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よだかの星に微笑みを(第一部)
【SF 官能小説】

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岡田妹-1

「いらっしゃいませ!」
「ちわ。ここに弘前って人、働いてます?」
「僕ですけど。」
キャバクラ嬢のような風采の若い女が店に入ってきた。化粧をしているが、顔は幼い。
「姉貴に頼まれたもん、持ってきました。貰ってくんないと、あたしが困るんで。」
「姉貴?」
「姉貴の大学の友達さんですよね? 岡田っていう」
友達さん、とは頭の悪い奴だなと思ったが、誰かが分かった俺は
「ちょっと座ってて下さい。」
俺に大容量のモバイルハードディスクと菓子箱のような罐を渡したキャバクラ嬢はあの中学生だった。俺は厨房の方へ下がり、適当に品を頼んだ。支配人が
「おい、何だ、あれ。うちに来るような客じゃないぞ。知り合いか。まさかな。」
「いま知り合いました。ちょっと訳ありで、すいません。」
俺が飲み物と軽い食事を出したら岡田妹は驚いた。
「え? 悪いっすよ。あたし肉食べるし。それと、すいませんけど、弘前さん?とは、マリエさんから付き合うなって言われてるんで。でも、いただきます。」
マリエか。俺は顔より先にあの股間を思い出してしまった。俺の初体験の相手。そしてこの子は、その部下の危ない上級生。ひいなさんは何を考えているのだろう。
「ごちそう様です。ビーガンって、何かこう、肉食べてる奴らを見下してるような、お高く止まってるイメージあったし、葉っぱばっか食ってるもんだと思ってたけど、メチャクチャうまかったです。」
「俺もそう思ってた。これ、俺のおごりだから。ひいなさんによろしく。」
「ありがとうございました。」
全身をあたかも言葉に投げ打って示す礼儀正しさがヤクザっぽかった。でも、失礼さは全くない。笑顔で岡田妹は出ていった。名前を聞かなかったから、印象がすっかりキャバクラ嬢になって残ってしまった。無論、キャバ嬢だからといって馬鹿にできる権利など、無職の俺にはない。むしろ、どんな人間にも、良いところと悪いところがあるのだと、何だか悟った気分になった。


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