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わるい娘、メンヘラビッチとの出会い
【学園物 官能小説】

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崩れ始める家族-4

「よし保護しろ!」壮年の男性が踏み込んですぐあたしを助けるみたく命じるの、別にあんたの助けなんかさ、
「いや、パパ!」
「お、おい愛 ! 話が違うじゃないか!」
 若い警察官がパパの左手をつかみ外側に捻り制圧するの。
 修羅場だろうと今の一言は聞き逃せない、
「ママ! 今のどーいうこと!?」
「……あんたが、悪いんでしょ、家出たいなんていうから」
 これ以上の話をあたしに聞かせたくないのか、無抵抗のパパの口に手を当てて玄関から引きずり出す若い警官、ひどい、そんなことしないでよ。
「やめて! パパに乱暴しないで!」
 若い警官に止めにかかるあたしをもう一人の警官が制止するの、
「心配ない、心配ないから」
「さわるな、きもおやじめ、さんじゃねー、男が、ち、ちくしょう」
「……あなたが悪いんでしょ、高校いったらバイト始めて、ここの家から離れたいなんて、叔母に言うなんて」
「ふっ、ふざけないでよね、あたしがどんな想いまでして、この家族を、ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう」
 この後の記憶がやっぱりすっぽり抜け落ちたみたい、思い出したくないのかもね、家族のこととってつらいことばかり、酷い思い出なんて今に始まったことじゃないし、なにも今更って感じよ。
 でもいつの間にか帰った警官と入れ替わりに入ってきた児童相談所の間抜け面のことはよく覚えています、
「どーもどーも、お互いにね、スマートにいきたいんですよ、めんどくさいことは」
 何この人って、感じだったわ。
「近親相姦のね、通報を受けたから、来たんですけどー、あんたが被害者? 珍しいねーべっぴんさんというか美形だよね? だいたいこの手の被害者って不細工ばっかりなのにさ、へーめずらしいわ、あ、これから保護しますからね」
 このときママの顔が変わったのすぐにわかった、ママに火がつくと3秒で豹変するものって。
「娘を守ろうって通報したのに、何で児童相談所が出てくるの! 私の子供を拉致しようっていうわけ?」
「いやだなー、警察に通報したのあなたでしょ? 娘さんを一時保護するだけですよ」
「娘をとられる位なら……あんたを殺してばらばらにして、娘と二人で食べてやるから」
 無能バリバリの小役人の禿げがさ、ママを前にするとマジに無能になるんだよう。
「え? いえいえ、なに言っちゃてるんですか」
「順子! その禿を逃げないように取り押さえておき!」
 いつもは酷いママって憎んでるけど、本気であたしを順子を助けようとしてくれるって、マジ嬉しいじゃん、親の助けになりたいって役に立ちたいって思ったわ。
「え、ちょっと、ちょっと」場にそぐわない緊張感の欠片もない禿げを玄関に残したまま台所にダッシュして、徳用ラップ一本と、ペティナイフを取り出して禿げの玄関まで戻る。
「こんな包丁のちっこいので目ん玉えぐりたくないしあたしの言うこと聞いてよ? それともガチでやりあってみる?」
 ママに頼りにされた嬉しさから何でもできる気になっていたし、やれるところまでやってみてみたくなってたししょうがないよね?
 サランラップで児相の禿を腕ごとぐる巻きにしてやるあたしだ、中学生の包丁なんかにビビッて情けねえオヤジが、きもいんだよ。
「な、馬鹿なことは、や、やめなさい、娘さんを保護しようとしているんだよ、君きみきみ、君の味方なんだよ」
 あたしにとってそんなのは詭弁だ、守ろうとした家族が崩れ始めている、たった一人残ったのがママだとしたら、そのママのいうことを守らなければいけないし、それは自分自身を守ること、親の庇護下を外れて生きていくことは今のあたしには到底考えられないことよ、たとえどんなに酷い親だろうと、あたしにとっては頼れる親なの。
「順子そこをどきなさい!」
 叫ぶママをみれば手に漁師が使うヤスを持っている、メートルを超えるようなカンパチとかタイを狙うような本格で、人を殺すことができる代物で、なんでそんなものが家にあるのかといえば、さっき警察に連れて行かれてしまったパパが最近素もぐりのスピアフィッシングに凝っていて、その道具というわけ。
「やあああ」
 児童相談所の職員めがけて突進してくるママ、その狂気に彩られた目はまさにママが怒ったときのもの、何度みても震え上がっちゃう、でもそれが今日に限ってとっても頼もしかったのよ。
「う、うわあ! な、なにするんだ! やまろ!」
 恐怖からろれつ回ってないっていう、だけど、すぐそばにいたあたしにママがぶつかって、運よく? ヤスの狙いが逸れて、壁に突き刺さったの。
「じょ、冗談じゃない! こんな職場に左遷されてきて、こ、殺されてたまるかあーー!」
 そんなことを叫びながら、一直線に脇目も振らずに逃げ出す児相の禿だった。身体に巻きついたラップが滑稽だったわ。
「あ、くそ、外した! ヤスが抜けないじゃない、畜生! もう二度と来るんじゃない! 次はこんなじゃ済ませないからね!」
 マンションの住人が出てこないかひやひやするくらい大声で叫び、恫喝するママだったけど、どこの住民も他人には冷たいもので、誰も出てこなかったのは幸いだったわ。
 後で知ったんだけど、児相の職員って、別に専門家とかがやってるんじゃなくって、都とか区の役所の職員が左遷させられるような部署で、ノルマさえこなしてさえいれば良くって、保護する数こそが大事で、自ら危険を顧みずに職務を全うしようなんて人たちじゃないんだってさ、だからママみたいな怖い人にはかかわらないってこと。つまり……その後、彼は二度と現れなかった。


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