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最後の、最高の学園祭
【学園物 官能小説】

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本番に向けて 混乱-1

翌日、3−Cのメンバーは、1軒のロッジ風の建物の前にいた。
「松先生。よくこんなところが、予約できましたね。」
「それに、昨日の今日だぜ。信じらんねんあ。」
3−Cのメンバーたちは、それぞれ10日分の荷物を持ち、ロッジ風の建物の前できょろきょろと辺りを見回していた。
自分たちが通う高校から、ほど近い場所に、こんな立派な建物があることを誰も知らなかった。

「ここは令風大学の学生寮みたいなものです。限られた学生にしか使わせてもらえないそうですが。」
建物の入り口へとみんなを案内しながら、松たか代が言った。
「でも、なんで大学の寮なんて、予約できたんですか?」
不思議そうに長野が尋ねた。

「みなさんが通っているこの高校は、令風大学の付属高校ですよ。学校法人 松竹学園 令風大学教育学部付属青環高等学校。その令風大学の学生寮と言うことです。」
「知らなかったー!!」
「そんな長い名前、よく覚えられますね。」
3Cのメンバーたちが口々に呟く。

今日からのことが楽しみで昨夜眠れなかったのだろう、流星だけテンションが低い。
玄関から中に入り、勝手にふらふらとその辺りを見て回るメンバーたち。
その傍らで松と長野が話をしていた。

「それよりも、長野さん。この10日間の予定はできていますか?」
「はい。これです。」
「・・・・いいと思います。」
松は数ページにわたる愛依の作った予定に目を通すと、
そのノートを愛依に返しながら言った。。
「あ、そうでした。長野さん。
 この合宿、わたしも参加させていただいてもよろしいですか?」
「えっ?先生が、ですか?」
「はい。そうです。」
「えっ?でも。。」
「何かまずいことでもありますか?」

二人の様子を気にしていた菅田が声をかけてきた。
「どうしたんだよ?いいじゃねえか、副担任なんだし、って、、そういうことか。」

突然、口ごもった菅田の後を受けて、長野が言った。
「ええ。そういうこと、になります。」
昨日のテンションは何処へやら、またいつもの低い声が答えた。

「ってことは、、、そういうことか。」
菅田が再び、こだわった。

二人のやり取りを見ていた松先生が口をはさんだ。
メガネを掛け、少しびくつきながら話す、普段通りの松先生だった。、
「長野さん。何か問題、ありますか?」
問いかけられた長野は、松先生の顔を真正面から見つめて言った。
「あの、、先生。先生はこの合宿が、どんなものだかわかって、参加する、とおっしゃってるんですよね?」
長野のしゃべり方が次第に興奮してきているのがわかる。
それに比べて、松先生のしゃべり方は、相変わらず淡々としていた。
「もちろんです。長野さんがまとめてくださった結論を聞き、この合宿を許可したのはわたしですから。」

「どんな合宿か、わかっていて。。」
長野の声が、つい大きくなった。
「はい。それに、さっき長野さんに、10日間の予定も見せていただきました。」

長野は松から目をそらすようにして答えた。
「確かに、お見せしました。お見せしましたけど。。」

松先生はある意味、事務的に聞こえるような話し方で長野の言葉を引き取った。
「はい。見せていただきました。」
長野が感情をむき出しそうになるのを必死に抑えながら言った。
「ですよね。。見たうえで、参加、されるんですよね。」

「はい。見させていただいたうえで、わたしも参加したい、と言っているのです。」
「先生、予定、ご覧になりましたよねえ。」
「はい。しっかりと見せていただいたうえで、
 わたしはいいと思います、と言いました。」
「予定もわかっていて、参加されるんですか?」
「はい。理由は簡単です。参加したいと思ったからです。」

二人で言い争っていても埒が明かないと判断した松先生は、
玄関前のホールに3−Cのメンバーを集め、話しだした。

「皆さんも聞いてください。
 わたしは、この合宿に参加させていただきたいと思っています。
 今、それをこの合宿の提案者であり実行委員であり、
 クラス委員でもある長野さんにお願いしていたところです。」
「先生も参加すんの?」
「いんじゃね〜。」

「やっべ〜。じゃあ、お皿の数が足んねえじゃん。」
やっと流星が目覚めた。

「えっ、でも、なんで、参加すんだよ?」
健が真顔に戻って聞いた。
「参加しようと思ったのは、皆さんと同じ理由です。」
「同じ理由?」
一同は、口をそろえたように言った。

「はい。昨日、長野さんが皆さんに熱く語った言葉の中に、
 その答えがあります。
 わたしも、変わろう、と思ったのです。
 変わらなきゃ、と思ったのです。
 もちろん、生徒だけの合宿に、
 教師という立場の人間が一緒にいるというのは、
 何かとやりにくいと思います。
 しかも昨日、わたしは、長野さんの、
 【わたしたちだけで合宿をしたい】という提案を認めたのですから、
 教師であるわたしが、参加するのはおかしいことになります。

 ですから、この合宿中、
 わたしは、すべて皆さんと同じ立場、
 つまり3年C組の一員として扱ってほしいと思っています。」

「3Cの一員?」
「はい。10人目のメンバーと言うことです。」

「じゃあ、わたしたちと、全部、同じでいいってことですよね。」
長野が再び確認した。
「3−Cの皆さんが、そう認めてくださるのなら。」
少しの迷いもなく、松が返した。

「って言っても、なあ。」
「ああ。俺たちから見たら、やっぱ、先生は先生だよなあ。」
「昨日だって、やっぱ、上から物言われてる感じだったしよ〜。」
「ああ、あの顔見たら、あ、センセだ。ヤッベッて思っちゃうよなぁ。」
3−Cのメンバーたちに、不満と不審が広がり始めた。


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