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prank call
【その他 官能小説】

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2-3

「みかげー、そういや吉川が曲できたって言ってたんだけど、お前デモ持ってる?」


教室の出入口はまだまだ混雑していたので、ソイツらがいなくなってから出ようと思った俺は、大きく伸びをしながらみかげの顔を見た。


「うん、だけどそれ家にある」


「何でだよ、今日はサークルあるだろ。持ってこなきゃダメじゃん」


「……だって、吉川が“歌詞ちょっと手直ししたら?”って言うから……」


申し訳なさそうに目を伏せるみかげを見ると、その時の光景が目に浮かぶ。


うちのバンドは、みかげが作詞をして、吉川が作曲をすることが多い。


吉川の作る曲は、本当にかっこいいんだ。


ただ、作詞だけはどうにも苦手らしく、みかげが担当することになったのだが、みかげが詞を書くたび、柔らかな物腰でしっかりダメ出ししてくるらしい。


「またかー。吉川もそうやってダメ出しするなら、自分で作詞もすりゃいいのにな」


「うーん、でも自分は作曲に徹するってのが彼のポリシーみたいだからね」


「で、どんなダメ出しされたんだ?」


「うん……、なんか全体的に暗いって。今回はキャッチーなイメージで作ったから、それに合わせてくれって。いつもの吉川なら、詞に合わせて曲作ってくれるんだけど、今回はメロディーラインが先に浮かんだみたい」


「へー」


「だから、吉川に先にデモ借りて、何度も聴いてるんだけど、なかなかイメージ湧かなくってさ」


そう言いながら、みかげはゆっくり席を立った。


ジャラ、と重ねづけしているゴツいネックレスが擦れる音がした。


「というわけで、あたしは今日はサークル行かない。家で作詞頑張るわ」


力なく手を挙げるみかげの顔は浮かなくて、ちょっぴり可哀想になってくる。


吉川は職人気質だからなー。妥協しないんだろ。


どことなく丸まったみかげの背中に向かって俺は、


「みかげ、よかったら俺も手伝うぞ」


と言った。


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