてくる2人に、健が声をかけた。
菅田は憮然とした表情で何も話さない。

「ねえ、ダメだったの?」
鈴が覗き込んでも愛依は目に涙をいっぱい浮かべ何も言わなかった。

「やっぱ、あんな提案、無理だよな〜。」
口々に言いながら全員が教室に入りそれぞれの席に着いた。
みんな下を向いて言葉を発するものは誰もいなかった。
あの流星でさえ明らかに落胆した様子で、黙り込んでいた。

菅田がゆっくりと立ち上がり、教壇に向かった。
「は〜い。みんな、注も〜く、って言っても、誰も見ないか。」
2,3人が顔を上げたが、大半はまだうつむいたままだ。
「どうしたよ、お前ららしくねえだろ。」

「だってよ〜。副担任がダメだったら誰がいるんだよ。」
健が壁をけりながら言った。
「あ〜あ。盛り上がったのになあ。」
流星も、久々のヒットだった。

鈴と華は、ジュンコに縋りつくようにして、肩を震わせていた。
旬も倫也も、机に突っ伏したままだ。

「なんだよ。このまま何もしねえつもりかよ。」
将暉がめがねを掛け直しながら、強い口調で言った。
「一体何をするっていうんだよ。」
半ば自棄になった健がやりどころのない怒りを流星にぶつけた。
「痛ったい!なにをするんだよ〜!」
流星のヒットは続かなかった。

「何をする?決まってるじゃねえか。」
将暉が言うと、みんなが目を上げた。
「いいか。お前ら。俺たちが、これからやらなきゃいけないのは。。」

突然、教室のドアを開け、眼鏡を外した松たか代が飛び込んできた。
「明日っから始まる3−C特別合宿の準備だよ〜。」
「???」

「OKだったのかよ〜?」
「もちろん。特別合宿の件も校長先生に許可をもらったし、施設の方もばっちりよ。」
「やったぜ〜!!」「盛り上がっぞ〜!!」「うそみたいだ〜!」

「ちょっと待って。」
と言って話し始めようとした松先生よりも、
いち早く立ち上がり、話し出したのは長野愛依だった。

「あんたたち、なに舞い上がってんよ。
 明日からの合宿の目的が何か、ちゃんとわかってるんでしょう?。

 今迄みたいに、何の目的も持たずに、いい加減に生きてきたわたしたちが、
 初めて同じ目的をもって過ごす10日間なんだよ?

 その意味、その重さ。みんなにわかってる?
 ううん、わかってない。 
 みんなはまたいつもみたいに、
 なんか楽しそうみたいな雰囲気で盛り上がっているだけ。
 それじゃあ今までと全く同じでしょ?

 ねえ、もう気がつこうよ。
 わたしたち、変わらなきゃいけないんだって。
 今迄みたいないい加減な高校生のままじゃダメなんだって。

 そのチャンスを、松先生が作ってくれた。
 松先生、さっき、職員室でほかの先生方の前で言ったんだよ。
 【副担任のわたくし松たか代が、全責任を負うと言う形で参加を認めようと思っていま
 す】って。
 それからわたしたちに向かって【あなたたちのことを信じています。最後まで頑張りま
 しょ。】って言ってくれたんだよ。

 わたしたちのこと、そう言ってくれた先生、今までにいた?
 そんな風にわたしたちを信じてくれた大人がいた?

 でも松先生は、まだ出会って幾らもたっていないわたしたちのことを信じて、
 頑張ろうって言ってくれたんだよ?

 その心に、その信頼に、応えなくていいの?
 今迄みたいに適当にやって、楽しきゃいいジャンみたいな感じで、
 そんなんで、松先生の信頼に応えたって言える?

 そんなんで、花火、
 いくら打ち上げたって、
 汚名返上なんて出来っこしない。
 さらに恥の上塗りをするだけ。

 自分の夢をかなえられるのは、努力した人だけだ。
 飛べない鳥が、飛べる鳥を見上げながら、下を向くのは、ごめんだ。
 人生に曇りの日が増える。
 ・・・わたしは、自分の人生を晴らしたい。
 曇り空を晴らしたい。
 ・・・わたしは、わたしの人生を生きる。

 ごめん。話が逸れた。

 考えて、考え抜いて、悩んで、
 こうしたらどうだろう、ああしたらどうだろう、
 あいつはどうしたいんだろう、
 どうすればみんなが笑顔になれるだろう、って、

 必死に考えて、それでもダメだったらまた頑張ればいい。
 失敗したっていいけど、後悔はしたくない。

 やり切って失敗するんだったらいいけど、
 中途半端でいい加減にやって失敗しても、何にも変わらない。
 何にも生まれない。

 ねえみんな、チャンスだよ。
 きっと、わたしたちにとっては、
 最初で最後の、
 自分を変えるための、大きなチャンスだよ。
 だから。。。
 もっと、ちゃんと考えて、一生懸命準備して、みんなで。。」
 そこまで一気にまくしたてると、愛依はぐったりして椅子に座り込んだ。

(先生も愛依の勢いには圧倒されたか)健だけがなぜか冷静に愛依の言葉を聞いていた。
その一方で(どっかで似たようなセリフ、言ったような気がするなあ。3−B?3−C?)と、菅田将暉が首をかしげていた。


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