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陽炎の渓谷
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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吸い付く-2

「な、何を……」
「初期状態の確認ですよ」
 仁来は指で玲奈の秘めやかな谷間を割り開いた。やや褐色に染まった花唇の内側の桜色の柔肉が、何も遮る物無く彼の目に晒されている。そこは既に、白濁したヌルヌルの粘液で満たされており、天井の電球色のLEDの光をテラテラと反射させている。
「性的に興奮しやすい体質のようですな、お嬢さん。まだ何もしていないのに、もう、しっかり濡れておる」
 玲奈は何も言えずに頬を朱に染めた。彼の言う通りなのだ。服を脱いだだけで、彼女は興奮してしまった。
「サンプルを頂きますよ」
 そう言って仁来は、シリコン製の小さなスプーンで玲奈の潤いをひとすくいした。そして鼻に近づけて匂いをかいだ。
「ちょ、な、何するんですか」
「興奮の状態などによって匂いが変化するんですよ。今回の場合は……ツンと来る酸味の裏側に、微かな甘だるい渋みが広がっておる。期待度の高さを窺わせますな」
「期待?」
「これから味わうであろう快感への期待、ですよ」
 小さなシャーレのような容器に玲奈の粘液を収納した仁来は、タブレット端末に何かを記入した。
「お待たせしました。さあ、どうぞ、して下さい」
 して下さい、と言われてするようなものではない、自慰は。しかし玲奈のそこは、少し悔しいけれども仁来の言うとおり、既に期待の疼きでジンジンしていた。
「で、では、始めます」
 玲奈の右手の中指が、ソロリ、ソロリ、と股間へと近づいていく。目を上げてチラリと仁来の方を見た。口元に微笑みをたたえ、腕組みをして見守っている。玲奈はいつも優しかった祖父のことを少し思い出しながら、沼のように潤った谷間に指を埋めた。
「う……」
 熱い。溶岩のようにまとわりつく粘液も、壁の柔肉も。全てが熱く火照っている。もちろん、玲奈の情欲も。
 指で掻き回された谷間から、陽炎の様なものが立ち上った。それ程までにそこは興奮の中にあるのだ。
「あ、ああ……」
 目をキツく閉じた玲奈は、仁来の存在を一瞬忘れかけた。しかし、見られている、その事が彼女の欲情を尚更に煽っていることもまた事実だろう。
 指に絡みついた粘液を、真珠のような上品な輝きを放つ肉の蕾に塗りつけ、グルリ、グルリ、とその周囲をなぞる。
「ん、んあっ……」
 知らず知らず、その身は捩られ、腰が持ち上がっていく。
「あ、だめ、このままじゃ私……」
「構いませんよ、お嬢さん。心のままに」
「そんな、だって、だって……性具の……うっ……」
「大丈夫ですから」
 仁来のその言葉に後押しされるように、玲奈は指の動きを早く大きくしていった。
「だ、大丈夫なんかじゃありません。あなたに見られてるんですよ? そんな状態で……うぐっ、あはぁあ……」
 そう言いながらも、玲奈の指は止まらない。
「い、イク、イってしまう……んはぁっ……」
 必死に堪える玲奈。それを強い視線で見つめる仁来。
「イっていいんですってば」
「そんなわけには……あうぅ……」
 はあっ、と息をつき、仁来が呟いた。
「……今のお嬢さんの様子を御主人が見たらどう思うんだろう」
 その言葉は、玲奈の耳にしっかり届いていた。
「幸弘さんが、さっき会ったばかりのよその男に自慰を見せている私を見てしまう?」
 玲奈の体の表面に、細かい振動が泡立ち始めた。
「だめ、だめだめだめ、だめぇっーーーっ」
 ソファーの上でグイっと身を反らし、腰を左右にねじりながら、玲奈は硬直した。
「ぐぅ……」
 喉を締め上げるような声が漏れたが、それは意図的なものではない。下腹部の奥深くにジュワーっと弾けた快感の飛沫が、全身を痺れさせているのだ。
「う、うぐぅ、んぐ……」
 ガクッ、ガクン、と腰を揺すり、顔を歪めたまま一気に脱力し、玲奈はソファーに崩れ落ちた。
「す、すみません……」
 息も絶え絶えに玲奈はあやまったが、仁来は平然としている。
「イきましたね」
「……はい」
「大丈夫ですって。一回絶頂したぐらいで効果が落ちるようなヘボな性具は作っておりませんよ。むしろ、二回目からがちょうどいいかもしれない」
「ま、まだやるんですか」
「これからが本番じゃないですか」
 絶頂して酔いが冷めたように欲情が引いてみると、玲奈の胸は改めて恥じらいの心に掻き乱されていった。慌ててソファーから足を下ろして閉じた。
「サンプルを……」
 そう言われて、仕方なくもう一度足を上げて開いた。
「く……」
 シリコンの柔らかいスプーンで触れられただけでビクンとしてしまうほど、そこは感度が上がってしまっていた。
「さて、最初はどれがいいかなあ。うん、これからいくか」
 仁来が取り出したのは、薄いベージュの、二枚貝のような形をした物だった。
「クラム、という愛称を付けました。貝が少し開いた様に見えるでしょう?」
「ええ」
「主な使い方は二通り。まず」
 剥き出しになっている玲奈の花唇を指で開き、仁来はそこに「クラム」を挟んで押しつけた。貝殻が柔肉にめり込む。
「薄型なのでね、こうやって挟むことが出来るのです。で、スイッチを入れると……」
 仁来がワイアレスリモコンを操作すると、クラムが猛烈に振動し始めた。
「ぐぅ……」
 たまらずうめき声を漏らして、体を丸める玲奈。
「どうです? 従来型と違って、谷間のミゾにしっかり挟まって密着した状態で振動するので、振動と言うよりは揺すられている感じでしょう?」
「そ、そうですか。従来型を知らないのでなんとも……」
 玲奈は返事をするのも辛そうに歯を食い縛っている。下腹部全体を激しく揺さぶられ、こみ上げてくる快感に必死に耐えているのだ。
「で、もう一つの使い方」
 仁来はクラムを少し上に移動させ、貝殻の開いた部分で、クリップのように肉の蕾を挟んだ。
「ま、まさか……」


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