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ピンクモアール 〜魅惑のフェロモン
【OL/お姉さん 官能小説】

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処女-4

「あんなに簡単に売れるなんて信じられないです!」
シーブリーズ商談後、スタバに寄り休憩をする2人。美琴はまだ興奮が止まないようだ。しかし浜野は冷静に言った。
「美琴ちゃん、あの店は少し販売を控えた方がいいよ。」
「え?ど、どうしてですか…?」
店長はいい人で、美琴からいつも何かしら買ってくれる。今日も一発で大量に契約してくれた。浜野がどうしてそんな事を言うのか全く分からなかった。

「まず大きな心配は、売買契約書を良く読まずにサインした事だね。渡されて名前を書いてハンコ押してすぐ渡して来ただろ?いくら美琴ちゃんを信用してるからと言って内容はしっかり理解しようとしないとダメだよ。もし俺が出したピンクモアールが偽物だったらどうする?契約書に、もし偽物でも契約は有効とすると書いてあったらどうする?ピンクモアールはお支払い後の納品になると書いてあったらどうする?シーブリーズはまず300個分の代金を支払ってからでないと仕入れられないんだよ?もし資金ギリギリで運営してるとしたら死活問題だよ。それを1つ1つ確認するぐらいの慎重さがなければダメだよ。そのうち詐欺に遭うよ。」
「あ…」
「それにあの店長はピンクモアールを実際に使いもしないで契約をしたよね?今噂の香水だからと言って300個も仕入れる商品の確認もしないのはどうかと思うよね。いいか、美琴ちゃん。彼女は美琴ちゃんにとっていつも何かしら買ってくれるいい人なのかも知れない。でもそれが美琴ちゃんの頑張りに応えてのものならいいが、少し買っておけばしつこく来ないだろって思っていたのならあのシーブリーズは美琴ちゃんにとって大事な顧客じゃないよ。あの店長、初めは商売は真面目にやってそうだと思ったが、そうではないような気がする。きっと300個完売した時点でまた電話が来て、早くよこせと騒ぐはずだよ。その時分かるよ、彼女の正体が。可愛そうだからいつも買ってやってるんだからこう言う時ぐらい何とかしろ、とか怒って電話来るよ、きっと。」
「そ、そうですかね…」
「多分ね。そんな目をしてたよ。」
「…」
浜野が言うと何か説得力がある。美琴は何も言えなかった。
「それに、美琴ちゃんだって売買契約書、読んで理解してるの?」
「あ…よ、読んでませんでした…」
「だよね?いーい、君自身が理解してなくてどうするの?読んでる暇がなかった?でもデキる子はここに来るまで歩きながらでも目を通すものだよ。商談までに何としても自分の提出する売買契約書の内容は把握するのが普通だよ。それだけ契約と言うのは大変な事なんだよ。」
「も、申し訳ございません…」
「後は割り当てられた300個を全部シーブリーズと契約しちゃって、他の得意先はどうするの?例え売上が少なくても君の担当してる得意先でしょ?もしシーブリーズで売ってるのに気付いて、どうして俺の店に案内しに来ないんだってなった時、信用を失うのは君じゃない。会社なんだよ?美琴ちゃんの判断であの店は殆ど売上ないからいいや、とはならないんだからね?美琴ちゃんの対応1つで会社が得意先からの信用を失う事は充分にあり得る事。判断は自分でしてはダメ、会社の判断を仰ぐのが基本だよ?そこを理解して働かないとダメだよ。」
「も、申し訳ございません…」
舞い上がっていた自分が恥ずかしかった。自分の頭が社会人としてまだまだ幼稚である事に気付かされた。美琴は俯き涙を滲ませたのであった。


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