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わるい娘、メンヘラビッチとの出会い
【学園物 官能小説】

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崩れ始める家族-2

 夜9時の夕食後、珍しく穏やかなママと、家族の団欒の時だったわ、あたしがドイツ語の単語帳をめくりながら、パパはニュース番組にチャンネルを合わせ、ママは爪を切ってマニュキュァを塗っていたの。
 ピンポーン……
 こんな時間に誰だろうって?
「順子でなさーい」
 めんどくさいなと思いつつも、学校の体操着のまま玄関に向かい、
「はーい」
 何の警戒心もなく、ドアを開ける。と、そこには壮年の男性と、若い背の高い男が背広姿で立っているの、若い男はちょっと恐い顔していて、柔和な壮年の男が、ちょっと困ったみたいな表情して、から男二人同士視線を合わせてから、「お父さんは在宅かな?」って聞かれたので、
「どちら様ですか?」ってあたしは聞き返すとさ、若い男が背広の内側に手を入れて、
「私達はこういうもの……」
 何かを提示しようとするの、でもそれがすっと壮年の男性が止めて、
「娘さんの前で止めなさい」
 あたしには何のことだか、「はぁ?」って感じだったんだけど、
「じゃあお母さんは居るかな?」
 身分を明かそうともしないし、どうしていいかわからないから、
「ママ、誰だかわからないけど、ママに来てって言ってる」
 玄関口からママを呼んだのよ。
 ホントこの人どうかしているんじゃないかって気はしてたんだけど、やけにばっちりメイクをきめていてさ、ママってこんなに綺麗にするのどうしてか不思議だった。
「あっちにいってなさい、順子ちゃん」
 そういわれて居間に戻ろうとし、ちょっと気になって後ろを振り返ったら、ママの肩越しに見えたのはテレビドラマとかで見かける警察手帳だったの。
 居間には鏡が無かったから、順子がどんな顔色しているのかわからないし、ただボーゼンと立ち尽くすの、凄い音の中なんだよ。こんな凄い音聞いたことなんか無いし、前も後ろも分からなくなるし、全ての見えるものが順子を押しつぶすような圧迫感で迫ってくるみたいで怖くて怖くてどうしようもない、時計の秒針はゆっくり進んでいるように感じながらも、とんでもないスピードに見えるの、分からないかもしれないけど、いま絶望的状況を味わうのって、苦しすぎるから、それを麻痺させているんじゃないのかな? 順子の身体が感覚が頭が!
 物凄い轟音、パパには聞こえないのかな、こんなうるさい音量、ありえないよ! 目の前に守ろうとした順子の家庭が崩壊していく音ときたら! どかん、どーん、耳をつんざくような、胎に響くとか? どーいったらいいかなんてわかんない、とにかく超音量でありえないくらいうるさくて、もう助からないって、完全諦めモードに入るしかない音量。もしかしたら空襲とか空爆の中に居る人って、こんな心境なのかなとか変に冷静に想像してしまい、不謹慎にもクスリって嗤ってたのかも? それでも最後の希望にすがるのかなんなのか、パパと、はしたなくもセックスしたくなってしまうの、欲望からしたいとかじゃなくて落ちるならとことんまで墜ちたい、下の下まで墜ちてやろうって、そんな時間ないのもわかってるんだけど、これで最後なら親子の情愛の証になるなら、とにかくなんでもかまわないから、あたしを鬻いで順子にパパに最悪の記憶を残せるのなら、もうなんでもかまわないって、滅茶苦茶になって絶望のより深みを覗いてみなきゃって。


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