投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

prank call
【その他 官能小説】

prank callの最初へ prank call 6 prank call 8 prank callの最後へ

2-2

と、同時に大きく開いた胸元に目がいく。


相変わらず胸ねえなぁ。


なんて、あきれながら。


しかも、本格的なライダースジャケットに赤いタータンチェックのミニスカート、エンジニアブーツなんていかにもなパンクな格好してると女らしさのカケラもない。


そのくせ身長も170センチ近くあるから、すげえ威圧感だ。


まあ、この容姿だからこそ、バンドのボーカルとしての華はあるけれど。




みかげは大学の軽音サークルで知り合って、俺らのバンドにボーカルとして加入してきた。


元々の友人であったギターの吉川とベースの俺は、そこでレベルの高いバンド作りを目指していた。


ドラムは縁があって、かなりセンスのいい奴をスカウトできたのだが、ボーカルについては吉川と大いに意見が割れた。


ゴリゴリのロックがやりたいのは吉川と意見が一致していた。


俺は男性ボーカルの力強いバンドを作ろうと提案したが、吉川がみかげの声に惚れて、ボーカルはコイツしかいない! と推してきたのである。


普段は菩薩のように穏やかな吉川だが、このボーカルの件については頑として譲らず、しまいにゃみかげのボーカルじゃなきゃバンドやらないとまで言い出したのだ。


吉川のギターと作曲のセンスにとことん惚れ込んでる俺からすれば、吉川を失う方が嫌だったので、男性ボーカルを諦めざるを得なく。


渋々ながらもみかげという女性ボーカルのバンドを引き入れることなったのだ。


確かに髪も短くて見た目だって男っぽいがやはり女は女。


最初はみかげをメンバーとは認めたくなくて、俺は彼女となかなか打ち解けることができなかった。


ロックは男のモノなんて、化石時代のような古い偏見を当時の俺は持っていた。


だが、親睦を深めるために吉川が企画したカラオケで、みかげの歌を聞いてみたら、その偏見なんて一気に吹き飛んでしまうこととなる。


ガリガリの痩せた身体からは想像つかないような、パワフルボイス。


地声が高くないくせに、歌い出すと高音も難なく出せるし、何より少し掠れたその声がすごく耳触りがいい。


さらには絶対に音程も外さないし、リズム感も、果ては英語の発音も完璧で。


天性の才能が、この子にはあったのだ。


それに、女だからと気を使うような要素をみかげは全く持ち合わせていなかった。


ショートで、まだあどけない少年を思わせるようなその容姿のみかげに女らしさは皆無で、それが俺たちにとってすごく気が楽であった。


吉川もドラムの伊東もそれぞれ彼女がいるし、俺もこんな色気のない女を異性と意識することもない。


今意識している女がいるとすれば、ここ最近のテレフォンセックスの相手のカノンの女、ただ一人であった。


prank callの最初へ prank call 6 prank call 8 prank callの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前